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2013年04月08日
Takanawadai Elementary school 高輪台小学校13 / scarletgreen
■大人目線のロシアの保育園、小学校と子ども目線の日本
さて、帰任してすぐ、息子のゆうきを日本の小学校に転入させました。ただ、帰国したのは2月末なので、結局ゆうきは2年生のクラスに通ったのは2週間だけで、今は春休みです。初日学校から帰ってゆうきの言った一言。
「ロシアより、みんなやさしいよ!」
とのことでした。私たち夫婦は思わず吹き出してしまいましたけれども、ゆうきが受けた印象は、実は私の予測とも一致しています。あくまでも私のイメージですけれども、保育園と小学校は、日本の方が子供にやさしいと思います。なぜならば、遊びがたくさん取り入れられ、目線は子供たちに合わせられているからです。一方、ロシアの保育園や小学校では、子供たちをいかに立派な大人に育てるかと、目線は「大人」に合わせられていると思います。となると、活動の重点もあくまでも「勉強」・「教養」・「マナー」におかれ、日本と比べると硬い感じだと思います。
■日本の小学校は拘束時間が長い
ゆうきを通じて日本の小学校と生まれて初めてかかわりを持ったタチアナが驚いたことといえば、子供たちが拘束される時間が長いことです。2年生のゆうきの授業が終わるのは14時半か15時半のどちらかですが、ロシアでは、小学校3年生までは、12時半は下校の時間です。
理由の一つは、ロシアの小学校低学年では授業は一日4コマしかないことです。一方、日本では2年生でも授業は毎日5コマあって、週一回は6コマあります。ただ、よく見ると、「音楽」と「図工」はロシアの週1コマに対して日本は週2コマなどのような違いなので、子供たちが授業で与えられる情報量で考えると、両国はそう変わらないと思います。
また、日本の小学校の方が拘束時間が長いのには、休憩時間の長さも大きく影響しています。ロシアの小学校では休憩が長くても20分でしたけれども、日本の小学校では「のびのびタイム」という25分の休憩時間もあるし、50分の給食時間もあります。また、日本では、授業の他に「読書」や「伝え合いタイム」や「掃除」などの活動も入っていますけれども、ロシアは「掃除」は4年生にならないとないし、他の活動がたまに入ってもやはり12時半までにすべて終わらせるように構成されているようです。
■ロシアの給食は朝ご飯
ちょっと余談ですけれども、ロシアの小学校低学年の給食とは、「ランチ」ではなく、「朝食」です。一つ目の授業が終わって9時15分から20分の休憩時間があるのですが、そのときみんなで食べるようです。学校で朝食を食べられるから、朝、家でしっかり食べいくと学校の朝食までお腹がすかない。結局、私たちは学校に合わせて、ゆうきの朝食を小さめのパンかおにぎり一個だけにしていました。
ちなみに、ロシアの保育園なども朝食が出ますので、ロシア人の子供たちは朝家でしっかり食べる、という習慣はないようです。ゆうきの体もそういうリズムが身に付いてしまったので、日本の学校に入った最初の一週間、給食までなかなか持たなかったようです。
■日本人が残業に抵抗がないのは学校時代からの訓練?
さて、学校での拘束時間の話の続きです。タチアナにとって日本の学校は未知の世界だから、今まで日本の学校の話になっても、ついついロシアの学校のイメージで物事を考えてしまっていました。しかし、ロシアの常識は日本では必ずしも常識ではないようです。
例えば、私がロシアの高校に行っていたとき、授業が多くて1日6コマでしたけれども、そういう日でも学校で過ごす時間は8時から14時ちょっと前まででした。一方、授業が4コマの日には、小学生と同じく12時半には家に帰れました。日本もきっとそうだろうと、思い込んでいたタチアナですが、「塾に行っている日本人の子供たちは大変だろうな」と思いました。
しかし、今回小学校2年生のゆうきの時間割を見て、ふと気づきました。日本では、小学校低学年でも学校にいる時間がこれだけ長いのであれば、中学校・高校生はそれより短いということはまずなさそうです。ということは、塾に行く子はほぼ一日学校で過ごしてから行くことになるはずです。
え???となると、私が今まで想像していた「(遅くても)14時まで学校」→「夜は塾」というパターンよりも現状の方がはるかに厳しいようです。日本人の子供たちって、誰にも仕切られていない、自由な時間がほとんどないことがよくわかりました。しかも、塾に通わなかったとしても、ほぼ一日学校で過ごすので、やはりロシア人と比べたら日本人の方が自由な時間が少ない。
日本人たちが残業に対して特に抵抗がない(?)のは、小さいときからあまり自由な時間を与えられていないからなのだろう、思ってしまいました。他の国の様子を知らないのにこうした結論を導いてしまうのは問題かもしれませんけれども、どうもそういうふうに思えてならないのです。みなさんいかがお考えでしょうか?
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*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2013年2月7日付記事を、許可を得て転載したものです。