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14年前、ボクたちは地球を救った……中国人オタクの共同創作「1999戦記」が熱すぎる件について(百元)

2013年03月29日

■中国オタク達の壮大な妄想或いは中二的創作活動「1999戦記」■


■1999戦記:中国人オタクの共同創作ストーリー

ありがたいことに中国オタク関係の面白いネタを教えていただきましたので、今回はそれを紹介させていただきます。

最近、中国のweibo(中国版マイクロブログ)では「1999戦記」という集団創作活動が盛り上がっているそうです。関連するコラ画像やMAD動画なんかもポコポコと出現しているようで、とりあえずbilibiliにアップされているMAD動画はコチラです。



見た感じ、どうやら中国の若者がオッゴで戦ったっぽいのがちと気の毒?ですね。1999年時点ではオーバーテクノロジーですが、やはりオッゴでは……。
(オッゴとはOVA「ガンダムイグルー」に登場する兵器。ドラム缶に砲と手をつけたジオン軍版ボール。学徒兵がオッゴで出撃するさまは涙なしでは見られない)

また、中国のニュース動画(中国語)のコチラもよろしければご参照ください。




■SNSのつぶやきがオタクの創作意欲と中二病魂に火を着けた

この動きの発端となったのは「1999戦記:80後90後はあの年どのようにして世界を救ったか?」というマイクロブログ(微博)の書き込みです。
(訳注:80後、90後はそれぞれ80年代生まれ、90年代生まれのことです)

20130329_写真_中国_オタク_

00後のよい子のみんなは本当に80後90後が君たちのようにすごくないと思っているのかい?君たちはもともと生まれるべきではなかったんだ。私達80後90後が1999年にこの世界を救ったから君たちはやっと生まれることができたんだ。調べる必要はないよ、ネットには無いからね。あの晩、私たちは異星人と戦い隕石に抗っていたその時、ついでに全ての人の記憶を消してしまったんだ。よい子の皆、君たちの誕生のために私達に感謝するようにしよう→_→


というつぶやきだそうで、これをきっかけとして中国のネットでは「当時の戦い」に関する創作熱が盛り上がり、「1999年に皆がどのようにして世界を救ったかを追憶する」といったネタストーリーが次々と作られていき、いつの間にか「1999戦記~世界を救うために行われた悲壮な戦い」みたいなことになっている模様です。


■膨れあがった設定はこんな感じに……

この創作の動きは今も続いているので、現在どんなことになっているかは把握しきれないのですが、とりあえず「百度百科」のページにまとめられている内容を大雑把に紹介させていただこうかと思います。

それで現在の設定(?)によると、戦いの始まりは

・1999年の初めに隕石が地球に落ちたことが異星人の地球侵略の始まりだった。

・最初の襲撃は全ての大陸に及び、異星人はネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲により地球全土を砲撃した。
(ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲はマンガ「銀魂」に登場する大砲。その形から男性の下半身に存在するようなものを連想してしまうが、ゴールデンタイムでテレビ放送できたものであり、決して卑猥なものではない事をここに明記しておく。ニコニコ大百科

・戦争においては青少年たちがまず戦い初め、事態の進展に伴い全ての年齢の人間が立ち上がり、地球全体による戦争となり、地球の反侵略、自衛の反撃作戦が始まった。

といった話になっている模様です。そしてその後

・世界中で激しい戦闘が繰り広げられ、各地の「実情に合った戦い方」が行われ、多くの舞台や組織が結成された。

・戦争が全世界規模になり「戦時国際最高組織」(具体的な名称は不明)なるものが設立され、各大陸に支部が置かれた。

で、この「実情に合った戦い方」に関するネタというのが非常にオタクっぽいものになっていまして、自分の好きなアニメや漫画、ゲームのネタをぶちまけているそうです。

・軍隊だけでなく、様々な学者、超人、達人、ニンジャ、サムライ、魔法使い、人間以外の超自然的な生物だとか異種族だとか、秘密結社だとか、ロボットだとかデジモンだとかFateの宝具だとかの各種秘密兵器が飛び交った。

・また地球外の盟友、別の異星人だとかロボットだとか神霊の類も援軍に来てくれた。

といった感じで、ようは「なんか凄そうなオタク系の武器やパワーが炸裂してスゴイ戦いになっていた」ことになっている模様です。

そしてこの戦いも終焉へと向かい

・1999年の冬、地球人と侵略してきた異星人の間に「世紀末相互不侵略星系同盟協定」が結ばれ、異星人による侵略は止まった。

・この戦争は一応の勝利となったが、死亡した人々や世界の資源の損耗、世界各地の組織への被害など、計り知れない損失が出た、ある意味では失敗に終わったとも言えるものだった。

