中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年06月17日
2013年6月7日、アモイ市で、BRT(バス高速輸送システム)放火事件が起きた。47人が死亡する大惨事が人々の注目を集めている。役所のミスで年金がもらえず絶望したという容疑者への同情、あるいは迅速な解決のために容疑者がでっちあげられたのではないかとの疑義については、福島香織さんが記事「厦門バス放火事件は「貧困テロ」か?」がとりあげている。
もう一方で問題となっているのが、バス火災の安全対策だ。事件を受け、ローテクとハイテク、二つの画期的な解決策が登場したようだ。
■セキュリティレンガと自動ガラス粉砕機
一番いいのは入り口から下りることだが、中国の路線バスといえば、通勤ラッシュの山手線クラスに混んでいることもざら。順番に逃げていたのではとても間に合わない。
となると、窓を壊してあちらこちらから同時に脱出するしかない。そこで必要になるのが車載用セキュリティハンマーだ。日本の車にも備え付けられているアレである。中国にも設置が義務づけられているのだが、実際には“ない”ことが多い。というのも乗客が盗んで持って帰ってしまうのである。
鄭州市路線バスのセキュリティハンマー、紛失量が急増=北京豪雨の影響か(大河網、2012年8月1日)
2012年7月21日に北京で豪雨。車に閉じ込められて死亡した事故が注目を集めたことからか、うちにも一つ欲しいわね、とお持ち帰りになる乗客が急増。
武漢市路線バス、セキュリティハンマーがネジ止めされていた=意味ないじゃんと市民がツッコミ(武漢晩報、2012年9月27日)
ならば盗めないように!とセキュリティーハンマーをネジ止め。火災があった時に使えるよう、となりにドライバーもつるしておいてほしい。間に合わないと思うけど。ちなみに武漢市では2009年に3万個のセキュリティーハンマーを導入、1年後に1万6000個が消えていたという。