中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年03月16日
■恐怖の世界消費者権利デー
3月15日は世界消費者権利デー。 1962年のこの日、ケネディ米大統領が消費者の4つの権利(1.安全への権利、2.情報を与えられる権利、3.選択をする権利、4.意見を聴かれる権利)を盛り込んだ教書を議会に提出したが、これにちなみ、1983年から国際消費者機構が実施している。
日本ではあまりなじみのない世界消費者権利デーだが、中国のテレビ視聴者にとってはたまらない娯楽の一日であり、中国の企業、とりわけ外資系企業にとってはびくびくして過ごす一日となっている。というのも中国ではお上もメディアもがんがんにこの日を盛り上げ、“いけにえ”となる企業のどんなささいな悪事も大々的に暴き、指弾するのだ。その中心的存在であるCCTV3.15晩会(晩会とはパーティーの意味!)がすごい。
大企業の悪事が次から次に暴かれるわ、「今から政府管轄部局職員と一緒にお店に突入します~」とのライブがあるなど、ともかく楽しい。その楽しさとテレビの暴力を前に、“いけにえ”になった企業には土下座以外の選択は基本的に残されていない。 昨年はカルフールの賞味期限切れ豚肉販売、そしてマクドナルド中国のマニュアル違反が目玉の“いけにえ”となったが、マクドナルド中国が放送から30分後にSNSで謝罪し、光速の火消し広報を見せたことも話題となった。
■アップル社は中国を“差別”している?!
さて2013年のCCTV3.15晩会だが、血糖値を下げるという触れ込みの謎の“神薬”、黄金装飾品産業の暴利や純度をごまかしているのではないかという疑惑、フォルクスワーゲンのトランスミッションの問題などが取り上げられたが、一番の目玉となったのはアップル社のiPhoneアフターサービス問題だ。
保証期間中にiPhoneの修理を依頼すると、新品とと交換されるというのはよく知られた話。小さなボディにぎっちりと部品を詰め込んでいるため修理は容易ではないためのだという。ところが、中国では修理を依頼すると、基本的に交換してくれるのだがボディの後ろ側のカバーだけは元のiPhoneのものを流用している。これは差別ではないか、という筋書きだ。
なぜアップルが面倒なカバーの交換作業をしてまで“差別”しているのか、その理由もCCTVはがっつり突き止めている。中国の「移動電話修理・交換・キャンセル責任規定」の第21条によると、製品を完全に交換すると三包期間(修理、交換、キャンセルの有効期間、日本でいう保証期間のようなもの)はまた1からカウントすることになっている。
なので1年間の三包期間が終了する間際に故障して、新品に交換してもらうことを続けると、未来永劫保証期間が続くという大変な事態になってしまうわけだ。企業にとっては厳しすぎるような規定のような気もするが、日々壊れ続け修理を繰り返したあげく、「保証期間終了。サヨウナラ」というヤクザな対応を防ぐため、と思えば納得できるかもしれない。
とはいえ、アップル社としては勘弁してくださいという規定のようだ。そのためアップルはカバーだけは元のiPhoneのものを流用し、「交換ではござらん。修理でござる。確かにカバー以外はごっそり変えたけど修理でござる」と言い張っているという。
■あるアホが暴露した“サクラ”つぶやきの内実
ここまでで十分、お腹いっぱいの話なのだが、このネタにはここからが本番だ。
3.15晩会のアップル・ネタが放送されていた午後8時20分ごろ、複数の微博(マイクロブログ)有名人が番組に関するコメント、アップル批判のコメントを一気につぶやき始めたのだ。まるで誰かに指示されたかのよう。とはいえ、人気テレビ番組だし社会的関心も高いネタだし、これだけならば偶然で済ませられたかもしれない。
だが、アホがいた。台湾の歌手、俳優の何閏東さんだ。
何潤東:#315在行動# アップルがアフターサービスでこんなからくりを使っているとは。アップルファンとして傷ついた。こんなことしてジョブス教祖に申し訳が立たないと思わないのか?腎臓を売ってまでiPhoneを買った少年に悪いと思わないのか?やっぱり大企業は客を騙すんだな。だいたい午後8時20分につぶやく。
画像: [中国/ネット]KINBRICKSの記事 kinbricksnow.com/archives/51847… 関連... tmblr.co/ZQtTUvgPGvD9
— Lung-ta Project jpnさん (@lungtaproject) 2013年3月16日
ネットが普及し出した時も、ブログが流行りだしたときも同じ事言ってた。
変わった部分はあるかもしれんが、中国人は中国人。
日本人的発想で中国人見ても仕方がない。