・戦いに勝利する前夜、当時の「戦時国際最高組織」は世界各国の上層部を集め、「戦後総括再建会議」を開き、「世紀末戦役協定」を定めた。

・この協定文書は残った「最高組織」の中心部に封印されているため詳細な内容は、今に至るも知られていない。しかしその協定の中で一つハッキリしているのが「全世界の人間(一部の上層部も含まれる)に対して記憶の削除を行う。しかし一部の戦争に参加した人間や貢献のあった人の記憶は残す」ということ。

・また記憶を残す人間は国際統一協定に調印し、この戦争に関するあらゆる事情についても、いかなるルートを通じても明かさないということを承諾している。もしそれを破った場合は「国際戦役最高組織」の人間が相応の措置をとる。

ということになったので、現在世界で暮らしている人の多くは戦いの記憶を持っていないという話になっている模様です。そして、記憶を残した人間は「協定」を守って生活を続けている……といった設定になってきているようです。

20130329_写真_中国_オタク_3
こちらは「あのつぶやきが13年前、激戦続く夏を思い出させた……」というせりふからマンガで振り返る1999戦記。上記のコマは恐怖の大王を名乗る宇宙人。宇宙人がやってきた時、夏休みだった80後、90後は仕事で働くパパ、ママの代わりに出撃。ちなみに死亡すると同じ人間のクローン人間が戻ってきたり、地上の壊れた町はパンダ建設隊が修理してくれたとのこと。なお1999年以前、パンダは猫犬よりも数が多い普通のペットだった。

■中二病魂全開のつぶやきの数々

そして、こんな背景設定のもとにみんなしてイロイロとそれっぽい話を呟いて盛り上がり、いつの間にかなんとなくスゴそうな話になって来て、それがまた皆をノリノリにさせて更なる大風呂敷が広がるといったことになっているようです。以下に同じく百度百科で紹介されているネタを例によってイイカゲンに訳してみますので、ご参照ください。

この記憶は墓場まで持って行けると思っていたんだがな……結局押さえておく事はできなかったってわけか!

なぜあの事を再び蒸し返すんだ!なぜ00後の子供たちに良い生活をさせてやることができないんだ!まさかお前たちはあの時、信長に頼まれた事を忘れてしまったというのか!?
(訳注:戦闘部隊の最後の指導者の名前が「信長」という設定になっているようです)

もし異星人が当時の「星系同盟条約」を守らず、新たな侵略が起こるならば、00後はどうやって食い止めるのだ。私たちはもう年老いている!

なぜ秘密協定を違える!お前達はあの時死んだ戦友達にどのような申し訳をするつもりだ!

死んでいった戦友達の写真を見ると、いつも心に止めておくことが出来なくなり、密かに泣いている!

当時の戦友にばったり会っても、目配せくらいしかできずただ深く心の中にとめておくばかりさ!

00後の子供達が私達の以前の生活について聞いてくるとき、特に私達が突然「1999戦記」のときの事を思い出すとき、私達はみな深いため息をつき、そして「何でもない、ちょっとした‘とるに足らない’昔の事を思い出しただけさ」と言うが、その時の心の痛みときたら!

当時は大地は死体が溢れ、空には鳴き声が満ちていた。様々な戦役、多くの盟友、多くの旗印、様々な言葉、入り乱れたパワー、そしていくばくかの感動……ありありと目に浮かぶ……

他の星系からの盟友や救援者が来てくれたっけな……

私はギルガメッシュとエンキドゥと共に戦った日々を本当に懐かしく思う。彼らがいってしまったとき、私の心からの言葉、お前は私の永遠の兄弟だと……言えなかったのをとても後悔している。

とまぁ、こんな感じのノリで、ある種の中二病的な妄想ネタがweiboを中心に現在も中国のネットでは飛び交っているようです。こういった創作活動が今盛り上がっていることの背景や、創作された内容に関する分析というのも面白そうですね。

また今回イロイロと作られているストーリーにおいて共有されているネタの中に、日本のアニメや漫画にゲーム、ラノベから引っ張ってきているであろうものが数多く見受けられるというのが当ブログ的にはかなり興味深いですね。

現在の中国の若者の一般的な知識と言うかネタの中における、日本のオタク関係の話題の広まり具合が改めて見て取れるのも非常に面白いです。とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年3月14日付記事を、許可を得て転載したものです。

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