中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年05月16日
■前振り
中国の失業率、本当は20%ぐらいあるんじゃね、という記事。
「温家宝が本当の失業者は2億人」と発言したという話が面白かったのでご紹介。ちょっとロジック的には同意できないところがいくつかある記事で、政府が新規雇用者数として把握していない働き口があることを完全に無視しているので、失業率20%という推計はちょっと無理がありそう。
とはいえ、6月の中国卒業シーズンを前に、就職難は今、結構ホットな話題となっているのは確か。政府発表の数字よりも実際の景気は悪いのではないか、との噂も後を絶たず。しばらくはこの手の話が続きそうです。また国有企業、インフラ建設中心の景気刺激策ではなく、中小企業とサービス業を育てて雇用を確保しろという話も、ありがちな経済政策批判としてわかりやすい事例かもしれません。
中国の就職情勢はどれほど厳しいのか?(網易)
習近平国家主席が天津の雇用状況を視察した時、「一定の成長がなければ雇用を支えられない。就職問題の解決は根本的には発展にかかっている。経済成長というケーキを大きくすれば、就職というケーキも大きくなるのだ」と発言した。この言葉の背景には今年の大学新卒生の就職率が明らかに低迷していることがある。現在、北京の大学新卒生の就職率はわずかに28.24%。上海はまだましだとはいえ45%を割り込んでおり、例年を明らかに下回っている。
ただし総数からみれば大学生の就職難は、中国の失業問題において最も深刻なポイントではない。2004年には280万人だった大学新卒生は2012年には680万人にまで増加した。242%に膨れあがったわけだが、総数は限られている。本当の問題は流動人口(戸籍所在地以外に住む人々)の膨張にある。国家人口計画生育委員会の統計によると、中国の流動人口は2009年の1億8000万人から2011年には2億3000万人と急増した。3年間で5000万人の増加だ。今や流動人口は中国全人口の17%に達している。
いわゆる流動人口とは都市戸籍のない人々のことを指す。現在、当局が発表している失業統計は城鎮登記失業率(都市登記失業率、都市戸籍者でしかも失業登記した人だけしかカウントしないので、いわゆる失業率よりもはるかに低い数字しか出てこない)だが、この統計は流動人口という巨大なグループを統計に含んでいない。2009年の世界金融危機後に輸出の低迷が出稼ぎ農民の帰郷ラッシュを引き起こしたと、中国メディアは何度も報じているが、中国の公式失業率の数字は常に安定したままだ。2010年の第3四半期から2012年の第4四半期まで10期連続で4.1%からまったく動かない。
この数字は明らかに流動人口の失業状況の実態を表していない。しかし温家宝前首相は公式失業統計以外の数字を口にしている。2010年3月、中国発展ハイレベルフォーラムに出席した温元首相は次のように発言した。
「米国には200万人の失業者が存在し、政府を慌てさせていることを知っている。だが中国の失業人口は2億人だ。中国はむやみやたらに貿易黒字を追求しているわけではない。事実は逆で、私たちは国際貿易収支のバランスを目指している。これこそが我々が長期的に努力している方向だ。」