中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
Tibet Mount Everest / Göran Höglund (Kartläsarn)
■客がチベット国旗を掲げたらガイドは無期懲役に
中国共産党がチベット人観光ガイドを厳しく取り締まり、違反者に厳罰を科していることが明らかとなった。観光客がチョモランマでチベット国旗を掲げただけで無期懲役に、中国共産党の歴史観どおりにガイドしなかっただけで無期懲役に。こうした驚くべき事例が伝えられた。
この話を伝えたのは先日、インドに亡命したばかりの、ある匿名希望のチベット人女性。ラサで長年にわたりガイドとして働いていたという。ガイド仲間が受けた厳しい処罰について、RFAとボイスオブチベットに話している。
2010年の夏、チョモランマ観光に来たアメリカ人がベースキャンプ近くの丘の上でチベット国旗を掲げたことが当局に知れた。その後、このグループをガイドしたシガツェ地区ナムリン県エマガ郷出身のツェリン・サムドゥップ(ཚེ་རིང་བསམ་འགྲུབ།20歳前後)は無期懲役を受け、現在ダプシ刑務所に収監されているという。
また、時期不明、名前不明であるが、ポタラ宮殿をガイドしていたチベット人が、歴代ダライ・ラマの歴史を紹介した時、ダライ・ラマ14世の説明を政府が決めた通りに行わなかったとして無期懲役を受けたという。
■チベット人ガイドに対する取り締まり強化
亡命したチベット人女性は以下のように話している。
「ガイドが観光客に行う説明はすべて政府が決めた通りに行わねばならず、これに違反したことが分かった時には、政治的罪を着せられ処罰される。家族も罰せられこともある」
「自分は歴史についてそれほど詳しくないが、よく知っているチベット人に言わせれば、中国が押し付ける説明は嘘ばかりだという」
「最近チベット人が観光ガイドになることは非常に難しく、出身地の村、郷、県の承認が必要だ。その上、以前なら小学校卒業の証明書と通訳の証明書さえあればよかったが、最近は大学卒業の証明書が必要だ。それがあってもコネがない場合チベット人がこの職につくことは難しくなっている」
「周辺地区へ観光客を連れて行く時にはガイドについても特別の許可がいる」
「今まで長年ガイドをやってきた者でも、更新時に厳しい審査が行われる。中国人は簡単に許可を得ることができるが、チベット人の場合には余程の金を積まねば更新できず、これがためにガイドの職を止めざるを得なくなるチベット人も多い」