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*「回族、チベット族、ウイグル族その他特殊生活風俗を持つ少数民族は雇わない」と明記された雇用条件書。
■チャイナ・レイバー・ウォッチの報告書
米国に拠点を置く民間非営利団体(NPO)、中国労工観察(China Labor Watch)は7月29日付のレポートで、「アップルは約束を守っていない。安いiPhoneは中国人労働者の大きな犠牲の上に成り立っている」と発表した。アップルに部品を供給する中国サプライヤー企業の工場で働く労働者たちがいかに劣悪な労働条件の下で働かされているかを暴露した。
また、これらの工場が募集要項の中でチベット族やウイグル族など少数民族を雇わないと明言していることも問題視している(中国労工観察レポート)。
報告を受け、TYC(チベット青年会議)はさっそくアップル本社の責任者宛に手紙を書き、「直ちに調査し、民族差別を止めさせるべきだ」と主張。正されない時にはアップル本社前で抗議デモを行う用意があると表明している。
■アップル・サプライヤー企業の問題点
報告書によると、今回調査対象となったのは中国におけるアップルの主要サプライヤーであるPegatronグループ。同グループはiPhone 4、 iPhone 4s 、 iPhone 5の組み立て業務を受注している。チャイナ・レイバー・ウォッチは今年3月、7月の2回、Pegatronグループの工場従業員約200人を対象に、秘密裏の聞き取り調査を実施した。従業員7万人を抱える上海工場など3工場が調査対象となった。
その結果、36項目の法律違反、50項目の道徳的違反を含む、86項目の労働権利違反が明らかとなった。中国の法律では労働時間は週49時間までと決められているが、実際には大多数の場合で労働時間は66~69時間に達している。妊婦であっても1日に11時間という長時間労働を科されるケースもあるという。法規違反の長時間労働が露見しないよう、タイムカードの操作が常態化しているほか、18歳以下の未成年の労働者も雇用されているケースもある。
また「回族、チベット族、ウイグル族その他特殊生活風俗を持つ少数民族は雇わない」と民族差別が行われていることも明らかとなった。アップルは「安全で公平な労働条件を提供することを約束しており、直ちにこの件を調査する」との声明を発表した。
今回は少数民族に対する雇用差別が満天下にさらされることになったが、このように明示されるケースはきわめてレアだ。雇用や賃金の面での少数民族差別はきわめて深刻化している。
参照:
7月30日付phayul、8月1日付phayul
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年8月1日付記事を許可を得て転載したものです。