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2013年01月30日
Tiananmen 天安門 / INABA Tomoaki
2013年1月28日、中国共産党中央政治局は第3回集団学習を実施。席上、習近平総書記は「核心的利益を犠牲にはできない」と言及した。
核心的利益とは絶対に他国に譲歩できない国家利益を意味する言葉。尖閣諸島や南シナ海など具体的な争点については触れられていないが、この2つの紛争について絶対に譲歩しないことを示したのではないか、と報じられている(日経)。
それはそのとおりに違いないのだが、25日に公明党の山口代表と習近平総書記が会見し、日中の対話再開かというタイミングで、なぜ改めて核心的利益について言及したのかというのが気になるところ。
実はここ数日、中国官制メディアが「対話=譲歩じゃないんだよ」と一生懸命ムード作りしているのでその一環ではないのかとにらんでいる。対話=売国奴or弱腰認定を避けるための転ばぬ先の杖、といったところではないか。
習近平のお言葉(新華社、2013年1月29日)
中華民族は平和を愛する民族です。戦争を消し去り平和を実現することこそ近代以後の中国人民にとって最も切実で、最も深く望む願いでした。平和的発展の道を歩むことは中華民族の優秀な文化的伝統の継承・発展であり、中国人民が近代以来続いた苦しみの中で得た必然的な結論であります。中国人民は戦争がもたらした苦しみを心に刻み、平和に対して倦むことなき津級を続け、平和で安定した生活を重要視してまいりました。中国人民が恐れる者は同様、求めるものは安定、望むものは展開太平であります。
(以下、3段落にわたり平和話)
私たちは平和的発展の道を堅持しなければなりませんが、しかし正当な権益を放棄すること、国家の核心的利益を犠牲にすることは絶対にできません。いかなる外国は私たちが核心的利益を取引材料にすると期待するべきではありません。私たちが主権、安全、発展の利益を損なうという苦い結果を受け入れると期待するべきではありません。中国は平和的発展の道を歩みますが、その他の国もまた平和的発展の道を歩まなければなりません。各国が平和的発展の道をあゆみことによってのみ、各国はともに発展でき、国と国は平和に付き合えるのです。平和的発展の道を堅持するという我が国の戦略的思想を我々は広く喧伝しなければなりません。国際社会に我が国の発展を正確に認めむきあうよう導かなければならないのです。中国の発展は決して他国の利益を代価にしたものではありません。我々は決して自分の利益のために他者を傷つけたり、災いを他国におしつけたりいたしません。平和的発展の実践者、共同発展の推進者、多国間貿易体制の擁護者、世界経済統治の参加者であり続けます。
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