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2013年06月25日
Tiger / Alois Staudacher
元中国共産党政治局常務委員、元中国共産党中央政法委員会書記の周永康。薄熙来事件がらみでクーデターを起こすかも、いや失脚するかもと騒がれ、習近平が「ハエもトラも一網打尽や!」と汚職官僚撲滅を宣言すると、「トラって周さんのことだよね」とみなに言われている、今、世界で一番うなじがクール(首が寒い)人物であります。
さて、そんな周永康につながりかねない事件をご紹介。2013年6月23日、郭永祥・四川省文連(文学芸術界連合会)主席の双規(党紀律機関による官僚の拘束、取り調べ)処分が明らかになりました。詳しい容疑などは伝えられていませんが、周永康に近い人間だと聞くとわくわくしますね。
四川省文連主席郭永祥が深刻な紀律違反容疑で取調中 新華社 2013/6/23
四川省前副省長が双規 過去に周永康の秘書(明報 2013/6/24)
周永康腹心の四川省高官郭永祥が双規(BBC 2013/6/24)
周永康と郭永祥の経歴を眺めますと、石油友達であることが分かります。80年代に周が勝利油田党委書記だった頃、党委弁公室の秘書をやっていた。というのが始まりとのこと。
1988年に周が中国石油の指導者になると、遅れて郭も中国石油に引っ張られ、国土資源部長として朱鎔基内閣に入ると弁公庁主任に、翌年四川省党委書記に転出した周を追いかけるように、省委副秘書長として引き続き秘書役を務めています。
BBCの記事では「18年間の長きに渡って」とあることから、遅くとも1984年には周と郭は出会っていたことになります。これは腹心と呼んでも差し支えは無いでしょう。
その後、周は中央に戻って公安畑に鞍替えし、郭はそのまま四川省に留まって副省長に昇格。主従は離れたものの、トントン拍子の出世には周の影響力があったことは言うまでもありません。
郭は2008年に引退して現在は文連主席という過去の経歴とは全く関係ないポストで穏やかな余生を過ごす予定だったのが、昨日で終了してしまいました。文連主席なんて乾いたポストでは何年やっても紀律違反をやれそうにないので、副省長時代かそれ以前の容疑が周が引退した今になって蒸し返されているのでしょう。
周永康繋がりで言えば、党大会直後に李春城が同じく双規を受けているのですが、彼も周が四川省時代にハルピンから成都の副市長に抜擢されています。(新任中央宣伝部長に早速失脚の危機 2012/12/6)また、当ブログでは扱っていませんでしたけど、政法王とも呼ばれていた呉永文・湖北省委政法委書記も周永康繋がり。
昨年の党大会で李長春、賀国強と共に一足早く完全引退した周永康。あれから半年、周永康の周囲を潰して完全に影響力を削るところまでいけるのか。新華社は公式微博で「また虎を打った」と得意気になっていますが、郭程度ではトラとは言い難いでしょう。周という名のトラを打つことになるのか。しばらく注目であります。
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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年6月25日付記事を許可を得て転載したものです。