中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年07月02日
人口9千万人のベトナムと6600万人のタイにはさまれた人口1500万人の国カンボジア。
70年代後半のポルポト政権下で当時の人口700万人のうち、170万人が亡くなったと言うカンボジア。
輸出の8割が衣料品である軽工業国カンボジア。
(関連記事:「カンボジアの現代版女工哀史」2011年8月25日)
そのカンボジアの工業化がここにきて立ち上がり始めた。
■カンボジアで動き始めた自動車産業
カンボジアで自動車が生産され始めたことは、ほとんど知られていない。2013年1月、国産車「アンコール・カー」が誕生した(AFP)。価格が1万ドルほどの、2人乗りの小型電気自動車だ。1回の充電で300kmほど走ると言う。
カンボジアの自動車登録台数は、2012年末でわずか23万台あまりだ。輸入にかかる税金が100%以上なので、車の価格は倍以上になる。物品税45%、輸入関税35%、付加価値税10%がかかり、輸送費やその他インフォーマル・コストがかかる。それだけにカンボジアでの製造ができれば価格面で大きな優位に立つことになる。
カンボジアの自動車市場だが、グレーマーケットが発達。、また販売市場の8割以上は中古車が占める。とはいえ、自動車市場は、ここ数年、年20~25%の伸びているという。
依然として車の質は低いが、このカンボジアに自動車メーカーもやってきた。ヒュンデは、2011年1月コーコンに、6200万ドルを投じて組立工場を建てた。フォードは、昨年プレア・シアヌークに年産6000台の工場をオープンさせた。
また、日本の矢崎総業は、最近コーコンにワイヤー・ハーネス(車内配線)の工場を2400万ドル投じて作った。電装も1月、40万ドルを投じて電装カンボジアを作り、プノンペン経済特区にセンサー部品の新工場を作っていくと発表した。
■外資の工場が次々進出
タイ、中国の労働コスト上昇を受けて、カンボジアに進出するのは自動車関係だけではない。
ヤマハ・モーターやティファニーの子会社、丸三プラスチック、日鉱金属などが現地生産を目指している。ミネベアは、すでに2011年12月にプノンペンに精密ベアリングの工場を建てたが、今は6千万ドルを投じ、第2次拡張に入る。中国の日本に対する敵対的態度も、日本企業のカンボジア進出を後押ししているようだ。
プノンペン経済特区は、2012年16の新工場を迎え入れたが、2013年は18工場以上が進出してくる見込みだ。
自動車、機械関係ばかりでなく、靴製造業や食品工業、缶工場など業種も広がっている。
カンボジアはなお政治の行方、電力の供給、エネルギーコストの高さなどいろいろな問題もあるが、ベトナムとタイの間という好立地条件もあり、工業化が急速に進みそうな状況だ。クメール(カンボジア)人の働き振りが注目される。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2013年6月28日付記事を、許可を得て転載したものです。