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習近平の風紀引き締めでウイスキー売り上げが激減=民主制度VS共産党の官僚のムダ遣い対策―中国

2013年03月26日

■習近平の風紀引き締めでウイスキー売り上げが激減=民主制度VS共産党の官僚のムダ遣い対策―中国■
 

1978 Ballantine’s Blended Scotch Whiskey
1978 Ballantine’s Blended Scotch Whiskey / Keijo Knutas


■習近平政策でスコッチが売れなくなりました


習近平総書記の風紀引き締め政策が洋酒メーカーの業績を直撃したという。

2013年3月25日、フィナンシャルタイムズ中国語版は記事「中国の反腐敗、洋酒販売に影響」を掲載した。バランタイン、ロイヤルサルートなどのスコッチブランドを擁する世界的な酒造メーカー、ペルノ・リカール。同社によると、今年の旧正月期間の売り上げは昨年とほぼ同水準。コニャックの売り上げは微増したものの、スコッチの売り上げは10%以上の大きな落ち込みを見せたという。

習近平総書記の風紀引き締め政策、工作作風改善キャンペーンは、無駄な会議をやらない、無駄なイベントを開かない、無駄な飾り付けをしないなどなどの倹約政策。そのあおりをくって高級ホテル、高級レストランは宴会需要が激減したと伝えられる。

中国でのスコッチ、コニャックの需要のうち10~15%は贈答用。というわけでスコッチ売り上げの落ち込みは習近平政策の結果と受け止められている。


■官僚のムダ遣い13兆5000億円なり?!

官僚のムダ遣いの代名詞といえば三公消費(公費飲食、公用車、公費旅行)。先日、浙江省で「三公浪費の対策」というシンポジウムが開かれ、2012年の三公消費が9000億元(約13兆5000億円)を突破したとの推計が発表された。政府の財政収入の10%に相当する金額だという。

昨年、「中華民族の夢」の一つ、空母が完成。中国メディアはお祝いモードとなった。年頭の南方週末事件でも、省宣伝部局から「社説のタイトルだけど中華民族の夢にしてよ。で、添える図案は禹王の治水じゃなくて空母の絵にしてよ」と言われたことが明らかになっている。中華民族の夢=空母なのだ。

が、「三公消費のムダ遣いを転用すれば空母なんかいくらでも作れるやんけ」というのが中国ネット民定番のツッコミ。ウィキペディアによると、原子力空母のお値段は運用費コミで2兆5600億円とのことなので、5隻ぐらい変えちゃうという計算になる。まあ原子力空母は食べられないし……。


■ムダ遣い対策は民主か、それとも共産党か

それはともかく小心者の私としては気になるのが、政策に振りまわされる商売人のみなさんのこと。今年の全人代では定番の花飾りを廃止したとのことだが、いつもどおり納品するつもりで花を育てていた園芸農家さんはどうしたのか、と気になってしまう。

洋酒メーカーにしても、あるいは高級ホテル、高級レストランにしても、習近平総書記のお達し一発でビジネスの環境ががらりと変わってしまうのは辛いなぁと同情するばかり。

上述のシンポジウムでは「三公消費対策は民衆の監視強化しかない」という結論だったようだ。これは中国経済右派のみなさんに広く共有される考え方で、官僚が民草の監視を受けるようになればむちゃはできんやろ、というもの。つまり簡単にいってしまえば、「もっと民主を使いましょう」ということだ。

体制変革という意味での民主推しをすれば当局に叱られてしまうということも一因とはいえ、民主制度をなんだか崇高なものとして語るのではなく、「官僚のムダ遣いをなくす」とか「みんなが納得できる形でゴミ焼却場を作る」といった形で運用するべきではないか、というのが中国での一つの流れとなっている。

習近平総書記のお達し一発での風紀引き締めはそうした論調に真っ向対立するものとも言えるかもしれない。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で政治キャンペーンが行われている間だけムダ遣いが減るのか、それとも官僚の浪費取り締まりも共産党パワーに頼るべきなんやで、という結論がでるのか。

スコッチの売り上げ減少の裏側にはこうした対立が潜んでいる。

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