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日本アニメ・マンガの主人公から性欲が消失しているのはなぜなんだぜ?!中国人オタクの疑問(百元)

2013年04月01日

■中国オタク「確かに最近の主人公には性欲が無い」■


20120218 Gujohachiman 9
20120218 Gujohachiman 9 / BONGURI


■最近の日本アニメ・マンガの主人公がおかしい……


中国オタクの間でもヒロインが多く出てくる作品、ハーレム要素のある作品はなんだかんだで結構な人気となったりしているようなのですが、そういった作品に出て来る主人公が「スケベではない、下手すれば性欲が無いように見える」「恋愛に関して受け身」「恋愛関係に極めて鈍感」といった傾向が強すぎるというのが目についたりしているようです。

中国のソッチ系のサイトなどでもそういった主人公に関するやり取りが行われていましたので、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

日本のネットで「性欲の無い主人公が多過ぎる」と話題になっていたんだが、確かに最近の主人公には性欲が無い。私はさすがに最近のこの無性欲な流れは行き過ぎていると思うんだが、みんなはこの傾向に関してどう思う?

確かにそうだ。「IS」とかもそうだが、ハーレム要素のある作品の主人公って性欲が無い、或いは性的衝動が極小なキャラになっちゃっている

「ハイスクールD×D」の主人公を新鮮に感じたくらいだしな。考えてみれば異常か……?

横島忠夫とか諸星あたる、少年漫画系の主人公って昔はもっと性欲があった気がするんだが。

「IS」とか、主人公がもう去勢されているんじゃないかってくらいの話になってる。

別に悪くないんじゃないの?親がいない一人暮らしの家でヒロインをとっかえひっかえでやりまくりでは反感を買わないわけがない。伊藤誠とかの人間のクズの話ばかりになっても困るだろ。

そりゃそうだが、問題は「IS」の一夏のように不自然に感じて、逆にイヤなキャラになってしまうことだ。

どうせオタク向けの作品でそういった描写をしても受け入れられないんだろ。恋愛や性の関係についてオタクは嫌悪感を覚えることが多いだろうし。

でも俺達はオナニーしちゃうシンジ君を嫌悪しながらも感情移入してしまうわけで……
あ、でもホモ展開は無しね。

恋愛や好色に関して需要が無いわけではないと思うんだよね。昔からギャルゲーはあるわけだし、ここしばらくのアニメでは「アマガミ」の橘純一は人気になった。彼の紳士的なスタイルがウケたのは、やはりオタクの間でそういった嗜好が嫌われるわけではないということの証拠だと思う。

最近だと「俺修羅」の主人公も性欲無かったね。ただ、あれは中二病っぽい所が強いという点もあった。そこで考えたんだが、中二病の流行というのもあるのではないだろうか?中二病は「エロにガツガツするのを否定したがる」傾向が確かに存在するわけだし。

これまでオタク向けの作品で人気になった主人公ってのはそれなりに色を好む面はあったと思うんだけどね。ガンダムの主要キャラを振り返って見れば良い。キラ・ヤマトだってフレイとやっている。ただ、エロが行動原理、基本的な指針の一つってキャラは少なくなっているのは確かかな。「冴羽りょう」みたいなキャラは今の時代難しいのかもなぁ。

でもそういった作品って恋愛メイン、ハーレムメインではないよね。ハーレム系の作品、恋愛がメインの作品では主人公と特定のキャラに肉体関係が生じた場合そこで終了しちゃうから、ストーリー上、好色な主人公ではやはり難しいんじゃないか?そこで更に続けたら伊藤誠になっちゃうわけだし。

ふと思ったが、女性しかいない環境に放り込まれるキャラって、作品の都合上、性欲0にされてしまう傾向が強いんじゃないか?いちいち反応していたら話が進まないわけだし。昔から続いている「ハヤテのごとく!」のハヤテなんかもそうだ。

設定とストーリー展開の関係といった要素も影響していそうだね。あと設定次第では、受け身主人公のハーレム展開でも性欲関係の問題もある程度解決できるように思う。例えば「天地無用!」シリーズはその辺りをうまく構成していたように思うし、今も小説版が続いている「GXP」だと、主人公の山田西南の宇宙的な確率の不運やそれによる人格形成の設定と、女性キャラの圧倒的な戦闘力で性欲関係の話に関してある程度バランスが取れていたりするのは興味深い。

