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【尖閣】「今回は本当に戦争になる」日本人があまり知らない中国人の危機感と日中マッチポンプ的メディア構造について

2013年01月29日

2013年1月の「尖閣国有化で日中関係“再”緊張」問題についてざっくりとまとめてみた。

militarism
militarism / Harald Groven


■今回は本当に戦争になるのでは

尖閣国有化以来続く日中の対立。かつてないほどの被害が出た暴力的な反日デモが最も衝撃的なトピックではあるのだが、個人的に「おおっ」と思ったのは複数の中国人の友人から「今回は本当に戦争になるのでは」と言われたことだった。普段は「中国共産党は口ばっかでござる」とか「早く撃て」とか言っていたやつらが今回はいつもと違うと感じたというのは、それほど中国国内での盛り上げっぷりが激しかったことを意味している。

「擦槍走火」という四文字熟語をこれほど頻繁に目にしたのも初めてのことだ。銃を触っていたら暴発しちゃった……というアクシデントによる開戦を意味する言葉だ。

さて9月に最初のピークを迎えた後は緊張は続きつつも膠着状態が続いていた……というのが大方の人の理解だと思うのだが、日本人の多くはあまり気づかないうちに、中国ではこの2013年1月、「今回は本当に戦争になるのでは:Part2」的な盛り上がりが起きていた。


■年始に何が起きたのでしょうか……というナゾ

米国のメディアを見ると、この盛り上がりは日本がしかけたという報道をいくつか見かけた。12月13日、中国国家海洋局の航空機が尖閣上空で領空侵犯したことが原因だという(WSJ)。これ以降、日本政府の発言は強硬さを増していき、中国も反発し……という筋書きだ。

ちょっと違うくなかったけ?というのが私のおぼろげな記憶である。例えば12月19日付の福島香織さんの記事「安倍氏は“タカ派”か“氷を溶かした人か”」では、安倍首相は中国の敵たる“タカ派”なのか、それとも小泉政権時の日中関係冷却を回復させた「破冰の人」なのか、中国では様子見だと評している。

この時機、人民日報や環球時報をのぞいても安倍首相に釘を刺しつつも、全面的に敵視しないぐらいの塩梅だった。安倍首相も尖閣の人員常駐という選挙期間中の発言を一時とりさげるなど中国に配慮を示しており、ちょっといいムードじゃないですか、などと思っていたら、年が明けて気がつくと上述の「戦争が起きるかもしれません」モードになっていたという次第。


■安全保障ダイヤモンドは砕けない

この変化はいったいなんなのか。一つには年明けの安倍政権の外交がありそう。麻生太郎副首相のミャンマー訪問をきっかけに、岸田文雄外相、安倍晋三首相と閣僚3人が東南アジアを訪問。昔から一部中国メディアを騒がせていた「日本が中国を封じ込めようとしている」「大東亜共栄圏:Part2やで!」という話そのまんまの動きが注目された。日本メディアも東南アジア外交の意図を中国絡みでばかり解説する記事があふれていて、「日中マスコミの見解は高度に一致している」との感慨を得たのであった。

さらに12日付読売が「中国の進出懸念…首相、NATO事務総長に親書」と報じた件も中国ではかなり大きく報じられた。結局、このNATOへの親書とやらは読売がぽろりと報じただけで他に報道はなかったように記憶している。ゆえに日本人の多くは記憶にないが、一部中国メディアやネット掲示板で流れる「安倍内閣、怒濤の攻勢」では欠かせないワンエピソードになった。


■警告射撃は相手に当てるものやないんやで

で、もう一つ、本命が警告射撃ネタである。

9日付産経新聞が「安倍首相、領空侵犯機に警告射撃を検討するよう指示」と報道。

中国で話題になるも、産経の誤報じゃねとの話が広がる。

官房長官が産経報道を否定。

そんなことは関係なく、安倍政権の挑発行為許さまじ!と盛り上がり。「中国軍少将 「日本が曳光弾を発射すれば開戦だ」と反撃を明言

というか、10日の「日中戦闘機が尖閣付近で対峙」というネタは産経報道への報復じゃないかと疑っている。なお当初、日本メディアは戦闘機十数機が防空識別圏域に進入と報道。その後、中国国防部は軍の偵察機が飛んでいたら日本の戦闘機がスクランブルしてきたから中国側もスクランブルさせたと報道。激しく食い違っているが、別にすりあわせも検証もなかった気がする。

