■「ゴキブリ100万匹脱走」の背景とは、ゴキブリは本草綱目にも書かれた立派な漢方薬だった■

ゴキブリ100万匹逃げ出す=養殖場の温室から―中国
時事通信、2013年8月23日
22日のニュースサイト・中国新聞網などによると、中国東部・江蘇省大豊市で20日、薬材用にゴキブリを養殖していた温室が何者かに破壊され、約100万匹が外に逃げ出した。
衛生当局は22日、現場に職員を派遣して調査。ゴキブリ養殖場の周辺地域で大掛かりな消毒を行うとしている。専門家は住民に対し、「大騒ぎする必要はない」とした上で、衛生管理に気をつけるよう呼び掛けている。
という、なんとも身の毛のよだつニュースがありました。気になったのは「中国ではゴキブリはさまざまな漢方薬の原料とされ、養殖が近年増えている」という一文。
調べてみると、ワモンゴキブリ(アメリカン・コックローチ)には
怪我の治りを早くする、免疫作用を強める、肝機能強化、むくみをとる、消炎・鎮痛、そして抗ガン作用となんかもうごっそり効能があることになっているようです。以前から漢方薬として使われていたとのことで、本草綱目にも記載があります。ただワモンゴキブリの原産地はアフリカで、本草綱目に書かれたゴキブリとは別の種類じゃないかと思うのですが、なぜか今ではワモンゴキブリが養殖されているようで。
(参考記事:「
ゴキブリの本草綱目拾遺における薬用効果 その1」「
ゴキブリの本草綱目拾遺における薬用効果 その2」)
ビジネスとしてゴキブリ養殖に乗り出す人もそれなりにいるようで、「ゴキブリ養殖法」を販売している情報商材ネットショップまでありました。“製品”はそのまんまの状態で漢方薬のお店で売られているというケースもあるんだと思いますが、製薬業者に卸すケースが多いようです。
ゴキブリ漢方薬の中でも有名な製品を出しているのが好医生薬業集団という会社だそうで、「美洲大蠊精粉」(ワモンゴキブリ精粉)という製品を販売しています。自社工場での養殖をうたっているので、一般農民が養殖したゴキブリを買い付けているわけではないようですが……。
ちなみに同社は中国国家食品薬品監督管理局からGAP(グッド・アグリカルチャー・プロダクツ)認証もゲット。この認証は漢方薬原料の製造認証で、殺す10日前からエサを与えない、高温の水蒸気で蒸し殺すというのが認証取得のポイントだそうで。

まあ買う人がいるんだから作るのはあり、というだけですが、私のようなゴキブリ苦手の人間にはなんとも勘弁して欲しい話。この記事を書くためにいろいろ調べていて一生分のゴキブリ画像を見た気がします。
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