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2013年02月16日
「うちの人民解放軍の偉い人たちが旧正月休みに高級車で出撃しとるで!これで尖閣奪還や!」
と中国ネット民が皮肉を浴びせまくっている(環球時報)。
中国官僚による浪費の代表格として「三公消費」がある。公費接待飲食、公用車、公務出張旅行の3セット。行政経費の細目公開はまだ始まったばかりでいくらムダ遣いしているのか詳細は不明ながら、2004年時点で年9000億元(約13兆5000億円)を使ったという推定もあるほど。「これだけあれば空母なんかいくらでも買えるがな。尖閣取り戻せるがな」などなど、民草の怒りを集めている(関連記事)。
で、今回槍玉にあがったのが軍の公用車。高速道路も無料ならば交通違反で取り締まられることもない、誰もが欲しがる夢の軍ナンバープレートをつけているのだが、それが裏目に出て、「観光地にこんな軍用車が停まっていた!」と写真をSNSにアップされてしまい、話題となったという次第。
公用車を私用に使って旧正月休みにはマイカーならぬ公用車旅行を楽しむけしからん役人、軍人がごろごろいるというのがいつもの批判ポイントなのだが、今回、ちょこっと違うのはパシャリと写真を撮られてしまったものに、とんでもない高級車が少なくないということ。なんと推定価格200万元(約3000万円)超のマセラティでご旅行されている姿も撮影されている。
「軍用車旅行しているやつらをさらそうぜ」とマイクロブログで呼びかけた中国社会科学院の于建嵘教授は「いやはや勉強になっちまったぜ。100万元(約1500円)の公用車を使っているやつがいるなんて話は前にも聞いていたけどとても信じられなかった。でも今はもう信じたよ」とつぶやき。
以前、「お役人はトヨタのランクルに乗りすぎやで!」批判が噴出した時には、「いやいやいや、中国の道路はぼろぼろだから、ランクルじゃないとあかんのよ」というステキな弁解が飛び出たのだが、マセラッティはどう弁解するのか、楽しみで仕方がない。タイムイズマネーの現代社会、時速300キロでとばせる車じゃないと軍幹部は務まらない、とかだろうか。
で、旧正月休みにもかかわらず、公務にいそしんでいる(まさか私用で軍用車を使っているはずはあるまい!)軍人の皆様は何をがんばっているのか、これはきっと高級車を尖閣に乗り付けて奪還してくれるに違いない云々と、中国ネット民は全力で皮肉を言っているようだ。
もっとも私は中国ネット民と違って、もう少し中国人民解放軍幹部のモラルの高さを信じている。この車は企業家とか、金持ちの息子とかのもので、交通違反で取り締まられないようにコネを使って軍ナンバープレートをつけたという可能性も考えられるのではないだろうか。こう考えれば軍は潔白……とは言い難いのも問題ではあるが。
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