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習近平の娘も李克強の娘も帰国……中国高官子女の帰国ラッシュは何を意味するのか?(水彩画)

2013年03月26日

■指導部の身内が続々帰国■
 


■帰国ラッシュ

両会を前にした2月25日。党員の汚職取締りを担当する中央紀律検査委員会書記の王岐山は、全体会議で「配偶者とその子女が国外(境外=香港、マカオ)に移住している国家公務員の管理と監督を強める」と宣言。この手の引き締め宣言はこれまで何度も聞いているので、大して気にしていなかったのですが。

中央指導者の子女が続々米国離れるハーバード校長「依然として中国人留学生多い」(明報、2013/3/22)
中国反腐敗への更なる一歩高官の子女続々帰国(RFI中文、2013/3/23)

明報、ウォールストリートジャーナルの報道によると、昨年11月の十八大(第18回党大会)前後から、米国に留学もしくは移住していた中国の指導者クラスの子女が続々と帰国していると言います。

習近平、李克強、李源潮、汪洋、馬凱といった政治局常務委員、政治局委員の大物の子供がアメリカ在住だったようです。馬凱は先日まで中央委員でしたので、中央委員クラスも多数が家族を送り込んでいると考えるべきですね。昨年失脚した薄熙来の息子で、今やどこから学費はおろか生活費が出ているかよくわからない薄瓜瓜もハーバードでした。

2010年5月から留学を開始した習近平の娘である習明沢は、党大会を前に政治面、安全面など様々な問題を考慮して退学しています。ハーバードでは偽名を使い、地味に過ごしていたためバレていなかったのか、誘拐などの被害には遭っていないといいます。米側の警護対象となっているのですから当たり前ですが。

李克強の娘も留学を打ち切り、北京大で仕事を始めています。元々父と同じ北京大の卒業生であり、北京大の指導者以外、この事を知る者はわずかだとか。李源潮、汪洋、馬凱らの子供たちもアメリカから帰国。馬凱の娘はアメリカで長く仕事をしていました。

一時帰国との批判を免れるため、所有していた住居や自家用車を処分し、銀行口座を整理。財界でも追随するものが出ているようです。処分する住居や車を家族が持っているのもアレですが、なぜハーバードなのか。李源潮の娘はイェール大ですけど、本人が90年代に短期留学しているように、当時中央組織部ハーバード大が養成関係を結んだためと報じられています。


■そもそも海外に行かなくても……

中国では妻子を海外に送り、自分だけが中国に残っている官僚を「裸官」と呼びます。自分だけ逃げ出せば亡命完了という人のことをいうわけです。逃げる準備をしていることももちろん、自分の子息だけステキな外国で育てていることへの批判も根強いものがあります。とはいえ、もちろんこのクラスになれば民衆の批判をかわすため、率先して身内を帰したなどと殊勝なことを考える人たちでありません。恐らく同士討ちを避けるために談合した結果ではないかと。

政治局委員クラスなら党が倒れない限りは国内で安寧に暮らせますし、批判を受けている裸官が不可欠なのは市の幹部などもっと下のクラスです。正直、このクラスが家族を海外に移住させるメリットをあまり理解できていないのですが、政治と関係ない分野に進ませる時に学歴というハクが必要になってくるとか?

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年3月26日付記事を許可を得て転載したものです。


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 コメント一覧 (2)

    • 1.
    • 2013年03月27日 11:23
    • いわゆる大学経営の養分となる遊学生枠が箔付けになる学歴なのか疑問だが、普通に就職なんてしないのだから良いのかな。
      他国に乗っかる安寧の移民生活を夢見ての安易な投資留学もなかなかの博打だけど。
    • 2. Chinanews
    • 2013年03月27日 23:46
    • >いわゆる大学経営の…… さん
      政府高官の子弟が強力なコネを生かしてビジネス、というのはよくあるパターンなので、米国名門校で米国人とのコネを築くのも有力な選択肢なのかなと思います。逆に米国の学生にとっても逃せないコネですよね。「習近平娘と同級生でした」はかなり強力な武器になりそう

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