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新型大国関係とは何か?太平洋を米中で分割統治?それとも中国指導者の恐怖心?

2013年06月14日

■【ニュース、これがわからん】新型大国関係ってなんだろう?太平洋を米中で分割統治?それとも中国指導者の恐怖心?■

習近平―共産中国最弱の帝王

■【ニュース、これがわからん】新型大国関係ってなんか意味あるの?

朝日新聞のコーナー「ニュースがわからん」は、フクロウのホー博士との問答形式で、時事キーワードをわかりやすく説明してくれるという内容。一方、本サイト・金鰤の新コーナーは筆者がよくわからないことを素直にわからないと吐露するだけの画期的コンテンツです。

さて、第1回目となる今回のテーマは中国の習近平主席が提唱する「新型大国関係ってなんか意味あるの?」です。


■そも新型大国関係とはなんぞや?

そも新型大国関係とはなんぞや?という話ですが、2012年2月に訪米した習近平副主席(当時)が初めて使い、その後、中国首脳陣がたびたび口にするようになったもの。で、その中身はという話になるのですが、加藤嘉一さんの記事「「新型大国関係」をめぐる米中首脳会談 汗をかきすぎたのはどちらか?」(ダイヤモンド・オンライン)が引用している崔天凱駐米中国大使のフォーリン・アフェアーズ誌インタビューがわかりやすい。

「過去において、一つの大国が急速に発展し、国際的な影響力を持った時、それは既存の大国への対抗馬になるというゼロサムの論理で認識された。この論理がしばしば衝突や戦争を導いた。今日、中国と米国はそのような歴史が繰り返されてはならないという一つの決意を共有している。我々は台頭する大国と既存の大国が対立しあうのではなく、共に歩む道を探求しなければならない」

米国と中国、2つの大国は共存できるし協力し合えるというだけの話なわけですね。


■「俺たちは共存し合える」って急に言い出さなきゃならないほどケンカしてたっけ?

で、ここからが分からない話なんですが、今まで米中はゼロサムゲームを演じてきたのでしょうか?あるいはこれから全面的対立に発展する危険性があるのでしょうか?

為替や人権、あるいは台湾や東シナ海・南シナ海など関連国をめぐる問題など、米中の対立点はありますが、経済的には深い結びつきがあり、米国政府も中国の経済成長を支持してきました。少なくとも冷戦的な対立は存在していません。仲良しさんか、きらいな相手かの二択という小学生的発想ならばともかく、共存しつつも課題についてはやりあうというのはごくごく普通の関係です。

ではわざわざ新型大国関係を大々的に打ち出したのはなんなんでしょう?

「中国の政治指導者は他国が想像している以上に、国際的な孤立を恐れているから」「共存なんて生ぬるい話ではなく、太平洋を東西に分割しようという発想に代表されるG2構想が背景に存在する」という中国の指導者はちょっとパラノイアだよ的意見もあれば、

「大国と大国とのつきあいになる。つまり中国を大国と認めて欲しいという意味だ」的な意見もあります。むしろこれまで大国としての責任を果たして欲しいとメッセージを送ってきたのは米国のような気もしますが。いまいちぴんと来ない指摘です。



■特に意味はない

個人的にお気に入りなのは米ブルッキングス研究所中国センターのジョナサン・ポラック主任の解釈です(VOA)。

中国は往々にして哲学的な原則を提唱することを好む。一方、米国は現実的な課題をいかに解決するかを重視している。新型大国関係というスローガンには協力する基盤を用意しましょうぐらいの意味しかない。両国がおおむね一致しているという感覚以外、特に何の効用もないのではないか。

とばっさり。この解釈が一番しっくりきますね。

上述したような、中国の提唱する抽象的な文言の行間を読みまくって楽しい解釈をつけるというのは、世界中にいる中国評論家の大事なメシのタネではあるのですが、面倒くさいので自分ではやる気がでない分野です。その手の抽象的な話じゃなくて、実際の動きを見た方がよっぽど楽しいんじゃないかと思うのですが。

いやいや、中国の抽象的な文言を読み取ることこそ、中国プロパーの核心。新型大国関係にはきわめて重要な意味があるというご意見の方おられましたら、ぜひぜひ教えていただければな、と。

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