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2013年05月05日
“聖府” (圣府 “Holy Mansion”) / 山東省曲阜孔府聖府大門匾额 山东省曲阜孔府圣府大门匾额 Plaque at the main entrance, Confucius Mansion, Qufu City, Shandong Province / 中國旅遊 中国旅游 China Tourism / SML.20121010.7D.09201.P1.C45 / See-ming Lee 李思明 SML
法治国家を自称している中国だが、実は「刑は人材に上らず」 だったようだ。
という皮肉たっぷりの書きっぷりで始まるのがRFI中国語版の記事「人材であるがため=公金横領の中国鉄道部局幹部に執行猶予」。
主人公は中国鉄道建設電気化局集団有限公司の李汝軍副総経理。2009年7月、旗下の国鉄道建設電気化局集団第四工程有限公司に100万元をユーロにして渡すよう命じた。第四工程有限公司の肖総経理は言いつけ通り、9万6000ユーロを李に渡したという。
ちょっと面白いのがこの9万6000ユーロのうち、5万ユーロは「コネ作り」に使われたとのこと。報道では誰とコネを気づいたのか、どういう形で金を使ったのかは明らかにされていない。そして残る4万6000ユーロを李はぽっけに入れてしまったという次第。このたび裁判が行われ、4万6000ユーロの公金横領の罪に問われた。ということはコネ作りに使った5万ユーロのほうはおとがめなしということなのだが、いいのだろうか。
さて、このたび判決が下り、懲役3年執行猶予3年という量刑が下された。4万6000ユーロ(約597万円)も横領していると本来ならば実刑判決がでてしかるべき。なぜ執行猶予がついたのか。後悔している、横領した金はすべて返還した……などなど判決書に理由が書かれているのだが、その一つに「検察の“李汝軍は鉄道部局においてきわめて貴重なプロフェッショナルであります”との意見を聞き入れた」というものがある。
法治国家の中国だが、どうやら「法の下の平等」は存在しないらしい。冒頭の「刑は人材に上らず」という言葉だが、「刑は士大夫に上らず」をもじったもの。古代中国では刑罰は士大夫には及ばないものとされていた。今の中国も変わらぬ封建時代のままだ、との痛烈な皮肉だ。
いろいろ大人の事情があったのだろうと推察するが、こういうのはこっそりやるもの。「貴重な人材なので……」と判決書に書いてはいけない。
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