■外患より内憂を恐れる中国=軍事費は11兆円、治安維持費はそれ以上に■
■中国の国防費は世界2位、今年も二桁成長続く
2013年3月5日、中国全国人民代表大会(全人代)に政府予算案が提出された。最大の注目はやはり国防費だ。
中国 国防費予算2けたの高い伸び
NHK NEWS WEB、2013年3月5日
中国のことしの国防費の予算はおよそ7406億人民元(日本円でおよそ11兆1120億円)で、去年の予算執行額に比べ、10.7%の増加となりました。
中国の国防費の予算は、1989年以降、2010年を除き、過去20年以上、毎年2桁の高い伸びを記録し、この10年でおよそ4倍近くに増えています。中国が発表したことしの国防費予算は、アメリカに次ぐ、世界第2位の規模になるとみられます。
同記事によると、
米国:64兆2700億円
中国:11兆1120億円
ロシア:5兆6000億円
英国:5兆5000億円
日本:4兆7000億円
フランス:4兆6000億円
ドイツ:3兆9000億円
といった並び。日中はダブルスコアの差となった。というか、ロシアにもほぼダブルスコアとなっているのがすごい。しかも中国の国防費は不透明で、予算案に計上されていない金額も多いと指摘されるとあって、実際の差はこれ以上と推測される。
*画像は
VOA。2000年以降の中国軍事費の推移。単位は10億ドル。
■外患よりも内憂が怖い?!というわけで、中国の国防費は大変な水準に達しているわけだが、実は「外患」から身を守るための国防費より「内憂」を防ぐための治安維持経費のほうが多いというから恐ろしい。台湾・
聯合報によると、中国の治安維持経費は7690億元(約11兆5000億円)に達している。2010年から3年連続で治安維持経費が国防費を上回っている。
2011年当時、この外患よりも内憂に金をかけている状況が海外メディアに報じられ結構な話題となり、中国ネット民にも「政府の敵は外国ではなくて国民ですか」云々と相当皮肉られたことを記憶している。
ただ要注意なのはこの治安維持経費は中国の政府予算案に建てられた項目ではなく、警察、武装警察、密輸取締部局、裁判所、陳情部門、刑務所、労働教養部局、中国国内安全保衛部局(国保)などの費用をすべて合算したものだということ。まあ確かにいずれも国内の治安維持には必要なものだが、ときおりなんともまがまがしいものとしてこの治安維持経費が取りざたされることがあるのはどうかと疑問に思う。ただ、この治安維持経費の約半分は警察、武装警察の予算。2011年の予算分捕り合戦で警察その他が大勝利を収め、その後も軍と張り合うペースで予算獲得に成功していることは間違いない。
今は気持ちいいペースで税収が伸びている中国だけに、パイが大きくなる中での予算分捕り合戦が楽しめるわけだが、今後、成長ペースが鈍化するにつれ、シビアになっていくだろう。まだ先の問題とはいえ、その時に軍や警察の肥大化を押さえ込むができるかという不安のタネが育ちつつある。
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