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「報道の自由」「共産党の歴史的誤り」大学での教育禁止、二世官僚の昇進報道禁止、大暴れの中央宣伝部―中国(水彩画)

2013年05月17日

■二世の出世記事もアウト。宣伝部の禁止事項がまた増えた■


中国共産党中央宣伝部(中宣部)の動きが最近、活発ですね。例えば、四川省・雅安地震の負の側面を報じないようにともお達ししたようですが、これも通常運転でしょう。


■「七不講」

他に日本でも報じられたのが「七不講」と呼ばれる禁止事項。

中国当局「報道の自由」教えるな大学に指示
47NEWS、2013年5月11日

【香港共同】11日付の香港各紙によると、中国当局はこのほど、北京や上海の大学に対し、「報道の自由」や「公民権」、民主や人権の尊重を意味する「普遍的価値」など7項目について授業で教えてはならないとする指示を出した。大学関係者の話として報じた。

中国では、貧富の格差拡大や環境汚染などに対し若者を中心に不満が高まっており、当局は思想や言論の統制を強化する狙いとみられる。上海の大学教授は「公民権や報道の自由について論じられないなんて、それでも大学と言えるのか」と反発しているという。

ほかに禁じられたのは「公民社会」「共産党の歴史的誤り」「司法の独立」。

「七不講」と同時に中央宣伝部から出されたのが「現在の意識形態、領域状況に関する通報」。

通報全体の内容は公表されていないものの、この中で「現在の意識形態領域には、注意すべき7分野での突出した問題がある」「西側メディアの宣伝の観点、理論の有害性を十分認識せよ」と指摘しており、「党中央と思想上、政治上、行動上で習近平同志を総書記とする党中央と高度に一致するよう」求めています。

この通報は一部地方都市などが公式サイトで公表。これは秘密通達だったはずなので大ポカです。これをラッキーとばかりに21CN新聞網などが転載したものの、あっという間に気づかれて削除祭の餌食。香港の親中国メディア・フェニックスは本土メディアよりは削除されにくいのですが、今回は削除祭に巻き込まれています。
党中央「現在の意識形態領域にある、注意すべき7つの突出した問題」(キャッシュ) 21CN新聞網 2013/5/13)(中央弁公庁「意識形態領域の状況通報」関連の記事を削除RFI中文 2013/5/15)


■呉邦国息子の昇進報道にストップ

七不講騒ぎも収まらぬ中、再び中宣部が新たな通達を出しています。

中央宣伝部、各サイトに「二世」の職務任命報道の整理命令 RFI中文 2013/5/14 

先日、鄧小平の外孫である鄧卓棣が、鄧小平と縁ある広西で副県長に就任したことをお伝えしました。(鄧小平の孫にコネ疑惑、2013/5/5 )

14日、呉邦国の末子である呉磊が上海市経済信息(情報)化委員会副主任に任命予定と発表されましたが、宣伝部は「幹部の子女が地方の職務についても、『官二代』『紅二代』などの情報や、写真、映像などを報じず、簡単な工作状況のみを報じること」と指示。

これに関する報道をした新華社、人民日報、中国新聞網など党中央にも近いメディアが根こそぎ削除されています。この3社で削除に遭った記事に共通するのは、見出しに呉磊の名前を持ってきている点ですね。

新華社「上海市幹部管理、呉磊の上海市経情信副主任任命予定を公示」
人民日報「上海市管幹部公示呉磊は上海市経情信副主任任命予定」(キャッシュ)
中国新聞網「呉磊が上海市経情信副主任就任へ」

呉磊の名前を見出しに持ってきていない記事は、問題なく掲載されています。「『70後』3名が副庁級就任へ」(21世紀網)はセーフ。呉磊の経歴に紙面を割いているのですが、OKのようです。メディアもあるのですが。

*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年5月17日付記事を許可を得て転載したものです。

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