■汚職撲滅の次の手■
■かけ声だけは盛り上がった汚職撲滅
「虎もハエも打つ」と習近平が汚職撲滅を高らかに宣言しましたが……この書き出しそろそろ飽きてきました。
宣言からこれまでに打ったのは閣僚級2人だけ。これが虎なのでしょうか。この程度ならこれまでにも打ちまくっているわけです。期待させただけに、この程度の成果で納得する人はそうはいないでしょう。汚職撲滅と共に打ち出した節約キャンペーンにも外食を残さないようにしようといった、主婦の知恵みたいなショボいものも含まれていました。そもそも汚職摘発というのは、相手を選んで蹴落とすためにやっている政治運動なわけで、期待するだけ無駄なのかもしれません。
かの虎ハエ宣言からこれまでに徐才厚(前中央軍事委員会副主席)、李建国(全国人大常務副委員長)、劉奇葆(中央宣伝部長)など政治局委員の名前も挙がっていますが、結局「無罪」ということで終わっています。彼らはある種の意図の下に調査対象となり、紙一重で「無罪」になったに過ぎません。さもなければ、陳良宇や薄熙来など歴代汚職高官と同じ運命をたどるハメになっていたことでしょう。
■新たな汚職撲滅キャンペーン「会員カード・0枚運動」始まるどこまで本気かは別として、党員の風紀取り締まり、汚職取締りは今後も続きます。その実行役である中央紀律検査委員会は次にどんな手を打つのか。と思ったら、すさまじいニュースが飛び込んできました。
「
会員カードの返却活動を真剣かつ厳正に展開せよ」王岐山が強調(新華社 2013/5/27)
新華社公式サイトのトップに「会員カードの返却を・・・」の見出しがデーンと出ているのには笑えました。お前はオレを笑い死にさせる気か。中紀委は風紀委員みたいなもの、と説明しておけば何となく判ったような気になりますが、「会員カード返却」で一気に20年位前の中学校の様相を呈してきました。
こちらの記事には会員カードとは何かの説明はないのですが、同じく27日に新華社が発表した解説記事「
“会員カード”の裏側には、どのような口に出せない秘密があるのか?」によると、会員制クラブ、高級エステ、ゴルフ場などの事例があげられています。一般人お断りのプライベートクラブが汚職取引の温床になっているというお話。入会には数百万円かかるケースもあるので、立派な贈り物になるのだとか。記事には書いていませんが、会員制クラブでの飲み食いの費用(あるいはお姉ちゃんの費用)ももちろん、カードを送った人が持つことになるのでしょう。
というわけで、この手の会員カードは「享楽主義と贅沢を反映した、作風建設の大問題」「党風の問題は党の生死存亡に関る重大な問題」と悪の権化認定。もしこれで共産党が滅んだら「会員カードで滅んだ政権党」として歴史トリビアクイズ史上にその名を残すことになるでしょう。
中紀委は、6月20日までに所有する全ての会員カードを自発的に解約するよう求める「ゼロ枚」運動を展開するとのこと。ちなみにこの呼びかけの中には上述のとおり会員制クラブとか限定していないので、CD屋とかパン屋の会員カードも解約しなければならないのでしょうか。
新華社トップページででかでかと発表したわりにはいまいちぴんと来ない今回のキャンペーンですが、ゼロ枚運動はたんなる「前奏曲」とのこと。次回はもっと凄いのが出てくることを期待しています。
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