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農村学生に無料で辞書を提供、中国のステキな政策とそれを食い物にする輩たち

2013年05月06日

■農村学生に無料で辞書を提供、中国のステキな政策とそれを食い物にする輩たち■
 

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dictionaries happy / torisan3500


2012年10月、中国財政部と中国教育部は新華字典を「国家無料教科書」に指定すると通達。中央財政から資金を出して、中国全土の農村部小中学生に配布することになった。

すばらしい政策のはずだが、湖北省でこの辞典配布政策を食い物にするかのような不思議な現象が起こっているという。2013年5月5日、中国中央電視台(CCTV) の調査報道番組「毎週品質報告」が伝えた。

・中央政府は歴史ある辞書「新華字典」を買い与えよと指示。しかし湖北省の子どもがもらったのは「学生新華字典」だった。

・その「学生新華字典」だがやたらと間違いが目立つ。「What」を「Uhat」と書いている例もあったとか。中国政府の基準によると、辞書の間違いは1万字に1個まで。「学生新華字典」は20個はあると専門家。

・というか、この「学生新華字典」は2013年1月が初版。中央政府の新華字典無料配布政策が発表されてから作られた。怪しすぎる……。

・と思ったら、実はこれまでも「学生新華字典」は作られていた。2012年5月に3版発表。なんで無料配布の辞書が初版だって?実は従来品と無料配布品は別物だったのだ。従来品は二色刷な上に紙の品質もいい。無料配布品は一色刷で紙の品質も悪い。ちなみに一般市場には出回っていない。

・なんでこんな辞書を採用したんだと調べてみたら、湖北省崇文書店というところが入札で勝ち取ったことになっている。ちなみに同社のトップは10カ月前まで湖北省教育庁で教科書調達の責任者だった人物。発注する側の人間が突然、出版社のトップに天下りしていた。

・入札で勝ったと言われているけど、お値段は新華字典よりも高かった。中央政府は学生1人につき14元(約224円)まで財政支援すると約束しているが、入札額は14元ぴったり。

・つーか湖北省は470万冊購入するとして中央政府からお金をもらっているが、「学生新華字典」は380万部しか発注されていない。差額の90万部分の料金は誰のぽっけに?

・つーかこの辞書380万部も発注しちゃったのかよ……。すでに320万部は印刷済み。残る60万部を今、せっせと作っているらしい。 

というなんとも不思議なお話。というか、詐欺。

それにしても「新華字典」を無料配布せよという中央政府の命令に、「では学生新華字典を配ります」というトンチを使っているところがなんともステキすぎる。

なお先月には雲南省保山市騰衝県で、海賊版の新華字典が無料配布される事件も起きている。なおこちらは入札を勝ち取った納品業者の犯行という説明だ。

騰冲県のケースでは著作権侵害だが、紙質の問題などはあるにせよ、中身的には新華字典の完全コピーということで信頼できる。湖北省の場合は著作権侵害はたぶんないと思われるが、子どもたちには怪しい辞書が配られてしまった。

どっちの詐欺的手法が好ましいのか、なかなか悩ましいところではないか。

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