■最新序列の変動と周永康の「復権」■
恒例の葬式ウォッチ。胡錦濤の序列が急上昇している件について。
■前回までの復習
記事「水に落ちた犬は叩け!江沢民の陰謀で胡錦濤同志の序列が垂直落下(水彩画)」で、胡錦濤の序列が大きく下がったことを紹介しました。
胡錦濤が総書記、国家主席の時代には「胡錦濤、江沢民……」と前総書記の江沢民が序列2位を確保していたのですが、今年4月の倪志福葬式の序列では
習近平、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗、江沢民、胡錦濤
という並びで末席に。詳しくは上述記事を読んでいただきたいのですが、「党と国家の指導者」という名目で序列2位を確保していた江沢民が一般党員として扱って欲しいと一見もっともらしいことを訴え、胡錦濤の序列を一気に格下げしたというのが真相です。
■胡錦濤の序列が急上昇、江沢民提案は一過性のものだったのか?
ところが2013年7月22日に行われた、水稲育種の専門家である周開達の葬儀で、胡錦濤の序列が上昇しています。
習近平、胡錦濤、李克強、温家宝ら、周開達院士に哀悼
中国網、2013/7/23
周開達院士の訃報を受け、中共中央総書記、国家主席、中央軍委主席習近平、前中共中央総書記、国家主席、中央軍委主席胡錦濤が、中国工程院を通して周開達院士の逝去に哀悼を表し、遺族を慰問した。都江堰葬儀場で行われた
政治局常委、国務院総理李克強、前政治局常委、国務院総理温家宝、政治局常委、全国人代常務委委員長張徳江、政治局常委、中央書記処書記劉雲山、前政治局常委、中央政法委書記周永康らが中国工程院を通じて逝去に哀悼を表し、遺族を慰問し、個人の名義で花輪を送った。
元政治局常委、中央紀律委書記呉官正が、秘書を通して逝去に哀悼を表し遺族を慰問し、個人の名義で花輪を送った。政治局委員、国務院副総理劉延東、政治局委員、中央組織部長趙楽際が秘書を通して逝去に哀悼を表し遺族を慰問し、個人の名義で花輪を送った。
習近平、胡錦濤、李克強、温家宝……と現役、引退、現役、引退の並びに変更されています。つまり 胡錦濤が序列交代を申し出る以前の江沢民と同じく、現役常務委員の第一位と第二位に割り込む形となったわけです。同様に温家宝、周永康ら引退した十七期常務委員も上位の序列で紹介されています。
記事の元ネタである
四川農業大学のサイトを確認しましたが、序列は記事と同じ順番で書かれています。 大学のサイトと言えども党組織の支配下にある訳ですから小うるさいチェックが入ります。序列を無視して適当に人名を並べる事はしませんし出来ませんから、これが現時点でのオフィシャルな序列ということになります。
これが続くのであれば、江沢民の申し入れは一過性のものにすぎなかったということになるのかもしれません。
■周永康の「復権」また、周永康が花輪を送っているのも目立ちます。記事「
習近平汚職撲滅キャンペーンの最終目標・周永康の不可思議な「生存確認」記事について(水彩画)」でも紹介したとおり、前政治局常務委員の周永康はいつかは反汚職で“やられる”のではないか、との噂が絶えない人物。
側近が次々と取り調べを受けたことを受け、いよいよXデーという噂も上がっていましたが、とりあえず難は逃れたようです。ただ、狙い撃ちされている感は拭えませんので、復権には程遠い状態だと思います。
それでも生存証明的に周の名前が掲載される官製記事が発表されています。今回の記事もその一環ということでしょう。周永康は石油から公安に鞍替えした人で、教育界には全く関係のない経歴です。今回の葬儀はスルーしてもよかったはずですが、生存証明を出さなければならないので、ちょっと場違いなところですが名前を出したということではないか、と。
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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年7月25日付記事を許可を得て転載したものです。