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2013年04月24日
■手抜き工事疑惑でデモ
2013年4月22日、四川省成都市大邑県で、2000人規模のデモが起きた。原因は四川省の雅安地震だ。ネット情報まとめサイト・墙外楼を参照した。
デモに参加したのは大邑県でマンションをお買い上げになった皆さん。先日の雅安地震(マグニチュード7.0)でマンションにひびが入った、マグニチュード8.0に耐えられるとの触れ込みだったのに手抜き工事ではないかと主張している。最終的に警察と衝突し、デモ参加者に多くの負傷者が出たと伝えている。
大邑県だけではない。震源に近い被災地では四川大地震で被災したこともあり、マグニチュード8の地震に耐えられる耐震対策が実施されていたはず。それなのにマグニチュード7の雅安地震でばたばたと家が倒れたのはおかしいではないか、と疑う人が少なくない。
■マグニチュードと震度
ここまで読んで違和感を感じる人も多いだろう。というのも、マグニチュードとは地震のエネルギーを示す単位であり、実際の揺れを示す単位ではないからだ。日本語では震度、中国語では烈度が揺れを示す単位である。中国では各地の揺れを計測するシステムが整っていないため、なかなか震度が発表されない。中国地震台が各地の震度を示す地図を発表しているが、これもマグニチュードと震源の深さから類推した震度だという。
騰訊網の特集サイト・今日話題の記事「“M8.0耐久建築”がなぜM7.0地震に対抗できなかったのか」がまさにこの話題を扱っている。いわく被害が大きかった宝興県で住民たちが「M8.0耐久」だと思っていた建築は烈度8(家屋の多くに損傷、一部が基礎が壊れ倒壊。地下のパイプが破裂)対応。ところが今回の揺れは烈度9(家屋のほとんどに損傷、一部で倒壊。牌坊(鳥居のような建築)や煙突などは崩壊、線路は湾曲)を記録したと推定されている。
また地震に対する耐久性はまったく損傷がないことを保障するものではない。特にひびとなると、中までごっそりやられてのひびなのか、表面のひびなのかでまったく異なる。もちろん手抜き工事の可能性は存在するし、大金をはたいてマンションを購入した住民にとっては気になる問題であることは間違いない。
■政府への不信
というわけで、「中国ではマグニチュードと震度の違いを分かっていない人が大多数であり、そのために山盛りの誤解が生まれている」というのが第一のポイントとなる。
そして第二のポイントが政府への圧倒的な不信だ。四川大地震の時はテレビも新聞もネットも、身を挺して我が子を守った母親とか頑張ったボランティアとか「悲劇の中の感動ストーリー」が話題の中心だった印象があるが、今回はテレビでは相変わらず感動ストーリーがばんばん飛び出すものの、ネットでは政府不信が蔓延、メディアでも政府に対する批判的な報道が目立つ。
四川大地震後に明らかとなった救援物資の横流し、中国赤十字の義援金でゴージャスな飯を食べていた疑惑など、この5年間で不信のタネが山ほど埋め込まれた結果とも言えよう。
ときおり、「地震国・日本の救援作業は素晴らしいが……」といった論調も見かけるが、それは日本をよく知った人の評価というよりも、中国政府を批判するための論という印象がぬぐいされない。例えば救援物資がなかなか必要な人に配れないといった問題は東日本大震災でも露呈した問題。だがまったく同じ問題で中国当局が批判され、諸外国を見習え云々とか言われているのを見ると、ちょっと肩身が狭い思いがする。
手抜き工事など本当に政府に対して怒るべき問題と、物資の流通滞りなどある程度は仕方ない問題とが、混在して同次元で“社会問題”になっている印象だ。どのような問題がある程度仕方がない話で、どのような問題が本当にひどい話なのか、切り分けが必要なのだろうが、日本の事例に照らしてもなかなか困難ではなかろうか。
それも致し方ないのかもしれないが、中国のネットで「中国赤十字には死んでも募金しないぜ」的な発言をみかけると、ではそれに代わるオルタナティブがあるのかな……と暗い気持ちになるのだった。
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間違えた、コッキントー、オンカホー、お前ら何してるんだ~~~~