■「LINE、検閲始めました」全世界のユーザーの携帯にNGワード機能を搭載、中華圏で話題に■
「LINE、検閲始めました」というニュースが中華圏でちょっとした話題となっている。 アプリをチェックした中国人ネットユーザーによると、中国本土のLINEだけではなく、日本など他国で提供されているLINEのアプリにも検閲システム自体は搭載されており、ユーザーが中国本土の人間だと確認された場合にのみ起動する設定になっているという。2013年5月22日付自由時報、21日付癖科技記事1、記事2を主に参照した。
■検閲されてます!
発端となったのは、ある中国本土ネットユーザーが公開した写真。
ある単語をメッセージで送ろうとすると、「あなたが送ろうとしたメッセージには敏感詞が含まれています。調整後にもう一度発信してください」と表示されるという。中国では定番のNGワードというやつである。ちょっと面白いのが敏感詞というネットスラング的な言葉を使っていること。例えば中国検索最大手・百度ではNGワードを検索すると、「関連する法律、法規、政策により、一部の検索結果が表示していません」と表示される。LINEのエラーメッセージはやたらと素直に「検閲されてます!」と教えてくれているのがちょっとおかしい。
■LINE台湾トップの弁明
LINE台湾のトップである陶韻智氏はフェースブックで以下のようにコメントしている。
LINE日本のチームに連絡してわかりましたが、ユーザーが中国本土ユーザーと認定された場合にのみ、(検閲)キーワード・データベースは起動し、メッセージの内容を判断します(これは中国本土の法律に合致したものであり、中国本土のすべてのIT企業は同じことをしています。例外はありません)。
この判断は端末で完了するもので、データがサーバーに送られることはありません。
中国本土以外のユーザーについては、LINEは監視やメッセージのフィルタリングをすることはありません(もしそんなことしたらバッテリーのムダ遣いでしょ?)。安心してご利用ください。LINEはLINE Corporationが運営しており、その登記地は日本です。個人情報保護は日本の法律によって管轄されています。
癖科技の確認でも同じ結果が得られており、NGワードを入力したとしてもその情報はサーバーに送られることはないという。どのようにして中国本土ユーザーとして判定するかは明らかになっていないが、LINE登録時に必要となる電話番号で判断しているのではないかと推測している。また癖科技はLINEのNGワード・データベースの中身として150の単語を
公開している。
「江沢民拘束」「ネット封鎖」「ウイグル族 切りつけ」「温家宝 27億」「ムービースター 温家」「李鵬 重病」「ジャスミン 革命」「打倒共産党」などなど。たった150ワードだとすると、まだまだ少ないので今後、気合いを入れてデータベースを拡充する必要があるのではないか。
それにしても世界1億5000万人のLINEユーザーが「胡錦濤 温家宝 無能」とか書かれたデータベースをスマホに入れて持ち歩いているかと思うと、ちょっと面白い。
■敏感詞騒動の影響は?LINE的な携帯コミュニケーションサービスといえば、中国ではWechat(微信)がユーザー4億人越えという圧倒的なシェアを誇っている。しかし最近では有料化されるのではないかとの憶測が広がり、一部では微信の代替ツールを探す動きもあるようだ。同様のサービスは複数あるが、海外での知名度、特に台湾での成功もあってか、微信代替ツールの一番手としてLINE(中国名は連我)の名前があげられていることが多い。
その追い風が吹く中での検閲騒ぎとなって、どれほどの影響があるかが気になるところだ。一部の意識の高いネットユーザーの間では好感度が下がるかもしれないが、大勢には影響がないというのが相場かも知れない。
ただ気になるのはNGワードの問題よりも、中国当局に特定ユーザーの通信ログの提供を求められた場合にどう対応するかではないだろうか。前例となるのがヤフーメールの事例だ。2004年、米ヤフーは中国政府の求めに応じて、中国人ジャーナリスト・師濤氏の電子メール情報を中国当局に提出した。師濤氏は国家機密漏洩罪で懲役10年の判決を受けている。
■SKYPEモデルと、アヴァンギャルドなLINEモデル近年ではコミュニケーションツールの主流は電子メールからSNSやマイクロブログ(微博)、微信に移っているが、中国ではそのログを証拠としてチベット人が有罪判決を受けている事例も出ているという(
関連記事)。中国本土でのLINE人気が高まれば、ログの提出を求められるケースは十分に考えられる。その要求を拒むならば、さんざん嫌がらせを受けて中国本土からの撤退を決めたグーグルの事例が繰り返されることになるだろう。
LINEとは別の手法で、中国での成功をつかんでいるのがSKYPEだ。こちらは中国企業と提携したTOM・SKYPEという別アプリを提供している。TOM・SKYPEは純正SKYPEのユーザーともコミュニケーションを取れるが、一方でNGワード機能を満載しログ提出も行っているとみられるなど、中国対応はばっちり。機能的にはグローバル準拠だが、検閲とその責任に関しては中国限定になるよう工夫されている。
LINEも奇虎360という中国企業をパートナーにしているだけに、てっきりSKYPEモデルを導入していると思ったのだが、全世界の人々が使うアプリに中国式NGワードを搭載するという、アヴァンギャルドな試みを行っている。
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私のLINEは中国電話番号で登録しています。
先ず 日本語入力を使って禁止語を入れたら大丈夫でした。
「温家宝 胡錦濤 無能」 「温家宝 27億」
次に中国語入力に換えて 中文文字で入れてみると、
「 エラー 送信しようとするメッセージに禁止語が含まれている為送信できません。」
と 丁寧に日本語で出てきました。
これは日本で使っている場合には通信内容の検閲になり違法にはならないのでしょうか?
と言うことは日本語で書いたら漢字は同じまたは良く似ているからすり抜けられるということですね。