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2013年03月10日
*2013年3月10日午後11時追記。
■SFで何が悪いのか?!リアリティ・ゼロの“SF”抗日戦争ドラマを弁護する
先日も記事「クリエイターの逃げ場となった中国の「抗日戦争ドラマ」=“抗日”というビジネス」でとりあげたが、最近、中国で抗日戦争ドラマが話題となっている。「作りすぎ、似たものばかり、あまりに現実離れしている」と、メディアとネットではバッシングが主流だが、中国政府の検閲にひっかかるリスクが小さく、しかもそこそこ視聴率がとれるということで、抗日戦争ドラマの大量生産が続いているという。
また見識ある中国メディア、ネット民の「現実離れ」しているという批判は、はからずしも「崇高なる、真実の抗日戦争を伝えていない」と怒る保守派の皆様と共闘する形になっている点も興味深い。
確かに抗日戦争ドラマが日々垂れ流され、「日本人=悪=とりあえず叩いていいもの」というムードが広まるのは勘弁して欲しいし、「好きに創作させてくれ!」という中国人クリエイターの気持ちもよくわかる。だが、いびつな形で生まれた新たな抗日戦争ドラマの中には、激しく面白いものも生まれているようだ。
というわけで、リアリティを欠くという批判を「科幻」(SF)というタイトルで示した網易のSF無理解ぶりにはちょっぴりむっとしつつも、「SF上等、リアリティなんか最初からいらんかったんや!」と反論したい。全力でリアリティに背を向ける方向性を突き詰めてきた日本のサブカル、珍妙な抗日戦争ドラマはその意味で実はなんとも「日本らしい」存在ではないだろうか、と謎理論を駆使してでも弁護したいのである。
■カッチョイイ“SF抗日戦争ドラマ”
*表紙ページ。すでにこの時点でワクワクしませんか?
*手榴弾で戦闘機を迎撃。もちろん見事に成功します。ドラマ「永遠に摩耗することのない番号」より。同作は愛国の心を持った志士たちが抗日するという内容で、抗日戦争ドラマ版「水滸伝」と呼ばれているとのこと。
*こちらは「女子炸弾部隊」より。山に爆弾をしかけ、その爆発で石を飛ばして戦闘機を迎撃するという回りくどい神戦術を成功させたところ。
*南斗水鳥拳キター!抗日武侠アクションで大ヒットとなった「抗日奇侠」より。
*女性の縛り方があまりにも趣味人な件について。抗日戦争ドラマという大義名分さえあればこんなお遊びもテレビで流せる!「抗日奇侠」より。
*角刈りじゃなきゃ抗日はできないって誰が決めた!アイドル俳優で抗日戦争ドラマ、キター!「向着砲火前進」より。主演の呉奇隆は元祖華人アイドルグループと呼ばれる台湾の小虎隊の出身。
*ここまでくるともうこの写真だけでは抗日戦争ドラマだなんてわかりません。「向着砲火前進」より。
*渋いキャラが好きな人向けには西部警察(?)テイストも欠かせません。ロングの皮コートに日本刀を背負っているおっさん、イカス!「孤島飛鹰」より。
*西部警察だとイケてる車両も欠かせないよね。
*同時に3本の矢を放つ。指輪物語のレゴラスにインスパイアされた可能性が大。弓矢を武器に日本と戦う「箭在弦上」より。
*宣伝ポスター。右が「女尼排」(尼僧小隊)、左がその姉妹作「和尚連」(和尚連隊)。聖地・五台山の尼僧や和尚が日本鬼子とバトってくれるらしい。ちなみに「尼僧が抗日に立ち上がったという真実の事件を取材」「30人以上の美人女優の頭を剃ったった」とのこと。
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