■ラサ3大僧院とジョカンの僧院長を含む高僧15人が行方不明■
ガンデン僧院
■だまし討ちラサの3大僧院であるデブン、セラ、ガンデンとジョカン(ツクラカン)の高僧たちが当局により連れて行かれた後、2週間以上も行方不明のままという。
2013年1月14日、当局は会議と称して3大僧院とジョカン寺の高僧、教師合わせて15人を集め、だまし討ちのような形で連行した。連行されたのはデブン僧院僧院長のジャンペル・ラクサム、唱導師ンガワン、教師ンガワン・ドゥンデン、教師ンガワン・ペルサン、教師ンガワン・サムテン、セラ僧院の戒律師ミクマル、唱導師(指名不明)、教師サムテン、教師ンガワン・ロトゥ、教師タシ・ギャンツェン、ガンデン僧院の教師カルデン、教師ロプサン・ンゴドゥプ、ジョカン(ツクラカン)寺の教師フンドゥップ・ヤーペル、教師ツェテン・ドルジェ、教師ンガワン・ロペルである。
愛国再教育を行うために連れていかれたとナクチュ地区の僧院や村では噂されているが、これも確認されたわけではなく、その後現在まで行方は分からないままとなっている。
3大僧院やジョカンの僧侶たちは行方不明となったまま帰らないこれら高僧の安否を非常に心配しているという。また、主な教師たちがいなくなったことにより、授業や討論を行うことができなくなり、僧院の勉強が滞っているともいう。
僧侶たちは2008年に多くの高僧や教師が連行されたときのことを思い出し、今回も当局は宗教弾圧の一環として彼らを拘束したのではないかと噂している。
■消えた本物の高僧と出現したニセの高僧
特に何も事件のようなものがない時に、このように大勢の高僧が拘束されるという理由が分からない。強いて上げるとすれば、現在は地方の両会(人民代表大会と政治協商会議)の開催期間ということ。チベット自治区でも両会が開催されており、自治区主席も長年ラサ市長や自治区副主席を勤めたロプサン・ギェルツェンに交替した。両会期間中の治安を守るための予備的な逮捕だろうか。あるいは人質、もしくはロサ(チベット正月)前の嫌がらせだろうか。
ちなみに自治区主席というのはトップではなく、ナンバー2である。トップは共産党書記だが、このポストは漢人の陳全国が占めている。共産党書記は漢人、自治区主席はチベット人というのはパターンであり、党書記にチベット人が選ばれたことは一度もない。なお、これまで自治区主席であったペマ・ティンレーは出世して人民代表大会常務委主任になったそうだ。
今回、チベット自治区の人民代表 、政治協商会議委員が改選された。新たなチベット自治区政治協商会議委員として、中国政府認定の転生ラマ、7世レティン・リンポチェが選ばれた。彼はカルマパがインドに亡命した後、中国が慌てて選んだ、中国国内に残る超高僧の1人である。偽パンチェン・リンポチェと同様、中国が操れるチベット宗教界の重鎮として選ばれたのであろう。
チベット人に尊敬され影響力のある高僧たちは行方不明にされる。そして再教育を受け飼いならされた偽リンポチェたちが政治の表舞台に登場している。