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ウルトラマンは人気なのに特撮オタクが増えないのはなぜ?中国人オタクの議論(百元)

2013年09月11日

■中国オタク「ウチの国で特撮が流行らないのは何故?」■


■中国で特撮が流行らないのはなぜ?

ありがたいことに先日の記事「中国オタク「虚淵玄が仮面ライダー脚本!?日本の子供の心が大ピンチだ!」」に関連して、「最近の中国の特撮ファンってどのような状態なんでしょうか?」という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。

中国では「ウルトラマン」が大人気になったりはしていますが、それ以外の特撮作品に関しては中国に最初に入った「恐竜戦隊コセイドン」以外の知名度はイマイチで、中国オタク内でもごく一部の特撮マニア以外の層で「特撮」というジャンルがきちんと意識されるようになったのは本当にここ最近の話のようです。

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そんな訳で、今回は中国のソッチ系のサイトなどで見かけた「中国で特撮が流行らないのはなぜ?」ということに関するやりとりを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

ウチの国で特撮が流行らないのは何故?とても面白いコンテンツだと思うのに。本当に分からない……

子供向けだから人気にならないんだろ。

今の特撮って子供がメインターゲットではあるけど、子供だけしか楽しめない作品ではないと思うんだけど……

子供向けというより「幼稚」というイメージが付いちゃっているのがマズイんじゃないだろうか?

特撮か……一応「ウルトラマン」や「コセイドン」は大人気だったよな。でも、確かにオタクというか一定以上の年齢になると特撮系の作品は意識されなくなるな。

胡同里的奥特曼少年
胡同里的奥特曼少年 / Eason c

ウチの国の大多数の人間の中の特撮作品のイメージって「ウルトラマン」や「コセイドン」で止まってる。そしてそのイメージのままに「特撮=幼稚」「小学生の見るもの」と切って捨てられているわけで……そりゃ人気出ないよ。

特撮なんて日本でだけしか流行っていないし、その日本でも緩やかに下火になっているじゃないか。ウチの国で流行るのを期待するのが間違っている。

正直な話、私は特撮ってのはガキが見るものだと思っている。確かに小さい頃はハマったけど今思い返すと、あんなのに夢中になっていたのかと少々憂鬱になる。

特撮なんて毎回同じパターンの繰り返しだし、出て来るキャラも間抜けなセリフばかりだろ?そりゃ幼稚と言われるよ。

お前、それ、いつの特撮の話だよ……現在の特撮作品にも定番の流れはあるが、作品全体を通じてのストーリーもあるしその伏線も散りばめられている。アニメだって一昔前の同じパターンの繰り返しから現在のような作品に変化しているように、特撮だって変化しているんだぞ。


でもそれって定番のパターン内でのものなのは間違いないだろ?怪獣が出て問題起こしてそれに対して変身して戦う。これで大まかに説明できてしまうから、あえて手を出そうという人は少ないだろう。以前「電王」がちょっと人気になったけど、あれは声優というプラスの面もあったわけで。

まぁ……特撮はお約束のパターンというか様式美が特徴の一つだからその範囲から完全に逸脱するのも難しいんだよな。でも内容が進化しているのは間違いないよ。私も最初は敬遠していたんだが、「龍騎」の詳しいストーリー紹介を見て驚いて見始めて、その結果特撮にハマった。

自分は最近「牙狼-GARO-」を見て特撮にハマってしまった人間なんだが、最近の面白い特撮作品を実際に見てみれば案外ハマる人は出て来ると思うんだよね。じわじわとファンが増えているのはそういうことだと思う。

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日本は小さい頃から特撮に触れる機会が多いが、ウチの国ではそうじゃない。ウチの国はそういう特撮の定番パターンを楽しむ土台が出来ていないんじゃないかね。ウルトラマンの人気を見る限り、特撮系作品の需要が無いわけではないと思うが……

触れる機会か。確かに特撮は二次創作とかイラストなんかの、オタク関係の活動における燃料不足はあるかもね。二次元での描写が多いオタク内では、残念ながら実写というだけでちょっと難しくなってしまうのは確かだ。

特撮見るならアニメの方が良いって人が多いからじゃないかな。私は昔「電王」の二次創作絵を見て非常に萌えたんで番組の方にも手を出してみたけど、実写だったのでどうも……当時の感想は「アニメで出してくれたらどれほど良かったか」というものだった。

ウルトラマンを卒業して、アニメに行くからじゃないの?特撮に対する考えの一つに「自分はもうウルトラマンみたいな作品を見る年齢は過ぎた」というのがあるのは間違いない。

