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女性騎馬警官隊はかわいいだけのお飾りなのか?薄熙来潰しと習近平推し(水彩画)

2013年05月30日

■騎馬隊は薄熙来の負の遺産となるか■

女骑警
女骑警 / Ray-垂昇


■薄熙来を消去せよ


昨年冬、その衝撃的な失脚によって世界的な“話題の人物”となった薄熙来・元重慶市委書記。実は共産党としての処分は終わっているのですが、まだ司法処分は下されていません。そろそろ裁判が始まると言われてはや数カ月がたっています。

ただしこの間にも着々と薄熙来消去が進んでいます。党籍まで剥奪された薄熙来の政策はすべてダメ、ただし流用できるものはこっそり流用するというもの。

例えば、薄熙来の看板とも言える“重慶モデル”ですが、昨年の党大会直前、当時重慶市委書記代理を務めていた張徳江が「重慶モデルなど元々存在してない」と発言しています。
(張徳江「重慶モデルなど元々存在してない」財経網 2012/11/8)

これで重慶モデルはお払い箱かと思いきや、“元”薄熙来の右腕である黄奇帆重慶市長が先日、「重慶地票制度は全国の参考例になる」というコラムを寄稿しています。詳しくは記事「文革的赤い重慶の“新自由主義的”政策、ポスト薄の重慶と「地票制度」の実験(kaikaji)」を見て頂きたいのですが、この重慶地票制度はつまるところ重慶モデルそのものなのです。

存在するのかしないのかもよくわからないだけではなく、薄熙来の元右腕がどや顔で表舞台に復活しているという奇妙な事態に。もっとも黄市長はあと一期まるまる務め上げるのは無理で、1年くらいで閑職に送り込まれるとの見方が濃厚です。まあもともと無事なのが不思議なくらいではありますが。

もっとミクロなレベルの薄熙来潰しもあります。重慶市中堅幹部のエロ情報が暴露されたのは、党大会を挟んですぐのことでした。あれだけ前任者の部下を黒社会扱いして一掃しておきながら、お前の部下はまっくろくろすけやないか、という党中央の意匠返しでした。

(「【小ネタ】18歳愛人との性愛動画流出で官僚がクビに=中国を騒がす垂金権造事件 」、2012/11/25)

垂金権造以外にも20名以上が対象になっていますが、事件発覚当初からハニトラ疑惑がぷんぷんしていました。官僚を陥れるのに一番安上がりで効果的な方法として、今後も同種の事件は起きるでしょう。


■女性騎馬警官隊叩き

そんな薄熙来潰しの最新事例と言えそうなのが、女性騎馬警官隊叩きです。大連市の顔的存在である女性騎馬警官隊は1998年、当時の大連市長であった薄熙来によって作られました。失脚後もすかさず、「薄熙来は美人騎馬警官と不倫していた」との噂が流されるほど、薄熙来と女性騎馬警官隊の結びつきは強いとみられています。

こちらがその報道。
大連の退職警官、女性騎馬隊は公費浪費で実用的でない(中国青年報 2013/5/27)
大連公安「女性騎馬隊は『花瓶』ではない馬1頭で毎月2500元が飛ぶ」(中国青年報 2013/5/28)

大連市元警官の趙明さん、「バイクかチャリに乗った方が機動性も上がるだろう。見栄えがするくらいで警察がやることじゃない。第一、馬なんかどれくらいカネ食うかわからん!」みたいな論調で、市政府に対して騎馬警官隊の維持コスト、その必要性を開示するよう申請しました。ちなみに趙さんは「維権」(権利擁護)活動の有名人で、サイトを開いて他人様の問題解決のお手伝いをするなど活躍しているそうです。

大連市警察は申請に応じて資料を発表しましたが、馬1頭にかかる費用は毎月約2500元(約4万円)とのこと。大連市公安の担当者である於福田副隊長は「花瓶などではない」と騎馬隊の必要性を訴えています。なお花瓶とは「能力のない、見かけだけの女性」という意味。日本語でいうところのお飾り、職場の花といった感じでしょうか。騎馬隊の利点は「1に式典などで使え、2に治安維持に効果がある」とのこと。大連市のイメージ戦略における貢献は計り知れないと反論しています。

実は趙さん、8年前にも警察の内部資料に同様の主張を寄稿したそうですが、その時は相手にされなかったとのこと。今は習近平の倹約政策、「習八項」が大々的に喧伝されているため、薄熙来潰しという流れに加え、習近平推しという時流にも乗った主張であります。というわけでメディアも大々的に報道。警察も無視するわけにはいかなくなったようです。

習八項ブームで廃止まっしぐらとなるのか、それとも維持となるのか。青年報は現状両論併記で様子見の構えですが、さてどう転ぶのでしょうか。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年5月29日付記事を許可を得て転載したものです。

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