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2013年10月03日
キイロスズメバチ Vespa simillima / urasimaru
2013年10月2日、陝西省衛生当局は同省安康市、商洛市、漢中市でスズメバチの被害が深刻だと発表した(新京報)。1600人以上が刺されており、41人が死亡。また重体の患者もいるという。日本のスズメバチ被害も有名だが、2012年の死者数は22人(参考記事)。わずか3市でその倍近い死者数を出したことになる。
スズメバチは中国の広い範囲に生息しているが、陝西省では近年、郷鎮(街)部にも生息範囲を広げている。都市の緑化率が上がったこと、大気汚染が改善されたこと、都市の住宅環境が改善されたことなどが原因だと新京報は指摘している。
今年の被害が特に多いため大々的に報じられたが、毎年被害は出ているようだ。2006年にも安康市一帯で36人が死亡している。安康市森林病虫害防治検疫駅の黄栄耀駅長は、今年は雨が少なく気温が高いためスズメバチの活動が活発になっていると話している。
はたしてこの説明が正しいのか、なぜ陝西省の一部地域に被害が集中しているのかなど気になって仕方がないが、とりあえずこれ以上納得できる説明はないもよう。それにしてもスズメバチが住めなかったほどの大気汚染というのは大変そうだ。
安康市ではスズメバチの巣の駆除は消防隊のお仕事。今年だけで593個の酢を駆除したという。ただしのべ20人以上もの消防隊員が指されるという被害も出た。駆除に必須のスズメバチ用の防護服が市消防部局全体20着しかなく、装備が不足しているのが問題だという。
消防部局関係者は現状では対処しきれないため、林業部局を中心に対策をとるべきだと提言。また農村部では防護服などの駆除ツールをそろえた上で村の若者を中心に対策班を結成するべきだとコメントした。消防だけじゃ無理、という本音が透けて見えるコメントと言えそうだ。
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