中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年02月06日
Tanks in Beijing / gadgetdan
(1)小野寺防衛相の記者会見
中国艦船が海自護衛艦にレーダー照射NHK NEWSWEB、2013年2月5日午後5時50分
小野寺防衛大臣は、先月30日午前10時ごろ、東シナ海で、中国海軍のジャンウェイ2級フリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対し、射撃管制用のレーダーを照射したことを明らかにしました。また、小野寺防衛大臣は「先月19日午後5時ごろにも、東シナ海で、中国海軍のジャンカイ1級フリゲート艦から護衛艦『おおなみ』に搭載されているヘリコプターに射撃管制用のレーダーの照射が疑われる事案があった」と述べました。
そのうえで、小野寺防衛大臣は「大変異常なことであり、一歩間違えると、危険な状況に陥ることになると認識している。このことを踏まえ、中国側に外交ルートを通じて申し入れを行った。危険な行為であり、中国側に自制を求めていく」と述べ、外務省が中国側に抗議したことを明らかにしました。
・毎日新聞「中国海軍:レーダー照射 関係改善進まずいら立ちか」
レーダー照射した背景には、日本の安倍晋三政権に対する中国側の強いいらだちがある可能性が高い。日中間では首相経験者らが活発に往来し、中国側が友好ムードを演出しているにもかかわらず、対中強硬姿勢を取り続ける安倍首相に態度軟化への変化が感じられないためだ。
・日経「中国、公式コメント発表せず 海自艦へのレーダー照射」危険な挑発の目的を巡っては2つの見方が浮上している。1つ目が共産党指導部の指示を受け、尖閣諸島を巡る対立をあおる目的だ。(…)もう1つの見方が軍の現場の独走だ。中国外務省筋はあくまでも現場の軍人の判断によるものだとの認識を示唆した。尖閣諸島を巡る日中の対立は膠着状態に陥り、米国も日本支持に傾斜する。いら立つ軍部が強硬姿勢を強め、事態の打開を狙ったとの見方がある。
・朝日「防衛省「明らかに違う段階」 中国艦、射撃レーダー照射」
火器管制レーダーは武器使用に直結するため、海自の護衛艦の場合、目標に向ける際には艦長の許可が必要という。中国海軍は事情が違う可能性はあるが、別の幹部は「2回にわたり、数分間という分析結果を考えると、現場の暴走とは考えにくい」と言う。(…)元海上幕僚長の古庄幸一さん(66)は今回の中国軍の照射について「日本が何もできないことを知っての挑発」とみる。自衛隊は攻撃を受けなければ反撃できないためだ。
・NHK「射撃管制用レーダーとは」
元海上自衛官で北京の日本大使館で防衛駐在官を務めた経験を持つ東京財団の小原凡司研究員「日本と中国の間ではどのような行為が相手から危険な行為だと受け止められるのかお互いに経験が蓄積されていない。自衛隊の護衛艦の行動が中国側に危険だと映り、それに対する警告だったのか、あるいは単なる挑発だったのか、冷静に判断する必要がある」
マスコミが大々的に「中国艦 海自艦に射撃レーダー照射」と報じている。讀賣は「平時には絶対に使わない『禁じ手』だ」と匿名のロンドン軍事筋の批評を掲載。記者諸君、君たちは防衛相(省)に「これまで同様のことがあったか」訊ねたか?あるのなら「この時期」に公表するのは意図的と考えるべきだ。
— 浅井久仁臣さん (@asaikuniomi) 2013年2月6日
今、防衛省の広報課に問い合わせたが、「中国軍からの射撃レーダー照射は、これまでにもあった」ことは認めた。記者諸君、落ち着きたまえ。それとも本当に中国と一戦を構えたいのか?
— 浅井久仁臣さん (@asaikuniomi) 2013年2月6日
「上層部同意の可能性」 マカオの軍事評論家が指摘
共同・MSN産経、2013年2月6日
沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海軍艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したことについて、マカオの軍事評論家、黄東氏は「非常に厳重な警告の方法で、上層部の同意を得て行われた可能性がある」との見方を示した。6日付の香港紙、明報が伝えた。黄氏は、射撃管制用レーダーの照射が武器使用に至る前の「最も戦争行為に近い」危険な事態だと指摘。その上で「日本側が警告を無視して長時間(中国艦船の)周囲を航行したり威嚇したりしたため、中国側がやむなく行った可能性がある」との見解を示した。
中国外務省“レーダー照射は報道で知った”
NHKNEWSWEB、2013年2月6日中国外務省の華春瑩報道官は6日の定例記者会見で、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射したことについて「自分も報道を見たが、具体的には分からない。中国の関係部門に聞いてほしい」と述べました。
さらに、「中国外務省は、日本側が抗議するまで事実関係を知らなかったという意味なのか」という質問に対しては「そう理解してもらっていい。われわれも報道を通して、初めて関連の情報を知った」と述べました。
今回のレーダーの照射は、中国の政府や軍のどのレベルでの判断によるものなのか分かっていませんが、6日の華報道官の発言で中国政府全体としての行動ではなかったことは明らかになりました。
今後は、軍のトップでもある習近平総書記など指導者の指示によるものだったのかどうかなどが焦点になるとみられます。