好みの移り変わり、男性ファンの内向化ってのもあるとは思うが、それと同時に日本の社会環境の変化ってのがあるんじゃないかな。日本では男性が積極的になった場合、犯罪扱いされる可能性が昔よりも随分と高くなってきているらしい。

それは日本に限らないんじゃないか。あと社会環境による受け手の印象の変化ということなら、ヒロインに関してもあると思う。暴力系のヒロインとか、最近は特に嫌われるでしょ。そうなると好色なキャラを「止める」際の暴力行為がギャグとして成立しない。今の時代は「好色キャラへの暴力制裁」自体はどうにか肯定できても、その結果暴力系ヒロインの人気が低下するのは避けられないし。

今になって考えてみると、浦島景太郎からネギ・スプリングフィールドに主人公を変えた赤松健はやはり時代の先を行っていたのではないだろうか。「性欲の無さ」への違和感をかなり少なくしている。ただ、その主人公が子供ということが後のバトル路線における違和感になってしまったのは皮肉だね。

最近の作品でハーレム系、かつ主人公が好色な所を見せる作品だと……「ハイスクールD×D」と「はぐれ勇者の鬼畜美学」かな?あと「To LOVEる」は主人公がヘタレなだけでエロへの興味はそれなりに出ているか。それから「ソードアート・オンライン」も複数のヒロインは出ているが、メインヒロイン固定なこともあって性欲無しのキャラには見えないってのは上手いやり方なのかも。

エロ描写を売りにする作品は増えてきているように思うが、それとは別に主人公の性欲は減退し続けているよな……

日本で流行りの「草食系」と言うヤツかと思ったが、草食系ってのは積極的ではない、受け身ということであって、性欲無しとは違うよな。

そりゃ好色、性欲旺盛な主人公でハーレムやったらエロゲになっちゃうじゃないか。一般のアニメでエロゲ的なことは求められていないし、作られるわけがない。

でも人気になったラノベってエロゲのライターが原作書いていることも少なくないんだぜ。そもそも、「IS」の原作者はエロゲライター出身だ。もしやエロゲという地下から一般作へ上陸するためには「性欲」は捨てなければならないのだろうか?

「IS」なんかはエロゲでは描写可能だったエロ部分が一般向け作品では描写できないから余計に不自然になってるんじゃないか?寸止め状態、ラッキースケベ状態だけでずっと話を続けなければいけないわけだし。

これに関してはまさに過ぎたるは猶及ばざるが如しだよね。あんまり積極的にやり過ぎても人間のクズになるし、かといって受け身や鈍感過ぎるとそれはそれで不快な存在になってしまうし。

エロゲ系の作品だと「真剣で私に恋しなさい!」の直江大和とかはどう?あれは批判も多いけど、ハーレム系主人公のある種の進化系の一つではないかと思う。

ああ、確かに直江大和は最近の作品の中では面白い主人公だよね。「普通の生活を送りたいだけ」とぼやくのではなく、積極的に「仲間との楽しい生活」を送るために暗躍するのはアリだと思った。

複数ヒロインを出すハーレム系の作品は、キャラ人気の維持も重要だし、ファンもうるさいから今みたいになっちゃったんじゃないの?

ヒロイン人気も重要だが、今の状態になったのは主人公の人気というか受け入れられ易さを重視した結果じゃないだろうか?昔のハーレム系というか、ヒロインが多数出てくる作品は簡単にエンディングに達しないために主人公がヘタレ、大事な一歩を踏み出せない、一言が言えないとかいう感じだったが、そういう主人公への批判もあったわけだし。

なるほど。ある意味では主人公人気の重視か……最近のハーレム系の作品は、イチャイチャする、嫌われない空気を壊さないってのも重要になって来ているからな。キョンとか小鷹みたいなキャラが増えて来るのはそういった意味での人気や需要も影響しているのかもね。

とまぁ、こんな感じで。


■ハーレム系主人公と中国人オタク

ハーレム系主人公に関するイロイロな意見が出ているのは面白いですね。

中国オタクの間では、ハーレム要素の強い作品を表だって「評価」するのはカッコワルイという空気があったりするのですが、中国で人気になる作品の傾向を見ると、中国オタクの面々も、ムッツリと言いますか、なんだかんだでウハウハなハーレム作品は嫌いではないようです。

しかしそれだけに、主人公への違和感を覚えてしまうとキツイ所もあるようですね。ハーレム系作品の主人公の行動のさじ加減に関しては、どこのファンにとっても歯がゆいモノを感じてしまうことが少なくないのかもしれませんね。とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年3月18日付記事を、許可を得て転載したものです。

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