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習近平汚職撲滅キャンペーンの最終目標・周永康の不可思議な「生存確認」記事について(水彩画)

2013年07月03日

■周永康の現状■


■最も危険な男

「ハエもトラも一網打尽」と徹底的な汚職官僚対策を宣言した習近平。とっ捕まったおっさんには中国共産党四川省委員会副書記・李春城、中国国家発展改革委員会副主任・劉鉄男、安徽省副省長・倪発科などがいますが、いずれもトラというにはあと一歩。もうワンランク上の「いけにえ」がいるんですよね、と世の人々はワクワクして待っています。その最有力候補、最も危険な男が周永康さんです。

昨年11月の党大会、今年3月の両会で習近平、李克強を除く旧常務委員7人が引退し、党と国家の職務を全て手放しました。これまでに胡錦濤が故郷の泰州、呉邦国と賈慶林がお寺、李長春が広東省に姿を現わした一方、温家宝、賀国強は沈黙を守ったまま。

そして残る1人、今回扱う周永康さんも党大会以来まったく動向が伝えられていません。

周永康といえば、薄熙来の政治局委員解任に唯一反対したと伝えられている人物。また党大会以来、周に近いとされてきた部級党員が3人も双規(党紀律部局による軟禁、取り調べ)にかけられ、さらにそれに連なる部下たちもまとめて取調べ中という異常事態です。(新任中央宣伝部長に早速失脚の危機 2012/12/6周永康の腹心が双規に 2013/6/25


■周永康さん、健在をアピール……できず

党大会に出席後、全く姿を見せなかった周永康さんですが、ようやく動向が報じられました。

我校の著名な学友周永康さんが母校を訪問(蘇州中学公式サイト 2013/5/27キャッシュ)

20130703_写真_中国_

周永康が母校である蘇州中学を訪問した際の記事です。公式サイトのキャッシュをソースに使っていることからも分かるように、現在はなぜか削除されています。ただ、呉邦国のお寺参拝もお寺公式から削除されてましたので、これだけで変だと結論付けるのは早計です。

肝心な記事の中味ですが、周永康に蘇州中学の所在地である江蘇省委書記、省長、蘇州市委書記、市長など地元のトップが付き添うのは、他の常務委員の視察と同様。同行者の格が特別低い訳ではありません。


■肩書きは元常務委員ではなく「校友」

不思議なのは、周永康は記事の中で「周永康校友」と呼ばれていること。「校友」はその学校の出身者、学友という意味ですが、「周永康」の名前の後全てにこの「校友」なる肩書きが付いて回っています。出身中学への訪問なので「校友」でもおかしくないとは思いますが、この肩書きが母校訪問の時についてきた記憶は無く、扱いが軽く感じます。

朱鎔基みたいに母校の清華大学で教授をやっていれば、「老教授」と呼んでもらえるのですが、16歳で入学した中学なので仕方ない面もあるとは思います。通常であれば党員全員で使用可能な同志なのですが、他の4人も同志の呼称は使用されておらず呼び捨てでしたので、卒業生を紹介する立場の学校からすれば校友で問題ないのかもしれません。

ただ、肩書きと言えば、通常であれば現役時代の肩書きである「常務委員、政法委書記」もありませんし、党員でもあるこのクラスの大物をあえて「先生」と呼ぶのも異例。現役時代との関係を一切排除した記事に仕上がっています。


■2カ月遅れで報道の謎

また、元記事のタイムスタンプは5月27日ですが、実際に蘇州中学を訪れたのは記事の冒頭にあるように4月29日。そして、北京に近いと言われる香港文匯報や習近平のタクシー事件を独占報道した大公報が、なぜか7月2日になって一斉に報じています。

蘇州中学が公表したのも1か月遅れてからですし、2ヶ月以上のディレイ報道になった理由とは何なのか。
この2ヶ月で周永康を取り巻く環境が好転したとは思えませんので、あえて動向を遅れて報じさせることで、周永康の置かれた現状を知らしめようとしているのではないか、と結論付けることにしましたがどうでしょうか。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年7月3日付記事を許可を得て転載したものです。


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