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上海ブタ漂流事件から4カ月、騒ぎが収まった今も流れ続ける“豚骨スープ”―中国

2013年07月27日

■上海ブタ漂流事件から4カ月、騒ぎが収まった今も流れ続ける“豚骨スープ”■
 

Pigs
Pigs / www.thegoodlifefrance.com


■上海、ブタの死体大量漂流の謎


2013年3月、上海市を流れる黄浦江で大量のブタの死骸が発見され、世界的なニュースとなった。

最終的な回収数は1万頭以上に上ったという。伝染病ではないか、毒性のある飼料が出回ったのではないか、違法な死肉売買業者が摘発されたために捨てられるようになったのではないか……などなどさまざまな推測が流れたが、あれから4カ月が過ぎた今、答えが見えてきた。

それは「以前からずっと捨てられていた。メディアが取り上げて大騒ぎになっただけ」というもの。騒ぎが収まった(中国政府が報道を禁じた)今も、ブタの死骸は変わらず川を流れ続けている。


■あれから3カ月……8万8000頭・羽の死骸

2013年7月25日、浙江省人民代表大会常務委員会議が行われ、過去3カ月間にわたり実施された、浙江省の河道清掃作業の結果が報告された。回収されたゴミは50万トン超。動物の死骸は8万8000頭(ブタ以外にも鳥など別の動物も含む)に上ったという。

黄浦江はかなり大きな河川だが、そこに流れ込むまでの津々浦々の小さな川もゴミ捨て場と化しているようだ。3月の黄浦江事件後、養豚業界に関する調査記事がいくつも発表されたが、そこで明らかとなったのは病死したブタを廃棄するインフラの不足だ。

中国の養豚は大型業者ではなく、個別の農家が主力となっている。各村で処理場を作り無料で死体を引き取ることと法律では定められているが、処理場が満杯になっていたり、あるいはいまだに処理場が作られていないケースも少なくないという。廃棄するには金がかかるので、こっそりと川に捨ててしまうというのはごくごく一般的な行為となっている。ちなみに死骸だけではなく、排泄物もそうやって処理されるケースが多いとのこと。水に溶けてしまうため、メディアでは取りざたされないがこちらも相当イヤな感じである。


■豚骨スープが止まらない

3月の事件は大都市・上海に住む人々の危機意識に火を着けたこと、海外メディアも大々的に報じたことで大騒ぎとなったが、実は死骸ポイ捨て問題は数年前からたびたび報じられてきた。政府も対策を講じてきたが、なにせ無数にいる個別農家が勝手にポイ捨てしていること、取り締まれるはずもない。

工業廃水の垂れ流しとよく似た構図が存在するわけだが、養豚業者数は企業の数よりも圧倒的に多いので取り締まりはより困難だと言えるかもしれない。

今年3月には「北京じゃタバコを吸いたきゃ窓を開けろ。上海じゃ豚骨スープを飲みたきゃ蛇口をひねればいい」とのブラックジョークが流行した。メディア検閲によって騒ぎが収まった今も、上海市民は豚骨スープ・サービスを享受し続けている。

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