• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

突撃タブロイド系中国共産党党準機関紙・環球時報の嫌われっぷりについて(水彩画)

2013年06月03日

■嫌われ者の環球記者と中国人が患う病■

News Stand @ Beijing City
News Stand @ Beijing City / kevinpoh


■党の準機関紙にしてネタ・タブロイド紙、環球時報


人民日報社旗下のタブロイド紙・環球時報。中国共産党の準機関紙という位置づけも一応はありながらも、人民日報ほどの重みはなくトンデモ・ネタをばんばん掲載するネタの宝庫であります。その辺りを無視しているのか、本当に知らないのか、日本のメディアは「人民日報傘下の機関紙」と紹介して取り上げているケースが多い気がします。

最近、日本メディアが環球時報を取り上げる機会が増えていますが、例えば同紙の誇るトンデモ軍事コラムニスト・羅援退役少将の記事を「中国軍少将が~」といった風に垂れ流していると大丈夫かと心配になります。ネタ記事と準機関紙としてのマジ記事の区別をつけないと、ただの国士様ホイホイになるだけの予感がします。

さて、そんな環球時報ですが、人民日報ならばもう少し慎重に書くところを、全力で右派叩きしたり政府擁護したりと大活躍。以前には「官僚の適度な汚職は許すべき」という内容の記事を書いて、ネット民の総攻撃にあったこともありました。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いじゃありませんが、新聞だけではなく、中の人まで嫌われているというお話をご紹介。


■環球時報記者の嫌われっぷりについて

環球時報時報の記者であることは罪か(RFI中文 201/5/31)
ご存知の通り、環球時報は保守的立場が鮮明な新聞であるが、同紙の記者が白眼視に絶えられなくなっている事は知られていない。この点については先日起きたある事件がよく説明している。

との書き出しで始まる記事。張治龍という環球時報英語版の記者が、休暇で故郷の陝西省に帰っていた時に起きたという事件が発端となっています。張治龍の両親が交通事故に遭ったものの、加害者は医療費の負担を拒否。そこで張は現地紙・華商報にタレコミしたのですが、電話を受けた王歪記者は相手が環球時報の記者だと知ると、「知るか」と電話を放り投げたそうです。


張治龍は微博で以下のようにツイしています。

私は環球時報英語版の記者です。両親が交通事故に遭い、延安洛川県に戻りました。加害者は無免許で医療費の負担も無視しています。交通警察の処理も疑いが残ります。

私は被害者の家族として、現地の王歪記者にこの件は報道にする価値があるかと訪ねましたが、王は価値は無いと答え、またお前は北京で何をしているのかと聞かれました。

報道しないようだったので、二言三言言葉を交わして電話を切りました。王記者には意識形態闘争を捨て、他人の痛みに注意深くなって欲しいです。(張治龍の微博から)

張のツイは5月28日午後10時の書き込みです。名指しで批判された王歪も反論しています。

延安に実家がある記者が電話で助けを求めてきた。延安で「欺負」を受けたので、報道して欲しいという。あなたはどちらの新聞社の方ですかと訪ねたら、向こうはためらいながら北京の新聞社ですと答えた。

私はどちらの新聞ですかと訪ね、ためらいながら「あなたと同業者です」と答えてきた。私は再度「どちらの新聞社ですか」と聞くと、最後には言いたくなさげだったが「環球時報」と答えた。私は「知るか」と返した。(王歪の微博から)

これは同日22:54。約1時間での反論です。


■家族にまで累は及ぶ

各者、描写の食い違いはあるものの、張が王に助けを求め、張が環球時報の記者だと王が知ると拒絶したという大筋は間違いないようです。張は「欺負」(いじめる)という単語を使っていますので、交通事故の加害者が社会的地位のある人間で、被害者に対して横暴なふるまいをしたという筋書きでしょう。

王がこの一件を報じる価値なしと判断したのは環球時報記者の身内だからというだけ。人道主義的にどうなのかと批判されています。張も同じ新聞記者という立場を利用してタレコミを取り上げさせようとしたきらいがあるだけにどっちもどっちという気もしますが。

ただ環球時報記者の家族まで嫌われるとなると、文革期に反革命分子の家族が治療を受けられなかったことを想起しました。“中国病”とでもいうべき問題ではないでしょうか。悪人認定されてしまうと、家族にもその累は及ぶという悪しき伝統です。


■編集長も参戦

さて、この件について、環球時報の胡錫進編集長もマイクロブログでコメント。

環球時報英語版が相次いで事件を”惹き起こし“た。前回は生活版の記事、今回は記者・張治龍の家族が交通事故にあって花商報記者に助けを求めたが断られたというものだ。さらにマイクロブログで騒ぎ立てられ、「公共事件」とされてしまった。英文版(の記者)はみな若者たちばかりで「ひどい世の中だ」と嘆いている。気にすることはない。環球時報はこれほどの発行部数(500万部超で中国最多)を誇っているのだ。環球網は新聞社が運営するニュースサイトの中では人民網に次ぐ規模だ。もっと人助けしていこうと自信を持ち、力を蓄えていこう。(胡錫進の微博から)

こういうエリート意識みたいなものも、インテリや党員が持つ古くからの中国病と言えるのではないでしょうか。

関連記事:
<写真>凛々しいぜ!大連女性騎馬警官隊の雄姿―中国・遼寧省
【中国斜め読み】初音ミクのライブで香港5000人が熱狂=薄熙来は女子騎馬警官がお好き(ujc)
「人権無視の言論弾圧者」薄熙来にも人権はある=中国民主活動家が署名運動(ujc)
文革的赤い重慶の“新自由主義的”政策、ポスト薄の重慶と「地票制度」の実験(kaikaji)
中国の新たな汚職撲滅キャンペーン「会員カード・0枚運動」始まる(水彩画)

*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年5月29日付記事を許可を得て転載したものです。

トップページへ

 コメント一覧 (2)

    • 1. ahah-man
    • 2013年06月03日 19:35
    • 意識形態 -> イデオロギー
    • 2. Chinanews
    • 2013年06月11日 15:50
    • >ahah-manさん
      コメントありがとうございます。修正しました。

コメント欄を開く

ページのトップへ