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2013年02月11日
Tibet Peaceful Liberation Monument / Bernt Rostad
チベットの焼身抗議者に対する弾圧。地方官僚にとってその“業績”は出世の手段になる。かくして焼身者の家族など多くの人々が「連座」させられ、罪を着せられているという。チベット人作家・ウーセル(唯色)がブログエントリーでこの現状に触れた。
「焼身事件18件を解決」と魏書記は語る
看不見的西蔵、2013年1月30日
訳:雲南太郎
中国新聞社(華僑向けの通信社)は2013年1月24日、「焼身事件18件を解決―甘粛甘南当局者」と報じた。この「甘南当局者」とは、甘粛省甘南(ケンロ)チベット族自治州州委書記の魏建栄だ。
彼によれば、「昨年10月以降、国外のダライ集団の直接的な扇動により、甘南州で立て続けに21件の焼身事件が起きた。(中略)21件のうち、現時点で18件を解決した。焼身事件にかかわっていた16人を逮捕し、5件については裁判所で審理が進んでいる。(中略)現地の政府はこれらの事件の処罰に成功し、大多数の地元民の感情を傷つけずに済んだ」という。
ネットで検索したところ、魏建栄は完全に公安畑の出身だと分かった。中国刑事警察学院(公安省直属の大学)を卒業し、公安省5局(刑事偵査局)と中央政法委弁公室に24年勤めた。そこから甘粛省蘭州市委副書記を半年、甘南州委副書記を2カ月務め、2011年9月に州委書記となった。
甘南州での「政治的業績」は大したものだ。在任中に州内で焼身事件22件と焼身未遂の死亡事件1件が起きたが、彼の指揮の下ですぐに「18件を解決」している。四川省アバ(ンガバ)州や青海省黄南州などのチベット・エリアの役人を遥かに上回る業績で、鉄血タカ派の役人だ。
1市7県を管轄する甘南州では、2012年3月3日に女子中学生ツェリン・キが焼身して以来、11カ月間で計23人のチベット人が焼身した(焼身未遂事件の犠牲者ジクチェ・キャプも含む)。内訳は瑪曲県(マチュ)1人▽夏河県(サンチュ)12人▽合作市(ツー)5人▽碌曲県(ルチュ)5人。甘南州委書記の魏建栄が「焼身事件18件を解決した」と述べている以上、私たちはどの18件なのかを知りたい。魏建栄たちがチベット人にどう濡れ衣を着せ、無実の者にどう連帯責任を追及したのかも知りたい。はっきりさせてもらおうではないか!なんという暗黒!かわいそうな同胞たち!
甘南州委書記になって1年5カ月の魏建栄はまもなく、四川省アバ州委書記の侍俊のように栄転する可能性が高い(侍俊は2012年2月に四川省省長補佐、公安庁庁長に昇格した)。悲しいことに、チベット・エリア各地の役人は地位のためにこうも冷血になり、こうも血を求める……。彼らのまぶしい地位は無数のチベット人の鮮血で染まっている。
あるツイッター仲間は「これまで何人が『焼身を扇動した』として逮捕されたのか、統計はありますか。焼身者1人の背後で2、3人が逮捕され、牢獄につながれたのでは」と私に尋ねてきた。私は「作り直している焼身者リスト(もうすぐ完成)には、そうした状況も含めています。実際、焼身者ごとに2、3人どころか7、8人、または10人以上が連座していますし、行方不明になった人もいます」と答えた。
例えば、ルチュ県サムツァ郷ロツォ村の遊牧民ツェリン・ナムギェルは2012年11月29日午後、郷政府の庁舎前で焼身し、その場で死亡した。軍警は12月22日、分裂主義者と結託したとして、サムツァ郷、ドンスク・ゲデン・シェラップ・プンツォク・ダルギェリン僧院の僧侶ケルサン・サムドゥプ(44歳)を逮捕した。彼はその後、行方が分からなくなっている。
このほか、ツェリン・ナムギェルの焼身事件を国外に漏らしたとして、ロツォ村の住民7人が逮捕された。7人の名前はニマ▽ラモ・ドルジェ▽ドルジェ・ドゥンドゥプ▽ケルサン・キャプ▽ケルサン・ソナム▽ケルサン・ナムデン▽ソナム・キ(女性)。この中には焼身者の親族も含まれる。また、ルチュ県アラ郷ポクツァ村の遊牧民ゴンポ・ツェリンは2012年11月26日午後、アラ郷のアラ・デウゴ僧院の本堂前で焼身し、その場で死亡した。彼の祖父と父は10日後、安全局に連れ去られ、消息が途絶えている。
卑劣な連座制!もし「財産没収、一族皆殺し」という古い中国の伝統が今も残っているのなら、焼身者の家族や友人は魏建栄らに皆殺しにされるだろう。
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年2月10日付記事を許可を得て転載したものです。