■中国のアップル叩き、その真の狙いとは?各種陰謀論をリストにしてみた■

Beijing 北京 : 26 Sep 2010 / chinnian
■アップルが反体制作家の書籍アプリを削除
2013年4月4日、英紙デイリーテレグラフは、アップル社のiOS向けアプリストア「App Store」から反体制作家の書籍を含むアプリが削除されたと報じた。
削除された「経典書城」。アップルはアプリ開発者に「中国の法律に違反する内容が含まれていたため」と削除理由を説明している。このアプリにはチベット人作家ウーセル氏の夫、反体制作家の王力雄氏の著作3冊が含まれていた。
アップルといえば、先日、中国官制メディアの猛批判を受け謝罪したばかり(関連記事)。官制メディアの猛批判を受けアップルが譲歩したのではないかと推測する人もいるようだ。
■チームがバラバラやないか
なるほどと思わないでもないのだが、なにせ情報不透明国家・中国については様々な憶測が飛び交うのが定番。なのでなかなか判断が難しいところがある。
例えば、先日のアップル叩きについても、さまざまな推論が出ている。
・米国が中国メーカーの通信機器購入を規制する動きを見せたため(NHK)
・李克強肝いりの中西部開発にアップルの譲歩を引き出すため(福島香織、日経)
・「中国発サイバー攻撃」批判に対する報復(朝日新聞、日経)
・外資系メーカーのシェア潰し(WSJ)
・中国メーカーからの部品調達を強要(ふるまいよしこ)
・中国移動へのiPhone提供を促す目的(福島香織、ロイター)
一つ一つの意見を見るとなるほどと思わないでもないのだが、こうして並べてみると「目的多すぎやで!」と目をひんむいてしまう状況だ。
■中国移動とドコモ中国語のブログなどをざっと見ていると、一番支持率が高そうなのが最後の「中国移動へのiPhone提供を促す目的」だ。中国三大通信キャリアのトップ、中国移動だが、3G通信ではTD-CDMAという中国独自開発の方式を押しつけられたため、海外の魅力的な端末をなかなか導入できず苦戦している。特に残る2社、中国聯通、中国電信はiPhoneを導入したたため、中国移動だけがiPhoneなしでの戦いを迫られている。
興味深いのは実は中国移動にも1500万人ものiPhoneユーザーがいるという点。香港からの輸入品やアップルストアで販売されているSIMフリー機を手に入れ、中国移動の2Gネットワークで運用しているという。
現時点でiPhoneはTD-CDMAに未対応のため、カスタマイズ版のiPhone5を作ってもらうか、あるいは次世代iPhoneで対応してもらうしかない。ただしその技術的なハードルよりも、「ノルマは年間*百万台販売」「独立した売り場を設けろ」といったアップル帝国の要求に、中国移動が応えられるかどうかにかかっている。
このあたりは日本の帝王ドコモがいつまでたってもiPhoneをゲットできない状況と似ている。「中国移動、まもなくiPhoneを導入」という飛ばし記事が定期的に出現する辺りもドコモとそっくりである。
というわけで、もし万が一、今回の一件で中国移動がiPhoneを手にするようなことがあれば、ドコモにとってもきわめて貴重な教訓となるはずだ。日本の大手新聞総動員で、「横暴アップル」「アップルは日本人民の感情を傷つけた」「アップルのリンゴが欠けているのは日本消費者に対する良心の欠如」云々と大キャンペーンを打てば、ドコモでもiPhoneが売れるようになるというわけだ。
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