中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
当初タイトルを5000億トンと誤記していました。正確には500億キログラムです。
*人民日報の記事「中国が毎年浪費している穀物は約500億キログラム、総生産量の10分の1」。写真は宴会終了後の食べ残し。
■中国人の宴会習慣と光盤行動の立ち上げ
「光盤行動」が中国で話題となっている。「光盤」とは「吃光你盤子里的東西」(あなたのお皿の上に乗っているものを全部食べよう)を省略したもの。
中国人のおもてなしというと、食べきれないほどの食事をお皿に並べるのが一般的。「打包」といって余りをお持ち帰りすることもできるが、捨てなければならなくなることも多い。「もったいないおばけ」を中国に輸出したいと強く願っているのだが、中国国内からもたびたび倹約すべしという話はでている。
その中でも最近話題となったのが「中国は毎年500億キログラム、穀物生産量の10分の1に相当する量を浪費している」というお話。この推計がでたのは最近の話ではないようだが、どこかが引用してまたも盛り上がりを見せている。他にもタンパク質800万トン、脂肪300万トンが浪費されたと栄養ごとに計算しているパターンも。この細かい数字を並べてお話を盛るのは中国の得意技である。
(「中国が毎年浪費している穀物は約500億キログラム、総生産量の10分の1」瞭望、2013年1月5日)
こうした盛り上がりを受けて始まったのが光盤行動だ。2013年1月25日付人民日報が「光盤運動」に関する長編記事を掲載しているが、それによると「IN_33」と名乗るグループが発起人。NGOではなく、たんなる集いなのだとか。で、浪費をやめさせることを目的とした光盤行動を提唱。パンフレットを配ったり、ポスターをレストランに貼らしてもらったりという活動を始めた。
またマイクロブログで発信したところ、多くの賛同が集まり、メディアも注目する事態となった。
■金鰤は陰謀論を唱えます
こうなったら小泉純一郎元首相が中国に乗り込んで「もったいないの理念を世界に伝えたい!」とか協力したら面白いのにと思わないでもないのだが、それはともかく、「一般市民の善意で始まったキャンペーン」ってほんまかいな、とうさんくさく見ている。
というのも、
・人民日報・新華社など官制メディアの食いつきっぷりが半端なさすぎる。山のように関連記事が掲載されている。まるで党の政治キャンペーンのようやで……。
・浪費や華美を戒めるのは今まさに習近平体制が展開している政治キャンペーン。旧正月前の公費宴会にキャンセルラッシュ、公の宴会は「四菜一湯」(料理4種にスープ1つ)までという周恩来ルールを守ろう云々など節約ネタが中国語ニュース界を席巻なう。
・習近平の広州視察では「官制メディアがべた褒めするのではなく、一般市民にネットでべた褒めさせる」という宣伝手法が用いられていたが、今回もその二番煎じではないか。
例の慈善家陳光標氏、レストランで客が残したご飯を後で服務員がきれいに食べているのを目の当たりにして感動、この服務員に2万元の褒賞の授与を発表するも誰も賞をもらおうとせず。そのご飯を残したお客が自分だったというオチwbit.ly/XyXTOI
— 明天会更美好さん (@zhongwenfanyi) 2013年1月24日
ホテルでメシを食った。食い終わって、余りを包んでもらい(←ここ重要、陳ちゃんは浪費しとらんで~)、さあ帰ろうとレストランを出た時、携帯を忘れていたのに気づきレストランに戻った。すると従業員たちが余った料理を食べているではないか。余りを包んでもらったのでほとんど料理も残ってないのに(←ここ重要、陳ちゃんは浪費しとらんで~)、全部食べていたのだ。私は感動した!
従業員の携帯番号を知らなかったので、自分のマイクロブログで報奨金を出すと通達した。この5人の従業員が今日の6時までに取りにきたら、報奨金1人あたり2万元(約30万円)、小麦粉500袋、涼茶100ケースをわたすと。
ただ、もう5時なのにまだ取りに来ないんだよね。恥ずかしがっているのか、通達を知らないのかはわからないが。ただ私のつぶやきはリツイートされまくっているから伝わっていると思うんだが。