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パシフィック・リムは日米同盟を描いたプロパガンダ映画だった、モンスターは中国の暗喩―中国軍機関紙

2013年08月23日

■パシフィック・リムは日米同盟を描いたプロパガンダ映画だった、モンスターは中国の暗喩―中国人民解放軍機関紙■

パシフィック・リム (角川文庫)

■パシフィック・リムは日米同盟を描いたプロパガンダ映画だった

人民解放軍の機関紙・解放軍報がまたまた面白き記事をアップしていたのでご紹介したい。

タイトルは「「環太平洋」(パシフィック・リム)のメッセージは太平ではない」。現在、公開中のハリウッド映画「パシフィック・リム」は米国のアジア太平洋戦略を伝えるプロパガンダであり、ヒロインの菊地凛子が主役のチャーリー・ハナムと抱き合うシーンは日米同盟のシンボル。ついでに退治される怪獣は中国を象徴しているという大胆な読みを披露している。

筆者の張解立は山西省大同市の66075部隊(機甲部隊)のリーダーらしい(参考記事中国語)。 ロボット映画を見て戦車乗りの血が騒いだ……のかどうかはわからないが、他に文章を発表したことはないようで「パシフィック・リム」を見て盛り上がった心を投稿したら、天下の解放軍報に掲載されてしまったというところではないだろうか。

中国軍人脳とでもいうべきか。どんな小ネタも米国や日本の中国をおとしめる陰謀に変換し、「自強せねばならぬ!」という結論に持っていくロジックをじっくり楽しんで欲しい。 なおネタバレ要素もあるのでご注意を。

なお本サイトではこれまで「規律正しすぎて全滅した高射砲部隊=人民解放軍すべらない話―中国」「天才戦車長の伝説!人民解放軍のプロパガンダ記事と中国ネット民のツッコミ」という2本の解放軍報ネタを紹介している。また記事「日本アニメ「少女与戦車道」に隠された日本軍国主義=中国人オタクの嘆き(百元)
は、解放軍報ではなく国防報別冊のネタだが、日本アニメ「ガールズ&パンツァー」を軍国主義的作品と見抜いたコラムを紹介している。


「環太平洋」(パシフィック・リム)のメッセージは太平ではない
張解立(66075部隊)
解放軍報、 2013年8月23日

米国SF巨編「パシフィック・リム」が公開中で人気となっている。災厄に直面するなか、米国の勇者が世界を救うといういつもの話である。コンピューターで加工した3D映画といういつもの手法である。誇張に満ち満ちたスリルと刺激に富んだシーンといういつものやつである。ほとんど何も新しいものはない。だが本作に反映されている米国のアジア太平洋戦略は考える価値があろう。

日本人の少女・マコが怪獣に飲み込まれんとしたその時、米国のロボットが救出する。マコは米国人の訓練を受け、後にロボットのパイロットに成長。怪獣を倒した後、負傷した米国人のパートナーを抱いて、感情たっぷりに「あなたと離れたくない」と告げる。現実の日米同盟を想起させるシーンだ。怪獣に立ち向かうため、米国は再び救世主、世界警察の役割を演じ、この機に乗じて環太平洋地域に多数の機甲部隊を配備。各国に説得し、巨費を投じさせて高さ300メートルの防御壁を作らせる。計画が失敗し、欧州の同盟国の人的・経済的支援を失った後には、環太平洋の島国を仲間に引き入れる。

怪獣を徹底的に打破する重要な戦いでは、「巧妙にも」香港に隣接する、南シナ海を舞台としている。米国のロボットは香港を守り、アジアの安定を取り戻し、人類を救うのだ。米国人は怪獣の研究、人類の救済にてんてこまいだが、しかし香港では怪獣の肉、皮、内臓、骨が食品や薬品、工芸品として飛ぶように売れている。怪獣の中にいる、でっぷり太った寄生虫までが美食として重宝されているという描写まである。中国のイメージを矮小化させ、損なうやり口を続けているのだ。

ハリウッド映画は以前より米国にとって最高のプロパガンダ・ツールであり、その作品には米国の戦略が刻み込まれている。ハリウッドの大作映画は米国の価値観と世界戦略を全力で宣伝するために、工夫をこらしてあるのだ。例えば、映画「アイス・エイジ」では当時、国際的に議論が紛糾していた世界気候変動を取り上げた。「007 ダイ・アナザー・デイ」は北朝鮮を「悪の枢軸」としておとしめて描いた。「ロード・オブ・ウォー」は「世界最大の武器商人」をめぐる米露の争いを背景としている。

米国の大作映画は毎年中国から数十億もの金を巻き上げているだけではない。恐るべきは中国の若い世代に西側の価値観をひそかに植え付けていることにある。まさに「より重要なのは中国の若い世代に米国の価値観で考え、米国の制度とルールで行動することを学ばせる点です」という、ヒラリー・クリントン前国務長官の言葉通りではないか。

こう考えてみると、今回の「パシフィック・リム」はテーマ、ストーリー、背景、主役の選抜などにおいて、これまで通りのハリウッド流が続いていることがわかる。すなわち米国のアジア太平洋戦略とはからずしも一致しているというわけだ。本作における怪獣が何を暗示しているのか、言うまでもなかろう。

現在、世界的に見て、各種の思想文化が交流、融合、戦いはますます頻繁なものとなっている。国際的思想文化領域の闘争はきわめて複雑だ。西側の一部の人々は我が国の発展と成長を西側の価値観と制度も出るへの挑戦ととらえている。そのため中国に対する思想的文化的浸透を加速させ、コストを惜しまず「見えないプロパガンダ」を展開しているのだ。

中国の軍人たるもの、その目をこらし、イデオロギーの「ファイヤーウォール」を構築しなければならない。さまざまな角度から米国の大作映画を見ることを学ばなければならないのだ。特に重要なことは準備を整え将来の危機に備えること。軍事闘争の準備を展開し深化させ、戦う力、勝利する力を向上させること。断固として国家主権、安全、発展の利益を守らねばならない。

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  1. 1. パシフィック・リムは、ロボット&怪獣好きなら是非抑えておきたい!

    • [つねづね思ふこと 〜 ゲームやアニメの紹介を中心 に、あと気がついたときにプログラムネタも書いてます]
    • 2013年08月25日 22:20
    • パシフィック・リムは、今回も脅威に対してアメリカ人が攻めていって、途中女性と仲良くなって、最終的に世界を救う話です。しかし、日本のウルトラマン・ゴジラ・平成ガメラ・Gガンダム・エヴァンゲリオン・進撃の巨人?などをパクリまくって上手く融合している点が感動した

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