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2013年02月02日
■慈善の鬼、チャリティーモンスターの伝説
チャリティーモンスター・陳光標。
東日本大震災が話題となれば巨大五星紅旗を前面に貼った車で被災地に乗り込み、救援活動を指揮するふりパフォーマンス。自動車渋滞と大気汚染が話題になれば自分のベンツをショベルカーで粉砕し自転車利用を訴え。反日デモで車を壊された日本車オーナーがかわいそうという話が話題となれば被害者に国産車をプレゼントとぶち上げ。旧正月にも故郷に帰れない出稼ぎ農民かわいそうという話があれば年越し宴会(ただし陳氏のカラオケ付き)を開催。「レストランで残飯を出さないようにしよう、料理を全部食べよう」運動が話題になると従業員を引き連れてレストランに乗り込み「あまったらわしらが食っちゃるけん」とアピール。
ともかく話題の時事ネタに飛びつき、自己顕示欲を炸裂させる慈善の鬼が陳光標氏だ。
■今度は大気汚染をネタに
このチャリティーモンスターが今度、目を付けたのは大気汚染。2月1日、南京市の街頭で自社生産の「きれいな空気缶」を販売するパフォーマンスを行った。1日付中国新聞網が伝えた。
着ぐるみは必要なのかツッコみたいが、ともかく1缶4.5元(約68円)でおいしい空気を販売。売り上げは雲南、貴州、四川、チベット、甘粛などの貧困地域に寄付するとのこと。
でもって陳さんは「我相信当标哥有一天离开江湖的时候,江湖上还有标哥美好的传说。」(陳アニキがこの世を去る時も、世の中には陳アニキの美しい伝説が残っている。私はそう信じているよ)とご満悦。以前、雑誌のインタビューに答えて語っていたのだが、陳さんが慈善にいそしむのは後世に名を残すためだという。人助けよりも名前を残したい、善行を積みたいと率直にアピールする姿にその素直さがうかがえる。空気缶も陳アニキの顔写真プラス「陳光標、好人」(陳光標はいい人)とのロゴががっつりと刻まれている。
■革命聖地の空気を吸おう
陳アニキが毎朝吸っているというこの空気。この日は2万本を用意し、約半数が売れたという。なお1月30日には北京市で空気缶23万本とエコバッグ2万袋をタダで配ったほか、南京市でも前日はタダで空気缶を配っていたという。なぜ突然、有料化したかは不明。
ちなみに空気缶には2種類があって、1本は台湾の空気を詰めたもの。もう1本は中国共産党の革命聖地・井岡山の空気を詰めたものだという。「台湾は宝島(台湾の雅称)ですわ。海が近く空気がいい。自然の水もきれい。空気はちょっと甘いにおいがします」とコメント。残念ながら井岡山の空気についてのコメントはないようだ。革命聖地だけに「鉄と銃のにおいがする」とか言って欲しかったのだが。
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