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2013年7月12日、ラサで全国“掃黄打非”弁公室(全国「ポルノ・違法出版物取り締まり」弁公室)主催のチョモランマ・プロジェクト座談会が開催された。チョモランマ・プロジェクトとは2009年に始まったもので、チベット自治区を始めチベット人が住む地域の違法出版物を取り締まるという内容。
全国「ポルノ・違法出版物取り締まり」弁公室が担当しているのだが、ポルノについての話が一切ないのが不思議なところ。チベット以外の地域だとアダルトDVDを何十万枚押収という話が付き物なのだが。違法出版物(中国共産党にとっての、だが)の取り締まりに集中するあまり、民草の健全な生活のためにポルノも取り締まりますよという建て前をやる余裕がないのだろうか。
その座談会の内容について、ブログ「チベットNOW@ルンタ」が報告している。(以上、文責は高口康太)
■中国当局、チベット関連の情報検閲の成果を誇示
中国共産党が、都合の悪い情報をネット等から片っ端に削除するのに熱心なことは周知のことである。例えば、「世界人権宣言」も中国では出版、提示禁止である。チベットにおいても以前より、特にダライ・ラマ関連の出版物、歌、肖像は厳しい規制対象とされている。
12日、全国“掃黄打非”業務グループ専属副リーダーの李長江がチベットにおける「違法出版物」と「反革命煽動品」の取り締まりを強化せよと訓示した。
監視対象となるのは書籍、新聞、雑誌、パンフレット、テキストメッセージ、音・映像製品、TV・ラジオプログラム、ネット上の文章、携帯情報等であるという。中国はダライ・ラマ、亡命政府、その他人権NGO関連の出版物等を全て違法としている。
李長江はチベット人居住区の各地方自治体は中央政府の関係省庁と連絡を取りながら、厳しい調査、取り締まりを始めよと命令する。発表によれば、2011年以降チベット自治区内だけで、132万点の「違法出版物、煽動アイテム」が押収されたという。
チベットではこれまでにも、多くの作家、芸術家、歌手等がチベットの真実を伝えたり、ダライ・ラマのことを語ったり、歌ったりしたことで逮捕されている。また、ダライ・ラマの法話のCDを持っていたとか携帯にダライ・ラマの肖像を入れていただけで逮捕された人もいる。
ダライ・ラマの肖像掲示が許可されたかなどという噂が立っていたが、北京政府はそれどころか、規制をもっと強化するぞという姿勢を明らかにしたと言うわけだ。
参照:
7月17日付RFAチベット語版、7月18日付phayul、17日付新華網
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年7月18日付記事を許可を得て転載したものです。