■NEW！朴槿惠大統領が「中国人民の古い友人」の仲間入り

2013年6月27日、韓国の朴槿惠大統領が北京市に到着。4日間の公式訪問が始まりました。

訪中前の18日。外交部定例記者会見で、韓国人と思しき記者が「中国語が話せて、中国の哲学が好きなウチの大統領は中国の古い友人ですよね」と華春瑩報道官に問いかけていました。華報道官たんも「はい、大統領は中国人民の古い友人です」と答えています。

ちょっと記憶にありませんが、中国メディアは大統領当選当日から、「中国人民の古い友人」と評価してきたらしいのです。最初の外遊先に日本やアメリカではなく、中国を選んだことで、韓国側も応えた形になります。
それにしても、面と向かって中国人民の古い友人呼ばわりされた当人はどういう気分になるのでしょう。


■「中国人民の古い友人」600人リスト

世界には約600人が中国に「中国人民の古い友人」と呼ばれてきた人がいる（南方都市報 2013/6/28）

誰が数えたのか、世界には中国人民の古い友人が600人あまり存在するそうで。朴大統領はいわば最も新しい「中国人民の古い友人」。中国人民の古い友人で有名どころと言えば、キューバのカストロ、ベトナムのホーチミン、朝鮮の金日成など共産主義陣営の親玉が浮かびます。

日本人では田中、大平といった国交締結期の総理や、中国建国60周年式典の記念パレードを天安門から見学した村山元総理が有名ですね。あそこに登れるのは政治局委員クラスですので、同等の扱いを受けている大厚遇と言えます。

カダフィ？誰ですか、それは。カダフィ大佐とは一度「中国人民の古い友人」リスト入りしても、都合が悪くなれば友人認定はあっさり外されるということを、自らの命をもって教えてくれた貴重な人です。（中国のよき友人 2011/10/23）

「古い友人」の定義は難しいのですが、建国初期には白求恩やスメドレーみたいな革命に貢献したクラスの人に限られていたのが、文革期にはシアヌークみたいな共産主義でも中国側にいた人、現在は右翼認定されていない国家指導者や中国に有利な働きをした国際機関のトップがその対象となっているようです。革命烈士と同様、時代が下るにつれてどんどん値打ちが無くなっている呼称の1つですね。まあ、中国の労働英雄・雷鋒さんだって電信柱で頭を打って死亡して烈士入りしたことですし、似たようなものかもしれません。


■米帝の政治家だって「古い友人」になれます

中国の国連加盟に反対していたブッシュ父も古い友人と呼ばれており、両国が親密な関係であるかどうかは問題ではないようです。

2002年に江沢民が主席退任前に訪米した折に、ジョージ・W・ブッシュ大統領図書館で「ブッシュ父は米中関係発展に功績のある古い友人」との演説をぶちかましています。ブッシュ父は国交締結前の1970年代に北京大使館勤務をしており、演説でもそこが強調されています。
（「江沢民主席、ジョージ・W・ブッシュ大統領図書館での演説」外交部 2002/10/25）

アメリカ人で有名な「古い友人」なのが、ニクソンの秘密訪中を実現させたキッシンジャー。薄熙来時代に展開されていた紅色運動大会に貴賓として呼ばれて活動を称賛したり、友人に相応しい働きをしています。


■引退後にちやほやされたい人は「中国人民の古い友人」になろう

どこで見聞きしたのか覚えていないのですが、引退した政治家が足繁く中国に通う理由は、中国では引退しても現役時代と同様に歓待してくれるからだそうです。これは自国が引退した政治家に大きく影響される事から、海外の引退した政治家を中国の味方に付けようとする戦略なのでしょうか。

ちなみに今をときめく鳩山由紀夫元首相も「中国人民の古い友人」の一人だそうで、なるほど、今も中国を訪問するたびにがっつり歓待されていますね。

かつて、長年外交官として外交に携わり、現在は外交学院の教授を務める周尊南は「かつて中国を理解せず、偏見を持っていたものでも（中国の国力が強大になるにしたがって）考えを改めてよき友人になった者もいる」そうですので、中国を敵視している皆さんもまだ遅くありません

なおWikipedia中国語版には、「中国人民の古い友人」のリストがあります。「中国人民の古い友人」になりたい方々はこのリストを眺めると、ヒントになるかもしれません。孔子平和賞と合わせて獲得したい称号ですね。

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＊本記事はブログ「中国という隣人」の2013年6月21日付記事を許可を得て転載したものです。

（執筆者：水彩画）