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【尖閣】中国人は政府がもっと強硬になって欲しいと願っている=日本人記者の質問と中国報道官の回答

2013年03月04日

全人代前日記者会見にて。日本人記者の笑いを取った質問と中国人報道官が3倍返しで大反撃した件。
 


■日本人記者が笑いをとった!

4日、中国全国人民代表大会(全人代)の開幕前日記者会見が行われた。その中で日本の共同通信記者の質問が話題となっている。中国大手ポータルサイト・網易の全人代特集ページでは今日のトップニュースに選ばれているほか、海外メディアもとりあげている。

20130304_写真_中国_全人代_

このやりとりを時事通信は以下のように報道。肝心の共同通信の記事がネットでは見つけられなかったのが残念だが……。

領海侵犯を正当化=尖閣国有化に「返礼ないと失礼」-中国全人代報道官
時事通信、2013年3月4日

傅報道官は、日本人記者の「中国外交はさらに過激化するのか」との質問に対し、「あなたが質問した際、中国の記者がみな笑ったことに注意してほしい」と述べ、「多くの中国人は記者も含めて中国は挑発に対してもっと強硬な態度になってほしいと望んでいる」と説明。その上で「中国は対話や協議を通じて食い違いや矛盾を解決したいが、仮に相手の選択が強硬な措置ならば、贈り物を贈られて返礼しなければ失礼に当たる」と述べ、日本政府の国有化には監視船派遣などで対抗すべきだとの認識を示した。

この時事通信記事でなにも間違いはないのだが、現場のオモシロ感が一向に伝わらないのが残念。というわけで、金鰤でその面白さを再構成してみたい。網易がテキスト起こしと動画を掲載している。


■咄咄逼人

まず共同通信記者の発言は以下のとおり。

谢谢主持人、发言人。我想问一下有关海洋的问题,就是中国如何描绘建设海洋强国的蓝图,怎样缓和与包括日本在内的周边国家的摩擦,中国外交是否会更加咄咄逼人。谢谢!

司会者、報道官、ありがとうございます。私は海洋に関する問題について質問いたします。すなわち中国はどのように海洋強国建設のスケジュールを描いているのか、日本を含む周辺国との摩擦をどのように緩和しようとしているのか、中国外交はこれまで以上に咄咄逼人(怒鳴り散らして人を追い詰める)のでしょうか?ありがとうございます!

この「咄咄逼人」という発言が出たところで、会場には笑いが広がる。というのも中国の強硬姿勢を示すならば、気勢洶洶、盛気凌人といった言葉もあるのだが、咄咄逼人というとなにやらがみがみ怒鳴り散らして相手を困らせているという、大変よろしくないイメージ。質問した記者がそこまで考えてこの言葉をセレクトしたかはわからないが、聞いていた中国人記者のツボにはまり、見事笑いを取ることに成功したという次第。中国各紙の報道もこの「咄咄逼人」をタイトルに使っているなど、中国人的にはよっぽどおどろいたor癇に触る表現だったようだ。


■傅瑩報道官の怒濤の反撃

そしてここから傅瑩報道官の怒濤の反撃が始まる。まず海洋強国建設は中国にとって必要なものだが、それは平和的なものと説明。そのうえで「咄咄逼人」問題への反撃に入る。

質問に比べて回答の長さはちょっとびっくりするほどだが、質問にエキサイトしたからか、全人代報道官は中国外交部報道官ほどお堅くないのか(もっとも傅瑩さんは中国外交部副部長と外交畑だが)、ちょっとユーモラスな部分もあり、そこそこ率直な部分もあり、なかなか面白い内容となっている。

というわけで以下長々と翻訳、紹介したい。お時間がない人向けに時事通信が取り上げている過激発言ポイントは黒字にしてある。時事通信記事で「中国め、またこんな過激発言を!」と怒りに燃えていた方は全文を読むと、「あー、こういう流れで出てきたのね。ならそこまで怒るほどでもないかも……」とトーンダウンしてしまうかもしれないので、注意してほしい。


あなたは中国の対外姿勢はこれまで以上に咄咄逼人になるのかと質問しました。この質問は最近、よく聞きます。米国、欧州の友人ともこの問題について話しました。あなたたち(中国)の発言、行動はどういう意味を持っているのか、それは咄咄逼人ではないのかと質問されました。おそらくそれは日本だけの見方ではなく、他の国にもこのように見ているところがあるのでしょう。メディアもこのように報じているものがあります。

中国というかつて貧しく弱かった国が強く発展し、次第に国際的な活動を担うようになっています。事実上、中国は世界の中心舞台に入ったと言っても良いでしょう。私たちはすでに世界の中でも中核の位置を占めるに至りました。当然、世界の中心舞台には過去の伝統的大国がひしめいています。新参者の中国は注意を引くでしょう。みなは(中国を)評価し、その一挙手一投足に注目します。中国を理解したい。今後どのような役割を努められるのか?何をするのか?みなと仲良くできるのか?地域と世界に溶け込めるのか?

