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2013年05月06日
Under Surveillance / Victoria Reay
2013年5月2日、中国公安部は新たな交通違反身代わり出頭対策を導入した。車1台あたりの違反者人数が3人以上になった場合、あるいはドライバー1人が3台以上の車で交通違反を犯した場合、関係するドライバーはブラックリストに登録されることになる。6日、北京晨報が伝えた。
■中国版Nシステムと身代わり出頭
監視カメラなどを使った交通違反取り締まりシステムは、中国では「非現場執法」と呼ばれている。日本と違うのは取り締まりの範囲の広さ。「信号無視、スピード違反、駐車違反、標識無視、バス専用車線などへの乗り入れ、渋滞を引き起こす行為など」に応用されるという(「北京市交通管理局記者会見:非現場執法は法律規定に合致している」新華網、2005年)。
非現場執法の場合、後から出頭して罰を受けることになるのだが、この時に横行しているのが身代わり。そのため今回、新制度が導入された。「車1台あたりの違反者人数が3人以上になった場合、あるいはドライバー1人が3台以上の車で交通違反を犯した場合、関係するドライバーはブラックリストに登録されることになる」。
「ブラックリストに登録されると通常の交通違反の処罰手続きは停止される」としか説明されていないが、罰金払って違反切符切られておしまいではなく、もうちょっと厳しく追求されるということになるようだ。「過去にさかのぼって追求されるとやばい」とびくびくしている人も少なくない。
■身代わりマーケットとステキな友人
お金持ちが気持ち良く車を乗り回し、交通違反で送られると身代わりを次々と出頭させる。あるいは他人の身代わりを進んで買って出る事故犠牲の精神がある人。それらを取り締まることを目的とした対策だ。身代わり出頭は日本でもそんなに珍しくないのかもしれないが、中国でちょっと面白いのが商売になっていること。身代わりを探せるマーケットが存在するという。ちなみに中国では12点で免許取消しとなるが、身代わりの相場は違反点数1点あたり150元(約2400円)となる。身代わり人1人で2台の違反しかカバーできなくなるということで、今後は相場の高騰が予想される。
なお友人の中国人に「お金払って身代わり出頭って有名は話なの?」と聞いてみたところ、「初めて知りました。そんなのがあるんですね。でも私の友人に“ボクの彼女は警察勤めだから、違反点数付けられても後で消せるよ。必要ならいつでも声かけてね”と言われているので、必要ないです」というステキな答えが返ってきた。
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