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中国で短期金利が異常急騰、それでも中国政府が動かない理由とは

2013年06月21日

■中国で短期金利が異常急騰、それでも中国政府が動かない理由とは■
 


中国、金利急上昇を容認 「影の銀行」対策 短期、最高の13%台 企業など資金繰り懸念 
日経、2013年6月21日

中国の金融市場で20日、短期金利が急上昇した。翌日物の指標金利はわずか1日で7%台から過去最高の13%台に跳ね上がった。中国人民銀行(中央銀行)が資金供給を絞ったためで、金利上昇を政策的に容認している。膨張を続ける「影の銀行(シャドーバンキング)」対策とみられ、銀行や企業などの資金繰りにも影響が及ぶ恐れがある。

2013年6月20日、中国モノ界隈で結構な騒ぎとなっていたのがSHIBOR(上海銀行間出し手金利)の急騰。翌日物の金利が過去最高の13%台をマークした。

この件についてTwitterで目にした議論や参考記事をTogetterにまとめている。特に冒頭に掲載した梶谷懐さんのまとめは秀逸なのでぜひご一読を。梶谷さんはタイムリーにも「来週月曜日発売の『週刊東洋経済』で「中国版影の銀行」ってみんなが言うほどアブナイものなの?といった趣旨のコラム」を書いているとのこと。

さて、中国の政府&中央銀行が意図を説明してくれていないので、SHIBORの上昇について諸説が乱れ飛んでいる状況だが、その推測をまとめると以下のようになるだろうか。

長期的要因
・不動産や大規模プロジェクトへの、影の銀行を通じた過剰な融資をしぼりあげるべく、中央銀行が流動性の逼迫にも対処しないで放置。
・米国の金融緩和が終了間近になったことでホットマネーが逆流し、流動性が不足。
・総額13兆元(約201兆円)もの理財商品(投資商品)の返還期限は今夏に集中しており、そのために銀行が資金確保に躍起。

20日の急騰の要因
・流動性の不足からどっかの銀行(中国銀行説、工商銀行説、光大銀行説)がデフォルトしそうになったとの噂が流れた。
・5月末以来の流動性逼迫で、どこの銀行も貸し渋りモードに。大手は安泰ながら中小の銀行は相当手元不如意。
・政府&中央銀行の締め付けに銀行聯合が反発。「このままやと金融システムがクラッシュするで~」と脅迫。

日経も紹介しているように、「不動産や大規模プロジェクトへの、影の銀行を通じた過剰な融資をしぼりあげるべく、中央銀行が流動性の逼迫にも対処しないで放置」説が最有力候補のようだ。何度も言っていることだが、政府自らが苦しい状態を演出しているということだ。

それが正しい判断なのか、蛮勇なのかは私にはちょっと判断がつかない。梶谷懐さんは次のように評価している。



この「ポピュリスト的なもの」という話が結構おもしろいところ。例として網易の記事「“銭荒”(資金難)になぜ中央銀行は動こうとしないのか?」を紹介したい。

20130621_写真_中国_マネー_

「上図からわかるとおり、2008~2012年の中国不動産価格の伸び(青線)はM2の伸び(赤線)と高い相関を示している」と同記事は指摘。急増したマネーサプライが不動産価格高騰の要因になったとして、「中央銀行の手法は合理的なものだ」と評価している。

中国ではマネーサプライの急増がインフレの要因となり、不動産価格を筆頭に物価をつり上げ、老百姓(一般市民)を苦しめている……という話がかなり広まっており、政府批判のネタとしても定着している。一日物の短期融資金利が高騰するのは結構危ない気がするが、網易のように支持する人も少なくないだろう。

今回の“締め付け”はこうした世論に応じたものなのか、むやみな融資をしぼるようちょっと銀行を痛めつけてやろうという判断なのか、「バブルが崩壊するのを持っていては危険。さきにプチ破裂させてくれるわ!」という手法なのか、ぼくらの李克強首相は早く説明して欲しい。

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 コメント一覧 (2)

    • 1. 駆けつけ三杯
    • 2013年06月22日 13:50
    • 今の中国の経済政策を見ていると、なんかバブル末期に登場した「平成の鬼平」こと日銀の三重野康総裁を思い出すんですよねえ。適切な例えかどうかはわかりませんが。
      「平成の鬼平」もそのシバキ主義的バブル退治で最初はマスコミや世論に熱烈に支持されていたものですが……。
      結局は金融引締めの薬が効きすぎて、バブルが一気に崩壊して日本経済はハードランディングとなりました。
       
      さて、中国ではどうなるか。
      注目していきたいと思います。
    • 2. Chinanews
    • 2013年06月26日 23:39
    • >駆けつけ三杯さん

      ちょっとどきどきですよねぇ。改革を唱え続けてきた中国右派メディアも、びびるな改革に邁進せよ!という話なのが怖い。もっとも危機だ危機だと騒いでいる人もポジショントークだったりするので、政府としては舵取りが難しいだろうと推測。

      ただ最終的には改革に踏み込めずずるずる行くんじゃないかなと予想していますが。

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