中国がかつての伝統的大国と異なっているのは、我々には異なる政治制度がある点です。中国には人口が多く、発展の速度も速い。しかもさらに高成長を維持しなければなりません。ゆえに他者は私たちを完全に理解できるとは限りませんし、さらに一部には過去500年の弱肉強食の国際関係という伝統から、そうしたロジックから私たちの未来を予測するでしょう。なにかしらの出来事をみつけては自分たちの予測の証拠とする。こうした状況が存在しますし、それが変だとも思いません。

さきほどあなたが質問した時、中国人記者が笑ったことに気づいたでしょう。実際、あなたが中国で聞くのは(日本などの国とは)まったく違った意見です。メディア関係者を含め多くの中国人の意見は、中国はもっと強硬であるべきだというものです。とりわけ挑発を受けた時にはもっと強硬な姿勢を示して欲しい、と。(他国の見方との)こうした差異は存在しますし、我々はこうした現実の状況を見なければなりません。

まず政策面から言いますと、すでに述べたとおり、中国は独立自主の平和外交政策を堅持します。しかしその一方で私たちは自分たちの主権、権益を断固として守ります。また私たちは地域の平和、世界の平和を積極的に守っていきます。この基本的な原則は30年間、揺らいだことはありません。しかしある問題が生じた時、領土紛争問題が比較的困難な状況に陥った時、ある国家が挑発行為をとってきた時、私たちはどうするべきでしょうか。

あなたが先ほど質問したどのように隣国との紛争を解決するべきかという問題について、日中間に意見の分岐がある理由ははっきりしています。長くなりましたから(分岐の原因については)繰り返しませんが、中国は対話、交渉、相談によって分岐と矛盾を解決したいと希望しています。中国人は「一个巴掌拍不响」(片方の手だけでは拍手は出来ない=片方だけではできない、双方の合意が必要)とよく言います。双方がこのような(対話を希望する)意志を持っていることが必要です。

ではもし相手が強硬な手段に出てきたならば、選択できるのはコンセンサスを放棄する道だけです。中国には「来而不往非礼也」(来訪されたならばお返しに訪問しないと非礼にあたる)という言葉もありますからね。

ですから全人代でこの問題が話されている時、共同通信の記者は日本の政界の人々、日本の有識者の人々に(そのことを伝えて欲しいと)希望しています。日本の人民、日本の指導者は中国人民の考え方を知っているか、釣魚島の歴史事実を知っているか、彼らは客観的に向き合えるのか、そのことを私たちは知りたいと思っています。

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 コメント一覧 (6)

    • 1. 名無しさん
    • 2013年03月05日 00:02
    • 中国共産党の意見を報道するより
      中国の行動(領海侵犯などの軍事的挑発、反日暴動やテロ)を報道したほうがよっぽど中国共産党の真意が日本国民に伝わると思う(笑)

      中国の口だけ平和主義の主張なんて聞くだけ無駄無駄(笑)
    • 2. Chinanews
    • 2013年03月05日 00:46
    • >名無しさん
      コメントありがとうございます。
      確かにこういう発言は言葉遊びに堕している部分も少なくないとは思います。ですが、まあそういう言葉尻を見ながら、中国の動きを予想するという職人芸(or砂上の楼閣)が何十年も世界で続けられているわけで、細々チェックするのもそれなりの意味があるはず……と思っています。

      中でも今回の全人代報道官の発言は結構かちんと来たのか、がんがんしゃべっている中で結構素直に自分の考えを出しているんじゃないかな……と思われるところがあるのが興味深いです。普段からやりなれている報道官ではなく、年に一度の全人代に今回起用されただけの人、ということもあるかもしれません。
    • 3. 名無し
    • 2013年03月05日 02:37
    • 古代中国の戦争では、両軍向かい合った状態から代表者を送り
      諧謔を言い合って合戦を始めたらしいからな
      知恵比べの要素もあるのだろう
    • 4. sa
    • 2013年03月05日 21:57
    • //japanese@china@org@cn/politics/txt/2013-03/04/content_28123028.htm(@=.)
      ここと少なからぬ差異と異同があるようだけれども。見解如何?
    • 5. Chinanews
    • 2013年03月05日 23:41
    • >saさん
      コメントありがとうございます。カイロ宣言、ポツダム宣言のあたりなど大幅に追加されてますね。私は網易のテキストおこしを底本にしたので、そっちが抜けていたか、あるいは中国網日本語版が使った原文が記者会見にない発言を足したかどちらかということでしょう。これほど多くのもれは考えづらいので、前者の可能性が高いと思われます。

      また中国網の翻訳のほうが「堅く」訳しているという文体、ニュアンスの問題もあります。咄咄逼人も「中国の外交姿勢がより高圧的になることはありませんか」との訳。これだと会場で笑いが起きた理由とか伝わらないと思うんですけどねぇ。



    • 6. Chinanews
    • 2013年03月05日 23:44
    • >古代中国の戦争では…… さん
      共同通信の記者さんがいきなり日本代表にされるのはかわいそうな気も><

      それは冗談としても、この報道官さんは外交官あがりということなので、国際政治舞台での丁々発止のやりとりはお手のものなんでしょうね。いきなりこれだけとうとうとしゃべるのはたいしたものかな、と。

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