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中華圏でブレイクした「進撃の巨人」、「中国に包囲された香港」を予言した作品との深読みも

2013年07月14日

■中華圏でブレイクした「進撃の巨人」、アニメファンの枠を超えた快進撃■
 


■私の戦闘力は53万です……中華圏の「進撃の巨人」人気

中華圏での「進撃の巨人」人気がとんでもないことになっている。

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こちらは中国の大手検索サイト・百度のウェブサービス・百度指数。ウェブサイトで取り上げられた回数やユーザーの注目度を指数にしたものだ。上記図表は進撃の巨人とAKBを比較したものとなる。

一番下にある緑の横棒がAKBのポイント。中国でもある程度の知名度を持つAKBだが、百度指数のピークは今年の総選挙の約5000ポイント。一方、進撃の巨人はなんと50万ポイントを超えているため、比較にならないグラフとなってしまった。

これはAKBが中国で人気がないという話ではない。日本音楽好き、アイドル好きの中で一定の支持を勝ち得ているが、進撃の巨人は日本アニメ好きという枠を超えたブレイクを果たしているためだ。なお他の日本関係の項目だとSMAPが2000ポイント前後、安倍晋三が3万ポイント前後、ソニーが2万ポイント前後が直近1年のピーク値。進撃の巨人人気の凄まじさがうかがえる。


■アニメファンを超えた人気とパロディ画像

進撃の巨人人気はすでにアニメ番組としての人気を超えつつあるようだ。

湖南衛星テレビの人気オーディション番組・快楽男声は2013年シーズンの放映が始まったが、大量の進撃の巨人ネタを織り交ぜてきているという(178アニメチャンネル)。

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*下が快楽男声のテロップ。「進撃的美男」と書かれている。またアニメのオープニング曲も番組内で使用されている。

香港では7月1日デモに進撃の巨人パロディ看板「進撃の共産党」が登場し話題となった。

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香港網経大典によると、ネットでは大量のネタ画像が作られている。

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*壁を乗り越えようとするイナゴ(=中国人)。

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*香港を守る3重の壁とそれを取り囲む共産党巨人。「文明道徳」「一国二制度」「人権・法治」という3つの壁のうち、第一の壁はすでに陥落している。


■進撃の巨人の魅力……深読みしたくなる設定

上記香港のパロディ画像で明らかなとおり、進撃の巨人人気の理由の一つとして、なにかと深読みしたくなってしまう設定があげられる。

記事「“進撃”ブームから見る香港」(独立メディア)によると、「人間を喰う巨人、壁の中で安寧に暮らす人々」という設定はまるで今の香港を予言しているかのようだと人々に評されているという。この設定の深読みについて次のような表が作られている。

20130713_写真_中華圏_進撃の巨人_1

第一の深読みは「日本の80後(1980年代生まれ)青年である作者の自画像」というもの。人類=閉じこもった青年、壁=自室、巨人=バブル経済の崩壊なんだとか。

第二の深読みは「日本軍国主義の台頭」。人類=日本の右翼勢力、壁=日米安保、巨人=中国、ロシア、北朝鮮、韓国など日本を取り囲むアジアの強国と読み解いている。

第三の深読みが「香港の現状」。人類=デモに繰り出す香港人、壁=香港の商業資本、巨人=中国政府、香港を訪れる中国人観光客。

つまり、進撃の巨人の世界というのは、「なにか強い脅威が存在するのに壁で 守られていて人々は一時の安寧を得ているが、いつ世界が崩壊するかわからない」という設定。たいがいの人に「これは私の話だ!」と刺さる筋書きだと言えるかもしれない。

なお中華圏だけではなく韓国でも進撃の巨人は人気だと言うが、やはり同じく深読み祭りが行われているようだ。
 
日本のアニメ「進撃の巨人」を巡って韓国で話題沸騰 「巨人」が住む世界は、「有銭無罪、無銭有罪」の韓国社会を象徴?

文化評論家たちは、「進撃の巨人」が提供する世界観に韓国社会の今を見出すことができることが人気の秘訣と分析する。「進撃の巨人」と韓国社会との間に、オーバーラップするところがいくつもあるというわけだ。だから大多数の庶民は戦わなければ生き残れないという「進撃の巨人」のメッセージに共感し、作品にはまると見る。

(…)壁の外はどのような世界が広がっているのか、どうして巨人という存在が生まれてしまったのか、一部の人間しか真実を知らない。アニメが持つこのような世界観が、殺伐とした弱肉強食の競争社会である今の韓国の状況とぴったり一致することが人気の要因だというわけだ。

進撃の巨人は、中国のテレビから日本のドラマやアニメがほぼ駆逐されて以来最大級のヒットを記録している。海賊版だけではなく、動画配信サイト・愛奇視での正規版ネット放映も行われている中でのヒットであり、日本のコンテンツが中国で稼げる突破口になって欲しいと願うばかりである。



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