• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

食べきれないほど料理を出す中国式宴会で年500億キログラムの穀物が浪費=中国式もったいない運動とチャリティーモンスター

2013年01月25日

■食べきれないほど料理を出す中国式宴会で年500億キログラムの穀物が浪費=中国式もったいない運動とチャリティーモンスター■


当初タイトルを5000億トンと誤記していました。正確には500億キログラムです。

20130125_写真_中国_
*人民日報の記事「中国が毎年浪費している穀物は約500億キログラム、総生産量の10分の1」。写真は宴会終了後の食べ残し。

■中国人の宴会習慣と光盤行動の立ち上げ

「光盤行動」が中国で話題となっている。「光盤」とは「吃光你盤子里的東西」(あなたのお皿の上に乗っているものを全部食べよう)を省略したもの。

中国人のおもてなしというと、食べきれないほどの食事をお皿に並べるのが一般的。「打包」といって余りをお持ち帰りすることもできるが、捨てなければならなくなることも多い。「もったいないおばけ」を中国に輸出したいと強く願っているのだが、中国国内からもたびたび倹約すべしという話はでている。

その中でも最近話題となったのが「中国は毎年500億キログラム、穀物生産量の10分の1に相当する量を浪費している」というお話。この推計がでたのは最近の話ではないようだが、どこかが引用してまたも盛り上がりを見せている。他にもタンパク質800万トン、脂肪300万トンが浪費されたと栄養ごとに計算しているパターンも。この細かい数字を並べてお話を盛るのは中国の得意技である。
(「中国が毎年浪費している穀物は約500億キログラム、総生産量の10分の1」瞭望、2013年1月5日)

こうした盛り上がりを受けて始まったのが光盤行動だ。2013年1月25日付人民日報が「光盤運動」に関する長編記事を掲載しているが、それによると「IN_33」と名乗るグループが発起人。NGOではなく、たんなる集いなのだとか。で、浪費をやめさせることを目的とした光盤行動を提唱。パンフレットを配ったり、ポスターをレストランに貼らしてもらったりという活動を始めた。

またマイクロブログで発信したところ、多くの賛同が集まり、メディアも注目する事態となった。


■金鰤は陰謀論を唱えます

こうなったら小泉純一郎元首相が中国に乗り込んで「もったいないの理念を世界に伝えたい!」とか協力したら面白いのにと思わないでもないのだが、それはともかく、「一般市民の善意で始まったキャンペーン」ってほんまかいな、とうさんくさく見ている。

というのも、

・人民日報・新華社など官制メディアの食いつきっぷりが半端なさすぎる。山のように関連記事が掲載されている。まるで党の政治キャンペーンのようやで……。

・浪費や華美を戒めるのは今まさに習近平体制が展開している政治キャンペーン。旧正月前の公費宴会にキャンセルラッシュ、公の宴会は「四菜一湯」(料理4種にスープ1つ)までという周恩来ルールを守ろう云々など節約ネタが中国語ニュース界を席巻なう。

・習近平の広州視察では「官制メディアがべた褒めするのではなく、一般市民にネットでべた褒めさせる」という宣伝手法が用いられていたが、今回もその二番煎じではないか。

などなど勘ぐってしまうからだ。「正のエネルギーを伝えている中国ネット民」(人民日報のお言葉)を疑うなんておかしいと批判された場合はすぐに謝罪する用意があることも付言しておきたい。


■おまけ:チャリティーモンスターの光盤運動



明天会更美好さんのツイートで知ったのだが、我らがチャリティーモンスター・陳光標氏も光盤運動に速攻で関わったようだ。

20110315_chenguangbiao1

このおっさん、東日本大震災が話題となれば巨大五星紅旗を前面に貼った車で被災地に乗り込む。自動車渋滞と大気汚染が話題になれば自分のベンツをショベルカーで粉砕し自転車利用を訴え。反日デモで車を壊された日本車オーナーがかわいそうという話が話題となれば被害者に国産車をプレゼントとぶち上げ。旧正月にも故郷に帰れない出稼ぎ農民かわいそうという話があれば年越し宴会(ただし陳氏のカラオケ付き)を開催とともかくフットワークが軽い(詳細は文末関連記事で)

20110918_chen2

上記リンクの中国新聞網記事をざっくり紹介すると、以下のとおり。

ホテルでメシを食った。食い終わって、余りを包んでもらい(←ここ重要、陳ちゃんは浪費しとらんで~)、さあ帰ろうとレストランを出た時、携帯を忘れていたのに気づきレストランに戻った。すると従業員たちが余った料理を食べているではないか。余りを包んでもらったのでほとんど料理も残ってないのに(←ここ重要、陳ちゃんは浪費しとらんで~)、全部食べていたのだ。私は感動した!

従業員の携帯番号を知らなかったので、自分のマイクロブログで報奨金を出すと通達した。この5人の従業員が今日の6時までに取りにきたら、報奨金1人あたり2万元(約30万円)、小麦粉500袋、涼茶100ケースをわたすと。

ただ、もう5時なのにまだ取りに来ないんだよね。恥ずかしがっているのか、通達を知らないのかはわからないが。ただ私のつぶやきはリツイートされまくっているから伝わっていると思うんだが。 

光盤行動にかこつけた動きできっちり売名に成功。しかもこれを見る限り、結局従業員に金も払っていないような……。報奨金出したいならばそのレストランに電話1本入れればいいのに!とこの小ネタにツッコミどころがたくさん。さすがは天下のチャリティーモンスターと感嘆させられた。

関連記事:
「書類袋を布から紙製に変えました」習近平初の大政治キャンペーンの成果がしょぼすぎる件(水彩画)
習近平の「政治家は慎もう」キャンペーンを温州市が無視、「挑発だ」と人民網が報道(水彩画)
帰ってきたチャリティー・モンスター!「中国一の慈善家」陳光標が復活―中国
【東北関東大震災】「中国一の慈善家」のパフォーマンス慈善=中国ネット民からも批判
<今週の言葉>財産の半分ではなく、全財産を寄付します―中国一の慈善家・陳光標
日本でも活躍!あの「中国一の慈善家」に疑惑浮上―翻訳者のつぶやき
中国最新慈善事情!ド素人の歌を我慢して聞いたらステキプレゼントをゲット―貴州省
日本被災地でも活躍(?)パフォーマンス慈善の大富豪が流した涙―翻訳者のつぶやき


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