防衛相記者会見でフェニックステレビ記者が警告射撃ってまじですか?と質問。

防衛相は「国際的な基準に合わせて間違いのない対応」と回答したら、朝日がつまり警告射撃するってことと補足して報道。当初タイトルでは防衛相が「警告射撃」と口にしたかのような見出し。朝日中国語版にいたっては「信号弾を撃って警告する」と発言をでっちあげ

中国メディアおおいに盛り上がるも誤報っぽいという話が伝わる。

でも日中緊張ムードはおおいに盛り上がる。


■余談:戦争に備えまくる人々

産経の記事「「戦争の準備をせよ」対日想定…中国軍指導部が全軍に指示」は上述のような日中マッチポンプ化こそなかったものの、日本では結構盛り上がっていたニュースだと記憶している。これがまたうまくできた盛り上げ記事なのだ。「做好打仗准备」という言葉が「戦争の準備をせよ」と今にもおっぱじめそうな感じに訳されている。まあ間違いとは言い難いが、どちらかというと「戦いの備えをせよ」ぐらいの抽象的なお言葉としてとるほうがニュアンスとしては近い。

ちなみにちょうど1年前にも胡錦濤が人民解放軍に「戦争に備えよ」と訓示したネタがあった。これもぽつぽつ盛り上がったのだが、新華社の英訳ミスというお粗末な話であった。

なお2011年に野田首相が自衛隊に訓示した「天下安泰といえども、戦を忘れては必ず危うし」という言葉を「なんと好戦的な男よ」とか、中国メディア超曲解していたというネタもある。

ともかく相手は好戦的だと全力で誤読しようとする意欲に満ちあふれた人々が大勢いるということは抑えておきたい。


■こうなった以上、なあなあで落ち着かないで欲しいんだわ

ここまで勢いでかきなぐってきた。なんというかよくもまあ日中のマスコミが協力してこれだけ盛り上げたものだ……という印象である。

で、なんかここにきて習近平が公明党の山口代表と会い、首脳会談にも前向きムード的な突然の急展開があった。その背景にはクリントン米国務長官が強烈に日本を支持したことが最大の要因ではないかと思っている(日経にも同じ説で記事が)。

つーわけでまだまだ不透明とはいいながら、ひょっとしたら落ち着く方向に向かうのかもしれませんね、的な道が見えてきたわけだが、なあなあで終わらせるのはいかがなものか、という疑問を持っている。今回の尖閣問題のショックでは反日デモの暴力性に加え、2010年からいくらも経っていないのに、「またですか」という絶望感も大きかった。

なあなあで終わったら、またすぐに次が来るんじゃないの?とは誰もが危惧するところだろう。尖閣だったり、靖国&歴史問題であったり、あるいは炎を巨大化するマッチポンプ的メディア構造だったりと、嫌なネタには事欠かないのだから。

こんな大騒動になった以上、面倒が再発しにくい枠組みを着くって欲しいと願うばかり。まあ、そんな余裕はどこにもないのだろうが。

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 コメント一覧 (5)

    • 1.  
    • 2013年01月30日 18:13
    • 結局マスゴミがガンなんじゃないか、社員みんなハラ切って欲しい
    • 2. 支那畜
    • 2013年01月30日 19:48
    • なんか上の文章の中で朝日と産経がごちゃ混ぜになってないですか?
    • 3. Chinanews
    • 2013年01月30日 23:00
    • >なんか上の文章の中で さん
      9日の産経記事と15日の朝日の記事を並べています。今、ちょっと見返したのですが、多分混じってないはずです。
    • 4. 中国軍部にストレスか?
    • 2013年02月06日 14:57
    • 蒋介石から中国を横取りできた功労者である中国人民軍(紅軍)が、共産党本部に水をあけられっぱなし、共産党幹部は、どんどん蓄財しているのに。だけどクーデターもできない。そこで、日本を、攻撃したいのか?日本には交戦権が憲法上ないし、中国とけんかする利益は他国にはないから?でも、中国が野蛮人になって、韓国と同レベルの民度に落ちたら、世界中が、まずくなる。これから海賊時代に戻りたい国など、中国と韓国以外には存在しないから。知恵をしぼって、資源の共同開発を考える。今は、十分な技術がないから、先延ばし。中国に尖閣領有権のかけらもないことは、中国共産党執行部が一番よく知っているわけだし。資源の開発を、中国の地のりをいかせるようにするのが賢明なのでは?中国が泥棒戦争を韓国のように、ふっかけようとすれば、共同開発に中国が参加できなくなるだけ。
    • 5. 源太郎
    • 2013年04月06日 20:57
    • 1 命令一つで多くの生命を奪う戦争なぞ話にならん
      尻込みする暇があるなら知恵を絞って考えんかい!

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