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2013年07月15日
■農民、地方政府に“宣戦布告”す
2013年7月5日、広西チワン族自治区桂林市興安県高尚鎮済中村委五馬村で、“戦争”が起きた。農民たちは刀、銃、爆薬、さらに自家製大砲を武器に、政府が建設を進める風力発電所を襲撃。作業員らを蹴散らし、ショベルカー3台を爆破したという。9日付中国ジャスミン革命、RFAが伝えた。
問題となったのは風力発電所の建設だ。五馬村の里山で10億元(約165億円)を投じた風力発電所の建設が進められているが、地方政府は村民に一銭たりとも補償金を支払おうとはしなかった。それどころか陳情を繰り返す村民に対し、マフィアを差し向け暴行を振るう始末。
ついに村民たちは「中国共産党の成立から数十年。こんな風に刀や銃を持って抗議したことはなかったんですがね……」と言いつつ、立ち上がった。
*7月4日、五馬村にはりだされていた「宣戦公告」。
■レッドリボン軍
事件そのものもなかなかのインパクトなのだが、それ以上に農民たちの装備が決まっているのである。
*赤いリボンで仲間を見分ける。黄巾賊ならぬレッドリボン軍といったところか。
*戦闘準備完了。つーか、こんなかっこいい刀をどこに隠していたんですか……。
*進軍を続ける農民軍。
■これが自家製大砲だ!
装備といえば、なにより気になるのが大砲(原文は土炮)だ。行軍している写真を見る限り、大砲らしきものは見受けられない。が、おそらくこれが大砲ではないかと推測がついたのでご紹介したい。
左上の写真でおっさんが背負っている筒、おそらくこれが土炮ではないか。映画「もののけ姫」に出てくる石火矢そっくりである。
五馬村の戦いでは発射シーンの写真は公開されていないが、2010年に湖北省武漢市で土炮で地方政府の土地収用部隊と戦っていた農民の写真がある(長江日報)。
この農民は映画「アバター」にヒントを得て、自宅脇にやぐらを組み、押し寄せる敵勢に土炮を発射。たった1人で100人の寄せ手を撃退したという。
*追記
自家製土炮について犬大将氏が中国の論文を紹介してくれました。
中国農民の戦争「械闘」には自家製大砲が付き物、中国警察による検証(犬大将)
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