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【鳥インフル】慎重さ?それとも隠蔽=1カ月遅れの発表、SARSの教訓どこへ―中国(水彩画)

2013年04月05日

■H7N9型鳥インフル感染状況の拡大■
 

China
China / Padmanaba01

鳥インフル、上海のハト経由か 新たに男性1人が死亡
朝日新聞、2013年4月4日

上海市で死亡した男性は江蘇省在住で、鶏やカモを運送する仕事をしていた。発熱などの症状で治療を受けていたが、3日に死亡。密接に接触した8人に異常は見られないという。

(…)H7N9型の感染は、上海市(3人)、安徽省(1人)、江蘇省(4人)、浙江省(3人)で判明。いずれも感染経路はわかっていない。

(…)一方、新華社通信によると、湖南省岳陽市の衛生当局は、新型のインフルエンザ(H1N1)に感染した男性(50)が1日に市内の病院で死亡したと明らかにした。男性は発熱などの症状で3月26日に入院し、翌27日にH1N1型の新たなタイプのウイルスによるインフルエンザと診断されたという。

上海市、卸売市場を一部閉鎖 消毒で封じ込め
共同・MSN産経、2013年4月5日
上海市当局は4日深夜、この市場の中にある生きた鳥を扱う区域を閉鎖し、すべての鳥を殺処分することを決めた。ハトは市場で生きたまま売られていた可能性がある。市場内の設備を徹底的に消毒し、ハトがどこから仕入れられたのか、流通ルートを調べる。


■慎重な検査か、それとも隠蔽か

中国の鳥インフルエンザ。

H7N9に感染の上海人2人死亡 全世界初(南方都市報 2013/3/31)
上海H7N9死亡二例の接触者に異常なし(新華社 2013/3/31)

最初の報告となった上海市の二例ですが、一例は2月20日から25日の間に李さん父子3人が似たような症状で上海市の病院に担ぎ込まれ、李さんの父親(87)はH7N9と診断されています。

ただし、亡くなった李さんの下の息子は重度の肺炎が原因で死亡したものの、H7N9では無いと診断され、また上の息子は肺炎と診断とされたものの完治して既に退院しています。2人に既往歴はなし。

李家以外に呉さんの死亡が確認されており、三例の死者に密接に接触していた88人に異常は認められないということでした。李さんの死亡例と、帰された兄貴のその後が気になりますが、続報が無いのです。

二例の死亡がいずれも3月上旬であったのに対し、通報が3月31日まで遅れた点について上海市医療衛生機構は、「H1N1,H3N2,H5N1,SARS、コロナウイルスの可能性を排除するため検査を進めた結果、3月29日に標本からH7N9型の鳥インフルウイルスを分離できた。国家衛星計画生育委員会が総合的に判断した結果H7N9型鳥インフルエンザと診断し、31日に法に基き社会に発表した」と説明。

遅らせた理由が慎重に進めた結果、というのはパニックにならないよう隠してましたと同義であり、中国がSARSから何も学んでいないことを露呈してしまっています。

初期に抑えなければ感染はどんどん広がるのですが、隠蔽して取り返しが付かなくなったのがSARSだったはずです。SARSという前科があるのですから、中国はもっと本気を出すべきでした。当初否定していた豚の大量死との関係も、患者が出てくる中に肉屋従事の人間がいたことで疑問視されるようになりましたしね。


■隔離の遅れが問題に

上海鳥インフル患者入院後も完全隔離せず(中国網 2013/4/4)

当初H7N9を舐めていたのがはっきりと分かるのが、前出の李さん父子が入院していた上海市第五人民医院の対応です。亡くなった李さん父は呉さん(安徽省で亡くなった人とは別人)という別の患者と同フロア。間に数室かましてはいたようですが、それは隔離とは呼びません。

現在上海市第五人民医院の事務所は閉ざされ、電話で取材しても「責任者はいない。いつ帰って来るかもわからない」「私は新人」「責任者の電話は知らない」などと、返ってくるのは木で鼻をくくったような答えばかり。

匿名希望なのでアレですが、2月末に李さん父子3人が入院した際に「病室に入るときは必ずマスク着用の事」という通知が出されていた模様。また、具体的な病名が分からない場合は隔離しないようです。同医院はH7N9という事にも気付いておらず、また検査するための設備も無かったと証言しています。

これまで上海市、安徽省、江蘇省、浙江省と沿岸部に固まっていた感染例。SARSの二の舞の可能性は少ない、との専門家の意見を大きく取り上げていますが、いまだに感染源が分からない、というのがもうね。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年4月4日付記事を許可を得て転載したものです。

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