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2013年07月10日
■スタートから2年がたったLSXとCSX
「KRX」(韓国証券取引所)の援助で開設された「LSX」(ラオス証券取引所)と、「CSX」(カンボジア証券取引所)が始まってから2年程がたった。LSXは、2011年1月、2銘柄を上場させて取引を開始した。またCSXもその半年後の2011年7月に開設(実際の取引は、1銘柄を上場させて、2012年4月から)された。
(関連記事:「動き始めるカンボジア証券取引所)
しかし、いずれのマーケットも今なお離陸できずにいる。
■ショーウインドウはできても商品は並ばず
両国の取引所あわせた現在の取引高は、1日1500万円ほどに過ぎない。ラオスが「ラオス外国商業銀行と「ラオス電源開発」の2銘柄で600万円、カンボジアが「プノンペン水供給公社」1銘柄で900万円ほどである(未検証)。タイの証券取引所(560銘柄上場)の1日1800億円の取引高に比ぶべくもない。市場の時価総額も、LSXは2012年末で1000億円。タイ証券取引所の40兆円に、これまた比較にならない金額だ。
取引所というショウケースは出来たが、中に並べる商品がなお出てこない。両国ともに上場企業が増えないのは、もちろん資本市場、証券市場に対する理解が行進んでいないからだ。
「なぜ自分の会社の企業秘密とも言うべき財務数字を、競争相手も含め一般に公開しなくちゃならないのか?」と企業は不可解に感じているという次第。企業公開がファイナンスの助けになるということを理解していない。株価が上がり、新株を時価発行するという例が出てくればいいのだろうが、3銘柄とも公開直後の高値から落ち着いた後、株価はここ横ばいとなっている。
*チャートはバンコクポスト紙より・
■両証券市場の飛躍には時間が必要
ラオスのGDPは、過去7年平均7.5%で伸びている。企業収益も伸びているはずだ。3年後の2016年までに、上場銘柄数を10に増やそうと企てている。ラオ航空など含め、農業、不動産業、建設業などから50の候補企業に対して市場関係者は当たっている。
(関連記事:成長するラオス)
カンボジアも工業化が進み始めたので、衣料産業だけでなく、食品加工業、農業、鉱業、サービス産業などから有力企業が見つけられる。
不動産業も活発だが、CSXの市場関係者は、「不動産業は、不動産を買って売って、値ざやを稼いでいるだけで、上場企業として好ましくない」と捨てている。また、外国人の持株比率をLSXなどは5%に制限している。これも株価がアクティブにならない一因だとして、年末に向けて10%に引き上げる意向のようだ。
証券市場は、いったん離陸すればあとは巡航高度に乗れるのだが、そこにいたるまで、上場企業の品揃えにもう少し時間がかかりそうだ。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2013年7月9日付記事を、許可を得て転載したものです。