ウチの国ではカテゴリ的に特撮が「アニメ」の一種になってるのがいけないんじゃないか?アニメオタクなら深夜枠のアニメと特撮、どっちを選ぶかみたいなことにもなっているような気がする

ウチの国で特撮ファンとアニメファンを分けて考えるような扱いが出てきたのってホントここ最近だよな。カテゴリの扱いとしても「真人動画」としてアニメの一ジャンル的な扱いだったし。本当にディープな層はともかく、普通~マニア寄りな層でも以前はあまり区別していなかったような……

ウチの国では子供向けアニメの一ジャンル的な扱いの時期もあったから、今の主要な世代のオタクの間では子供向けから卒業するときに一緒に切り捨てられてしまったような感じも。日本ではアニメと特撮は別ジャンルで、同時にハマっていても問題ないという扱いっぽいんだけどね。

特に理由は無いのかもしれないが、ウチの国の主観的なイメージでは「特撮は幼稚なものだ」というのが間違いなく存在する。特撮見るならアニメ見るって人が多い。例えば「ウルトラマン」見るなら「進撃の巨人」を見るとか。

悪いんだが、私はなんか特撮=幼稚な作品というイメージがどうしても抜けない。知り合いに最近の仮面ライダーを薦められても見る気がしない。小さい頃にウルトラマンが好きだったのはあるけど、大きくなってからは興味が無くなったし、そのまま今に至っている。

一目見てハマるとかでもない限り、特撮に手を出す気にはならないんだよね……特撮作品で興味を覚える作品はあるけど、私はそういうのに関して「アニメの中で見てみたい」と思ってしまう。私みたいな二次元中毒者は三次元のドラマを嫌う傾向があるし、アニメファンの多い中で特撮ファンの増加を求めるのは厳しいのでは?

特撮が幼稚だというイメージを抱いている人でも、アニメはきちんと見ているんだよな。特撮がウチの国で人気になるには、ヘンな話だが特撮が子供向けのものではないという認識を広める必要があるんじゃないだろうか?大人向けである必要はないが、少なくとも全年齢向けというくらいには認識されないと。

そんなことしても制作者の得にならないだろうから、無理じゃね?特撮は基本的に子供向けの玩具を売るのが目的の作品だし。それとウチの国では特撮の玩具が日本と比べてあまり出回っていないというのも影響していると思うぞ。関連商品がなかなか手に入らないしイメージし難い。

昔の「ウルトラマン」のイメージが強すぎるのも問題だと思う。最近作られた劇場版の「ウルトラマン」は、私の昔のイメージと比べて非常に良いものだった。ウチの国のテレビで放映され、みんなが小さい頃に見た「ウルトラマン」は基本的に80年代より前に制作された作品だ。そして比較対象になるアニメのほとんどが日本で90年代以降に制作された作品だから、比べるとどうしても厳しいものがある。

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てか良い悪い以前に、純粋にコンテンツの量が不足しているんじゃないか?アニメは毎期ごとに何十作品もでるのに、特撮は定番シリーズだけじゃないか。それじゃあ人気にはならないよ。

特撮に触れるというか、話題にする場所、良い特撮作品に関して知ることのできる場所が不足しているのも問題かな。アニメと比べてフォーラムの規模が小さいし。日本の特撮も昔に比べて随分と変化しているし、最近は国産の特撮もかなり頑張って作っているんだけどね……

みんなが特撮を知るきっかけがもう少しあればなぁ……ハマってみれば面白いジャンルなんだが、作品に触れる以前の問題がウチの国には存在する。ウチの国のオタクの視野がもうちょっと広くなってもいいんじゃないかと、時々愚痴りたくなるわ。

とまぁ、こんな感じで。


■子ども向け作品を嫌う中国人オタク

中国オタクは「子供向けのイメージが強い作品」というのを忌避する傾向が強いのですが、特撮はそのイメージがかなりネガティブな方向に作用しているようでした。

ウルトラマンシリーズは現在も中国でかなりの人気を誇っていますし、日本の特撮作品の代名詞としても知られていますが、中国オタク層の間ではウルトラマンからの流れで特撮の方にハマっていくという人はほとんどいない模様です。

アニメに関しては子供の頃に見た作品の流れでディープな方にハマっていったり、子供の頃に見た作品を「思い出の作品」として扱われていたりするようなのですが、特撮に関してはそういった思い出の作品になることが無く、むしろその「子供の頃にハマっていた作品」というイメージによって拒否されたりしているようなのはイロイロと興味深い所ですね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年8月2日付記事を、許可を得て転載したものです。

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