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チベット文化保持、環境保護、団結訴え……チベット市民団体による静かな運動(tonbani)

2013年04月22日

■チベット各地で暗に焼身者の意志を継ぐ団体が次々発足■


ブログ「チベットNOW@ルンタ」が、チベットにおける市民団結運動について紹介している。チベット人の団結、アイデンティティーの保持、チベット文化保全、環境保護、盗みや喧嘩をしないことを誓い合うなどの内容だ。

チベット問題に限らず、デモ、ストライキ、蜂起、あるいは焼身抗議という目立つ事象ばかりに目が向きばかりだが、中国政府による統治を前提にした上で、政府が真っ向から弾圧しづらい形式での市民活動により、自分たちの要求を通そうとする“地味な”動きも、現実には“派手な”活動に劣らぬ重要性を持っている。

中国ではこうした民間団体の立ち上げには政府の許可が必要で、違法な組織として規制される可能性も高いが、こうした穏やかな要求をどのように受け止めていくかは中国当局にとっても大きな選択肢となる。(Chinanews)

最近、チベットの各地に広まっている市民団結運動についてご紹介したい。4月9日付のブログで「カム地方ダンゴ県で『雪域非暴力勇者協会』という会が発足し連帯を誓い合った」というニュースを知らせたが、同様の団体の発足を知らせる写真がFBに幾つか流れていた。

20130422_写真_チベット_NGO_1


まず、今年1月7日にはカム、ザチュカにあるランヤク僧院に地域の有志が集まり、同じく「雪域非暴力勇者協会」を発足させたという。この「雪域非暴力勇者協会གངས་ལྗོངས་འཚེ་མེད་དཔའ་བོའི་མཐུན་ཚོགས་」の趣旨はチベットのために焼身した人々の意志を受け継ぎ、チベット人同士の団結、アイデンティティーの保持、盗みや喧嘩をしない事を誓うというものである。

20130422_写真_チベット_NGO_2

同じく1月24日付けでアムド、ンガバにあるツィナン僧院で同様の協会発足を知らせる写真が伝わっている。日付からすると、ザチュカが最初のように思われるが、実際にはどこか他の地域で先に同様の協会ができた可能性もあり、どこが最初かははっきりしない。

20130422_写真_チベット_NGO_3

また、最近アムド、ゴロ、ラギャ僧院でも地域のラマの呼びかけにより、団結を誓い合う協会が発足したという。もっとも、こちらは政治的な色彩はできるだけ排除し、チベット人の良き特質である、慈悲に基づいた助け合いの精神を向上させ、とにかく、悪い行いである、盗みや喧嘩、賭け事を断つことが誓われたという。この集会は地方当局の許可を得て行われたとされ、同様の集会がゴロの数カ所でも行われたという。

4月18日にはアムド、マチュで環境問題を中心にした「故郷愛護協会」の僧侶たちがゴミ収集等の活動を行ったという。この協会はすでに数年前に発足し、地域のチベット人の団結とチベット語保持、チベット文化保存、環境保全を目的とし、善行をおこない、悪行をさけることが唱えられているという。去年からこの運動に参加する人が増えているという。

このようにして、チベット各地で政治色を前面に出さない団体を組織しようという動きが広まっているということである。この背景には焼身者たちの遺言の反影を見る事もできると思われるが、それを表に出す団体もあるし、そうでない団体もあるということである。当局の反応については報告されていないので不明である。


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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年4月21日付記事を許可を得て転載したものです。

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