■フォトショップ・マフィアとの人民戦争が始まった

2013年3月25日、雲南信息報は、湖南省婁底市双峰県のフォトショップ・マフィアとの戦いを報じた。双峰県では偉い人のエロ写真をコンピュータで加工して作成、恐喝するお仕事が闇の地場産業として栄えているという。

以下は双峰県に張り出されたスローガンや県政府の会議の様子。エロ画像を作り出す犯罪組織との人民戦争を展開するらしい。


＊全社会は行動せよ！フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する輩に打撃を与える“人民戦争”を展開せよ！


＊双峰県フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する犯罪状況についての報告会議。


＊フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する犯罪に徹底的打撃を！双峰県の良好なイメージを樹立しよう


＊フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する犯罪に徹底的打撃を！双峰県の良好なイメージを樹立しよう


＊全社会を動員し、フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する輩に打撃を与える“人民戦争”を展開せよ！


＊フォトショップ技術を利用してエロ写真を合成し恐喝する犯罪に徹底的打撃を！双峰県の良好なイメージを樹立しよう


■ネットで騒ぎになったらやばい

18日、京華時報は双峰県でフォトショップを使ってエロ写真を作り恐喝を繰り返していた犯罪者8人が逮捕されたことを報じた。ターゲットは政府官僚、企業幹部などの偉い人。25万5000元（約383万円）の違法所得を得ていたというから、「捏造写真で変な噂を立てられたくないでござる」と素直にお金を払った人がいたわけだ。

捏造写真にお金を払ってしまう人の気持ちもよく分かる。

昨年11月、重慶市北培区トップの雷政富書記が愛人とエッチしている動画がネットで公開された（参考記事：18歳愛人との性愛動画流出で官僚がクビに＝中国を騒がす垂金権造事件）。ネットで噂となり、党紀律部局が動き、雷書記はおろか、愛人を“差し入れ”していた企業、“差し入れ”てもらっていた他の官僚など芋づる式に逮捕、失脚している。

汚職官僚の失脚は愛人がらみで発覚というのがパターン。というわけで、ニセモノであれエロ写真での脅迫というのはなんとも恐ろしい武器となる。もしネットで騒がれて党紀律部門が動き出したら、さあ大変。ちなみに中国では「官僚の正当な報酬で蓄財できる以上の資産を持っていて、その由来を説明できなかったら有罪」となる。偉い人ならばなんやかんやと言えない収入があるのは当たり前。ニセモノのエロ写真で捜査が始まったとしても、「兄さん、結構お金を持っておられますが、これはどこから？」という流れになると、アウトになる可能性が高い。


■エロ写真詐欺の産業集積と闇の地場産業

実は双峰県は捏造エロ写真で恐喝する違法産業が盛んだという。2012年から双峰県は彼らフォトショップ・マフィアの摘発強化を進めており、これまでに4グループ37人を摘発した。2013年1月25日からは約半年間の「フォトショップ写真詐欺脅迫」違法犯罪専門取り締まりキャンペーン期間に指定された。上記の写真はその一環というわけだ。

今の時代ならばパソコンさえあればどこでもエロ写真合成ぐらいできそうなものだが、犯罪のノウハウや分業などの産業集積があって、双峰県の地場産業になったと思われる。記事では犯罪の詳細まで明かされていないが、ひたすら偉い人の情報を集めてくる人、エロ画像を合成する人、恐喝する人など分業体制が築かれているというのがパターンだろう。

こうした闇の地場産業はなにもエロ写真合成だけではない。本サイトの記事「殺人を産業とする貧困県＝知的障害者を使った炭鉱殺人詐欺が続発―四川省」では、四川省涼山イ族自治州雷波県で、知的障害者を炭鉱に送り込み、わざと事故死させ、金をゆすりとる犯罪が地場産業化していることを紹介した。他にも農村の子どもをかどわかし、中国全土に送り込んで物乞いをさせることを地場産業としている地域もあるなど、闇の地場産業は多種多様なようだ。

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（執筆者：Chinanews）